私が小学生の頃、
水泳大会があった。
水泳が得意だった私は、
25mクロールに、エントリーすることになった。
くり返すが、25mの距離だ。
プールの端から端まで、片道を泳ぐだけ。
「楽勝だ。絶対私が一番になれるだろう」
そう思った。
そして、これが、
私の人生最初の後悔になった。
今でも、時々思い出しては、
苦い気持ちになる。
なぜか?
本来、25mは、あまり泳ぎが得意ではない子が出る種目だ。
それでも私は、25mに出た。
泳ぎが得意なくせに出た。
だって、1番になりたかったから。
ただそれだけだった。
「50mに出てほしい」先生からもそう言われた。
でも、私は1番になりたかった。
だから、そうした。
もちろん楽勝だったよ。
私が1番になったから。
でも、繰り返すが、
これが私の人生最初の後悔になった。
なぜか?
1番という望んだ結果が手に入ったのに、
私は全然、嬉しくなかったから。
私、嬉しくないんだ。
どうして、、、?
初めて知った気持ちだった。
こんなことがあるんだと思った。
そして年を重ねた今だから、分かることがある。
人には、自分がいるべきステージがある。
1番になりたかった。
どうしてもなりたかった。
選ばれたかった。
勝ちたかった。
負けたくなかった。
でも、
みんなの中の1番じゃなくて、
自分の1番になりたかったんだ。
それが、そう思えることが、
自分のいるべきステージの入り口に来たお知らせなんだとは、
知らなかった。
楽勝の世界で生きていた方が、
絶対楽勝だと思っていた。
私のように、
奮い立たせられなかったことをいつまでもグチグチ思い出して、
挑戦することへの教訓にするのもいいけれど、
「あともう少し勇気が必要だ」
もし、そう思う瞬間があるのならば、
もし、ほんの一瞬、そんなことが頭をよぎることがあるのならば、
あなたがいるべきステージがきた。
そんなことを思い出してほしい。
あなたの勇気となりますように。

