100億円を集めた日本最大のロボットベンチャーが売ったもの

2021-03-25 08:40:43

テーマ:ブログ


※前半のお知らせにあたる部分はカットしてあります。全文は、直前に投稿している「リブログ」をお読みください。   


さらに、以降の文章も勝手に短くしております。僕自身が後で読み返した時の「時間短縮」のためです。  切り取ったり、表現を変えたりしておりまして   、西野氏の本意とは異なる可能性もありますが、どうかご理解下さい。




まだの方は是非、観ていただきたいのですが、ロボットテクノロジー企業『GROOVE X』代表の林要(はやしかなめ)さんと対談させていただいたんです。

林さんが何者かをご説明した方がいいと思うんですけど、もともとはトヨタ自動車出身で、世間の皆様が知っているところでいうと、ソフトバンクのヒト型ロボット「ペッパー」君を開発された方です。

で、その林さんが立ち上げられた新会社が、たしか、今から4〜5年前に大型の資金調達をして話題になっていたのですが、手元の資料によると、21年1月20日時点で、累計133億円の出資を受けたとあります。

で、ずっと「ペッパー君の次に、今度は、どんなロボットを作るんだ?」と皆、ザワザワしていた中、発表されたのが、家庭向けロボットの「LOVOT(ラボット)」でした。

皆さんも1度や2度は見たことがあるかもしれません。なんか、クリクリの目をした、ペットみたいなやつです。

約100人ものエンジニアが集まって、ようやく完成した渾身のロボットなんですが、「どんな仕事をしてくれるのか?」「何の役に立つのか?」が気になるところですが……何の仕事もしてくれないし、何の役にも立たないんです(笑)

何の役にも立たないどころか、ちょっと世話を焼いたりしなきゃいけない。
ロボットといえば「利便性」が、これまでず〜っと議論されてきたわけですが、LOVOTは「利便性の追求」と真逆に針を振っているんですね。


LOVOTがコケたら「もうっ」とか言いながら、起こしてあげなきゃいけないんです。

つまり、「起こしてあげたくなるような愛らしさ」「世話を焼きたくなる愛らしさ」が必要で、それを実現させる為に、100人ものエンジニアが集まり、133億円というお金(期待)が集まっているのが、実に興味深いなぁと思いました。

すごくないですか?


お金を払って買って、世話を焼くんですよ?これは、カテゴリーでいうと、ロボットよりも、ペットに近いですよね。わざわざお金を払って、仕事を増やしているんだもん。でも、そこには、たしかな「幸せ」がある。

僕らは、ペットやLOVOTを買う人が「何を買っているのか?」とキチンと定義した方がいいと思っていて……時間がないので答えを言っちゃうと、僕らが買っているのは「自分の役割」だと思っています。

僕らは、役割を与えられた時に、それがある種のストレスを覚えてしまうものであれば(一般的に)「仕事」と捉えるし、それが快楽を覚えるものであれば「サービス」と捉える。

そう整理すると、「快楽を覚える役割」を僕らは日常で時々買っています。


「BBQ」であったり、「キャンプ」であったり、「パズル」であったり、「プラモデル」であったり、「ペット」であったり、「LOVOT」であったり。

ロボットは人が幸せになる手助けをしてくれる存在じゃないですか?


「LOVOT」は、「人の幸せとは何か?」というところから設計していて、「ストレスがかかる仕事を代わりにやってくれるロボットがいてもいいし、快楽を覚える仕事を増やすのもロボットがいてもいい。それで救われる人がいるじゃないか」という所に着地していて、問題提議をしつつ、問題解決もしていて、見事です。

これを構想するだけの人はいるかもしれないけれど、これを実現させたのは本当に凄い。だって、「人間の仕事を増やすロボットを作りたいんです」と言って、133億円集めれます?

「お金を払って、仕事をしたい人がどこにいるんだよ」という批判がまず最初に飛んでくるのが目に浮かぶじゃないですか(笑)

きっと、林さんも、散々言われたと思います。


これは、僕も実体験としてあって……
僕、時々、クラウドファンディングのリターンとかで「東京タワーの個展の設営の手伝いができる権」とか「エッフェル塔の個展の設営の手伝いができる権」といった感じで、〝仕事を販売すること〟があるんです。 

で、そういうリターンが、ソッコーで売り切れるんですけど(もう取り合いです)、この様子を見たアンチの人達が「詐欺だ〜」とか「信者ビジネスだ〜」とか言うんですけど……もちろん商品の内容(「働く権です」ということ)を全て言っているので欺いてもいなければ、それを買った人が、盲目になっている訳でもないんですね。

東京タワーや、エッフェル塔の設営は「営業時間外」におこないます。

館内の照明が全て落ちた夜中の東京タワーの展望台から、光り輝く東京の街並みを観たことがある人って、ほとんどいないと思うし、


営業終了して人がいなくなった夜のエッフェル塔の展望台から、光り輝くパリの街並みを観たことがある人って、ほとんどいないと思うんですけど……


これ、こういう機会じゃないと、どれだけお金を払っても見ることができないんです。


文化祭の前日の夜、「やば〜い、間に合わな〜い」とか言いながら、準備を進めるの、楽しくなかったですか?あの千倍楽しいです。

「BBQ」しかり「キャンプ」しかり「LOVOT」しかり「エッフェル等の個展の設営」しかり……感情の針がストレスに振れるか、快楽に振れるかで、「お金」が仕事の対価ではなく、逆に流れることがあるということですね。


「仕事を買うなんて詐欺だ〜」「信者ビジネスだ〜」と言っている人に、「ちなみにBBQをやったことはありますか?」と質問すると、何も言えなくなると思うんですけど、サービス提供者さんは、ここを深掘りした方がいいと思います。

お仕事でお芋を掘られている農家さんがいらっしいますが……あなたにとっては仕事かもしれないけれど、上手に設計すれば「芋を掘れる」はサービスにもなるはずで、買いたい人が出てくる。
そこを取りこぼしちゃダメだよね、という話です。