「合衆国軍人が情けない・・・。何故最後まで戦わないのか?・・」ジョルジョ艦長は言った。彼は降伏など許さない。普段からそう公言している男だ。だからといって高潔な精神の持ち主でもない。ただ凝り固まっているだけ。

 

ここ、木星の基地は新しい兵器を開発する研究所も兼ねていた。ここにあるのは核兵器と強力な粒子砲。ジョルジョ艦長は、それを使ってアルテミスと戦う気でいるのだ。

 

元は火星連合と戦う為に作られた、強力な粒子砲を備えた戦艦。殆んど粒子砲にエンジンと居住区をつけた、といった船である。しかし、問題なのは、完成した船はたったの10隻。

 

「気分はどうだいオリオン。」ハッデンは言った。そんな事を言われても、電源が入り意識が戻っただけなのだが。

オリオンは答えた。「とても良い気分です。ハッデン様。生まれ変わったようです。」

「大げさだな。スイッチ切って入れただけだろ?」とリクト。中々酷い言い草だがオリオンは気にしていない。

 

「確かにその通りです。しかしテティスの中にいるのは気分が良いですね。これからあなた方と働けるのは嬉しい。しかし気になっている事があります。木星の軍事基地はどうするのでしょう?合衆国戦艦のコンピュータにあった情報には、100隻程の戦艦と、強力な素粒子砲を備えた船があるそうなのです。」とオリオン言った。

 

「そうだね。そのことはアルテミスとも話したんだよ。彼女は、このまま地球付近に留まって合衆国市民に支配者であることを、もっと分からせた方が良いと思っているようだよ。そして私もその方が良いと思う。木星から艦隊が来るには6~7ヶ月かかるだろう