先々週の話です。
早々と野球の中止ということで、すっぽりと空いた15日の土曜日。
こんな日は疲れた身体を癒す整体と映画の日となります。
選んだ映画は、ジャリ向けとマーベルを除いて、この映画「居眠り磐音」
佐伯泰英のベストセラー時代小説の映画化となります。
時代小説、僕は好きです。
40代の頃、叔父が亡くなった時、叔父のクルマに読みかけの小説がありました。
それを形見として頂き、読んだのが池波正太郎「剣客商売」でありました。
その面白さにハマり、以来相当数の時代小説を読むこととなります。
池波正太郎・山本周五郎・藤沢翔平、こうした大家から、平岩弓枝の御宿かわせみまで、読みふけりました。
私って、昔からハマると、とことん突き詰める癖があるんです。
同じように時代劇に魅せられ作家で池波正太郎を踏襲するような作風の時代小説を書いているのが宮部みゆきですね。
それは作品の中に江戸前の料理を必ず入れることで、池波正太郎をリスペクトしていると思います。
その宮部みゆきの本所深川ふしぎ草子やぼんくら等の時代小説はまさにそれでありました。
器が池波正太郎、味付けが宮部みゆき風というアレンジが時代小説ファンにはたまらない。
そして、この佐伯泰英氏の居眠り磐音でありますが、これはその作品の仕立て方が、藤沢周平を連作小説をオマージュしているように思います。
それはそれとして嬉しくなる。
主人公が国許で事件に巻き込まれ脱藩。
江戸に出て浪人暮らしをしながら、事件を解決する。
藤沢周平の代表作の一つであろう「用心棒日月潭」がその典型であろうと思われます。
そして、この「居眠り磐音」もまた備前での切なく辛い事件にあい脱藩します。
藤沢周平が故郷の山形海坂藩に拘り、佐伯泰英は南の備前という点がある意味意識しての南の藩ということでしょうか。
この備前での若者3人の親友同士なのに斬り合わねばならなかった事件が痛ましい。
やがて江戸に出てきた磐音でありますが、料理屋でうなぎを捌き日々の糧を得てましたが、とあるキッカケで北辰流免許皆伝の腕を買われ、両替屋の用心棒に。
この辺も時代劇の常道。
主人公は欲なく食うや食わずではあるが、剣の腕は立つという。
ここまでの展開を映画はテンポ良く描きます。
主人公居眠り磐音役に松坂桃季。
爽やかさを絵に描いたようなイケメンであります。
殺陣も上手い。
「この男 切ないほどに 強く優しい」
映画のキャッチコピーそのままに好演でした。
その他、今時流の若い男優女優出てますし、脇を固める役者に谷原章介や中村梅雀・佐々木蔵之介、若い柄本佑・杉野遥亮なんてのも出てます。
女優は、木村文乃や芳根京子という今風の若い子。
全体的には、良い役者を配してます。
昔はフジTVの時代劇がその質の高さを誇りましたが、今は視聴率トップに君臨する日テレの天下というのを感じるような質と内容になってるという感想。
事件の内容が、田沼意次時代の金と銀の交換比率が相場によって決まる変動制が両替商の思惑として、対立しそれがやがて剣の対決へと発展する様が今風な時代劇だと感心するし、ある意味江戸の経済を描いている点面白かった。
小説同様、連作を乞いたい。