「私も考えているんだがね。上手くいかないんだよ。オリオンの思考の速度は人より遥かに速い。人間の時間にしたら数十年研究していることになるんだが。」とハッデンは言った。

 

「それほどに人間の脳は優れているということなのでしょう。私も予想外でした。このサイズから数ヵ月ほどで、人の脳のサイズに出来ると思っていたのです。もちろん私の時間では10年位になりますが」とオリオンは言った。

 

「重力制御を実現したオリオンでも乗り越えられない壁って何なのかしら?もしかしたら、素材に関係はある?私たちの脳は有機物でしょう?無機物とは、何か大きな違いがあるのかもしれないわ。」とアルテミスは言った。

 

「私もそれを疑っています。しかし理想としては全て無機物で実現したいのです。しかし有機物を一部利用して容積を減らせないかと仮想実験を繰り返しています。

オリオンは、こうしてアルテミスと話している間にも思考の中で実験を繰り返していた。

 

       木星艦隊

 

木星にある合衆国軍の残存艦隊。

「火星に集結した艦隊も半分弱が破壊された模様です。残った者は降伏したとか・・。現在兵士たちがどこにいるのかの情報ありません。」副官は言った。

 

送られてくる情報は信じられないものばかりだ。そして敵の船、アルテミスとハッデンの船が木星に来るのではないのか?という不安がある。