やきうもヒマとなったし、映画のプレビューでも、どどっとしようかな。
野球シーズンはあまり映画館に行ってないけど、行ける時には2本位見ます。
これは、僕の持論ですが、映画も野球も媒体が多様化し、ライブで見ることにそこまでの価値観を感じない人が増えているように思います。
それでもね、野球をスタジアムで見る、映画を映画館で見る、そのことにこだわっていきたい、そう僕は考えます。
今回取り上げる映画は「、真田十勇士」
真田十勇士は、明治・大正時代の講談に端を発し少年向けの文庫にて有名となりました。僕はというと、子供の頃読んだ白戸三平「サスケ」こそが猿飛佐助の原点なんですけどね。
映画では、そんな十勇士の素材を借りて、自由に現代的解釈にて作り上げた漫画の延長のような劇画映画であったように思います。
パンフを見たら、日テレと電通が、映画、舞台と連動させたメディアミックス展開させたようですね。ドラマもからんでるのかな?
電通の社員、寝る間も惜しんで宣伝に明け暮れたんではないのか。
とゆーくらいあちこちのメディアで取り上げられてました。
社畜のように長時間拘束することで有名ですから過労死しなきゃ良いけど。
まあ、映画は金がかかるし、金を集めるためには大手の広告代理店やメディアを巻き込む事が不可欠なんでしょう。
それについては文句は無いけど、どーも、こういう映画の場合、広告は派手でも中身が伴わないことが多く、僕はあまり好みません。
案の定、この映画も、大胆な仕掛けやダイナミックな合戦はあろうものの、映画そのものの出来をおもわば、中身のうすっぺらな映画となりました。
映画の冒頭、真田十勇士が一人また一人と加わっていき、十勇士となるまでを、アニメのダイジェクトで描きます。
こういうのを姑息な映画作りではないかと思います。
「七人の侍」において、一番面白いのは、人集めのシークエンスでありました。
であるならこの十勇士も、いかに個性的な十勇士がそのぞれの思惑や友情を持って集まるのか、そいう面白さを省いてはいけません。
であるからしてのこの映画は、細かなディテール抜きの大雑把な映画どまりなのであります。
また制作サイドも、今の観客の好みを複雑な映画とは考えず単純な中学生レベルと考えてるから、映画作りそのものが荒っぽい。
それなりの1流と呼ばれる製作スタッフを終結しながら、映画の出来そのものは、ハリウッドのB級アクション映画の出来損ないレベルであります。
ストーリー展開については多くを語るべくもない。
大阪の陣における真田の武勇を、十勇士を中心に荒唐無稽に、猿飛佐助や空を飛ぶ霧隠歳三が縦横無尽に活躍をするといったお話であります。
そこにリアリティや歴史の妙やらは一切関係ありません。
それなりに捻りは用意してありますが、まあ映画をよく知る者からしたら、たしたことない。
主演は猿飛佐助に6代目中村勘九郎。
特別悪くはないけど、どうにもこいう映画に梨園出身を使う保守的な映画界を憂います。
父中村勘九郎は多才な歌舞伎役者として有名であり、アクターとしても子役から壮年までそれなりの存在感を得ました。
しかし6代目中村勘九郎は、父の姿をなぞっているようにしか見えず、全体的な大げさに見える演技にしても、映画の主演としては物足りない。
どうしてこうも映画界やNHK大河などは、梨園をありがたがるのだろう。
おそらくは、日本に活動写真が輸入され制作されるようになる時、その素材となりうる台本に歌舞伎が用いられ、アクターとしても重宝されたしきたりが続いているのだろうと思われます。
しかしね、そのへんの脱却がないと、いつまでも日本のアクターは、歌舞伎の亜流足り得るのではないか。
その他、霧隠歳三に女子に人気の松坂桃李。
こんなの、存在感もクソもない。
ヒロインのくノ一に大島優子。AKBだって?
イケメンとアイドルの抱き合わせで集客を狙う意図が見え見えでこちらも演技以前の問題。
よく、こんな映画を堤幸彦監督が撮ったなあ・・。
って、堤監督の凡人なるが故の映画とも呼ぶべきか。
まあ、TV局主導の映画としては「信長協奏曲」の100倍は見れたから良しとしようか。
少なくとも合戦の迫力は映画館で見る価値あり。