「ほんとに?そっか。気をつけてね。」とあっさり克洋。これも正人の怒りに火を注いだ。
二度と会わない、そう心で呟いて、
「お会計お願いします。別で、帰るので」ほとんど全部を聴いていたマスターは
「いいの?帰っちゃって?」これもまたダメ。お前のせいでもあるだろう、余計なことをいいやがって!
ムッとしたまま
「帰ります」もう一度繰り返す正人。
店の外に出て歩く途中も、あいつ止めもしない、もっと止めろよなどと考えている。
そうしながらも怒っちゃいけない、とか、どんな風に戻れるかなんて考えていた。しかしどの考えも恥ずかしくて出来なかった。
テヘテヘテヘごめんね~~って言えればばいいのだがそれも無理。
そして克洋の態度と言葉を頭の中で反芻し始める正人。もはや店に戻ることはない。
自分の復讐が相手にダメージを与えることを夢想しながら歩き続ける。
ラインでもう一度謝ってくることも期待していた。そんなことは起こらないのに。
そしてそういうことがあってもきっと正人は許さないだろう。