「その心配はあまりないかもしれない。さっき、こちらが送った降伏を勧める通信に対しての返信があったよ。同じ様に我々には負けない。と息巻いていた。まあ録画かもしれないが。」とハッデン。

 

 木星では、今まさに巨大粒子砲を戦艦にする改装工事が行われている最中だった。下士官の中にはテティスのスピードを気にする者もいたが、木星艦隊司令官ジョルジョは荷電粒子砲でアルテミス達を撃退することに固執していた。いくら速いと言っても数ヶ月はかかるだろうとタカをくくっていたのだ。

 

その頃ヨシュア達は、アップワードおじさんと地球へ向かう準備を進めていた。

 

「このIDなら俺の会社の従業員と認識される。それに本物のチタンを積んで行けば、もし臨検されても言い訳ができるだろう。今は合衆国軍も居ないしな。」アップワードは言った。

「ありがとう、おじさん。色々迷惑かけたけど、良くしてくれて・・。」ヨシュアは感慨深そうだ。元々そんなにすさんだタイプではない。居候を心苦しく思っていたのだ。ましてストルムグレンに見つかったら、おじさんも殺されてしまう。それを考えると一刻も早く、おじさんの元を出たいと思っていた。

 

「良かったな。好きな子に会えて。」ヤマダは真顔で言った。「だから、お前は何か勘違いしてないか?」とヨシュア。

「まあ、いいさ。俺もいい子を見付けるし。それにお前が上手くいくとは限らない。」そう言うとヤマダはにやっと笑った。

 

「ああそう思ってればいいよ。そんなんじゃないのは知ってるだろう?それにアルテミスは超能力を持ってるんだぜ?お前怖くねえの?」とヨシュアは言った。