
*工藤 本日はインタビュー第2回です。引き続き、大学の先生でいらっしゃって、国際オリンピック委員会でご活躍されている津久井猛雄さんです。前回は社交の大切さについてお話をしていただきました。本日は、昨年出席された会議などについてお伺いしたいと思います。会議は何回くらいあるのですか?
*津久井 IOCの総会やアニュアルイベントつまり定例の会議は、大きなもので、年に3回や4回程度です。その都度、各国やそれぞれのスポーツの連盟、それから政治家の皆さんや、自分の競技を売り込みたい人たちがその場に集うんですね。細かい会議まで入れれば、ドーピング会議など無数にありますね。
*工藤 昨年いちばん思い出深かったのはどの会議ですか?
*津久井 スポーツアコード会議ですね。とてもいい人たちがご出席されていました。また、東京2020にとってはメモリアルな会議でした。ここで都知事がよいプレゼンをされて、そこから反転攻勢が可能になった。僕も出席させていただいて嬉しかったです。各国のスポーツが集まって、話し合って、協定つまりアコードを作り、それを実行していくといった会議ですね。事務局にもあまり日本人がいなくて、日本的には寂しいですけどね。今回の写真は、そのときの猪瀬直樹都知事のお写真ですね。プレゼン前ですが、紅潮されてますね。
*工藤 猪瀬さんについては、その直前にイスラム諸国やライバルのトルコにたいする差別的な発言が大きな批判を受けましたね。
*津久井 あのときにメディアは大変叩きました。オリンピックが駄目になるのではというくらいに叩いたんですね。猪瀬さんも、打たれ弱いところがあって、ピンチでしたね。そこで猪瀬さんはその目前の大きな会議、このスポーツアコードでの外交と英語でのプレゼンに力を入れます。また安倍総理もいいフォローをなさいました。トルコにいかれたときに、エルドアン首相に対して、トルコ国民を気遣うスピーチを披露されました。結果、皆さん許した訳じゃないけど、今回は様子を見ようということになって、猪瀬さんのプレゼンも大成功でした。人のよさが透けて見えるプレゼンでしたよ。決してこなれてもない、プロフェッショナルでもない、素人が情熱を込めた、とてもよい部活的なプレゼンだったんですね。
*工藤 猪瀬さんとは現地ではどのような交流をされましたか?
*津久井 色々てすけど、番外編で言いますと、タバコを一緒に吸わせていただきました。彼は愛煙家ですよね。1ミリとかのタバコでしたけど、プレゼンが終わるや否や次の都市の発表との合間に抜け出して少し離れた喫煙エリアにいってタバコを吸うわけです。そこでは、『ねえ、いまのプレゼンどうだった?受けたかな?』ってお聞きになるんですよね。どの部分がよかったかを細かく知りたがって、自分の感想や回りの感想を申し上げると喜ばれてました。
*工藤 猪瀬さんについての評価はいかがですか?
*津久井 好きです。女性的な繊細さがあるんですよね。自分のスピーチがどう思われたかを、子どものように気にされたり、僕たちと話してくださるときにも、返事に『はいよ!』っておしゃるんです。そういうところが僕は好きでした。いまでも、適任だったと思います。
*工藤 その後5000万円事件でお辞めになったわけですね。
*津久井 僕個人は、被害者ではないので、それについて批判的なことを申し上げるつもりは無いんです。招致の問題とは全く別個だと思います。文藝春秋の編集長さんとお話ししましたら、猪瀬さんと知り合いで、若い頃はお金のない文筆家だから、よく文藝春秋ビルにきては昼飯をおごってもらっていた、と呆れて言うんですね。僕は、微笑ましいと思ったけども。小説家って、そういう、お金についてはパトロンに依存するみたいな文化がやはりあって、そういうところがいい加減だったんだろうと、それから政治のプロが周りについていなかったんだろうと、そこに尽きますよね。
*工藤 ありがとうございます。また次回よろしくお願いします。
*津久井 こちらこそどうもありがとうございます。
(第2回インタビュー終了)
聞き手 工藤
お客様 津久井猛雄さん