「何の用だ。」渋々とアルテミスとの通信に応じる臨時の大統領。「こんにちは、私のことはご存知ですね。太陽系の支配者です。」とアルテミス。なんとも滑稽な言い方だがアルテミスそんな事に気づいていない。

「合衆国市民はお前が支配者などとは思っていないぞ、各地で起こっているデモを知らんのか?」と臨時大統領。

 

地球では突然現れた小娘に反対するデモが広がっていた。そしてネット上には様々な批判、理性的なものから、卑猥なコラージュをして、酷い言葉でアルテミスを罵るものまで。

 

「私がそんな事を気にするとでも?それに、言論の自由を制限するなんて一言も言っていないのですよ?私は。」とアルテミス。

 

「なんだ・・?言論の自由を制限しない?そんなこと誰が信じる?独裁に情報統制は不可欠だ。そんな事も分からんのか?」と臨時大統領。

 

「でも、今現実に何か不都合でもあるのかしら?合衆国軍は実質的に私の支配下にある。あなた方、負けたのは覚えていらっしゃる?じゃあ私を排除してご覧なさいな。」とアルテミスは言った。黙りこくる臨時大統領。

 

「それでね。命令があるのよ。大富豪上位50位までの、財産の半分を太陽系全市民に配分して欲しいの。ただしハッデンは除く。どの位の時間が掛かるかしら。出来るだけ早くして欲しいのだけれど。」とアルテミス。

 

地球の格差はひどいものだった。何十年も、富裕層は相続によってさらに豊かになり、政治的影響力を利用して相続税も着実に減らしていった。政治家も2世3世・・互いに利益を守り合うだけ。そして誕生した8割以上の人が貧困層に転落する世界。前の大統