4<的中のヒント>




●当たるレースを見つける近道




 エンジンと選手はどちらが重要なのかではなく、バランスが大切だという話を、味噌汁を例にあげて第2章の6項で書きましたが、ここで的中への近道だと思う方法を1つ紹介します。


 順序として、レース選択をする際にはまず番組表(メンバー)を見ます。


 私が利用しているのは競艇オフィシャルウェブというサイトです。「レース情報」→「番組表閲覧」とたどっていけば、前日の夕方6時頃には翌日の番組が見ることができます。


 これを見て自分が競艇記者になったつもりで「客観的判断」で印をつけてみるのです。


 極力、主観は抑えます。


 そして、出来上がった印を見て、「印通りに買えば当たるだろう」と思えるレースが「当たるレース」の条件なんです。


 「買いたいのは3枠なんだけど、印は1枠かな?」などと、印をつける際に迷ったレースを選んではいけません。


 3枠が買いたいというのは高配当狙いです。自信があるのなら3に◎を付ければいいのです。それなのに1枠に◎を付けるということは、どこかで1がくると思っているか、もしくは、「人気は1枠だろうから」などと思うからです。


 「当たるレース」を選択する場合は、「人気の盲点」なんていやらしいことを考えてはいけません。


 まずは、「誰が考えてもほぼ同じことを考えるだろう」というレースがすなわち「当たるレース」なのです。


 次の5項から実際の買い方を紹介していきますが、盲点をつくのであればそこからの話なので、まずは確実に当たるレースを見つけることから始めましょう。






●後追いをするな!




 「あまのじゃく」という言葉を聞いたこと、使ったことがあるかと思います。広辞苑によると、「昔話に出てくる悪者。人に逆らい、人の邪魔をする」だそうです。ろくなもんじゃないですよね、あまのじゃく。でも、私たちが通常、使う場合はそこまで悪者じゃないですよね。「ヘソ曲がり」とか「ちょっとした変わりモノ」程度だと思います。


 私はどちらかと言うと「あまのじゃく」だという自覚はあります。あえて他人と違うことをしようとは思っていないんですが、世間の考え方と違うと思うことは少なくありません。


 舟券を買う上では「あまのじゃく的な発想」は必ず必要だと思います。それが「後追いをするな!」ということなんですけど、具体的に説明しましょう。


 その考え方は、記者として予想する場合にも考慮すべきことだったのですが、舟券を買う場合にはものすごく大切なことだと思います。


 こんなレースがあります。


 あるA2級選手、初日1着1着の2連勝で迎えた2日目の8Rは1枠。新聞の印はもちろん◎で人気を集めますが、堅いかと言えばそうでもないんです。


 いくら成績が良くてもその内容によるわけです。


 1走目は3枠・3コースから外マイして2位追走の形。しかし、先頭の1枠選手がフライングのため戦線離脱で繰り上がっての1着。


 2走目は4枠・4コースから差して1着。3の捲りを1が抵抗し、2人がターンで流れたのが原因で1着を取ることができたとしましょう。これは運の占める割合が高かった2連勝です。


 大切なのは成績ではなく、実際の気配がどうかということです。見た目は可もなく不可もなくのような場合でも、2日目の8RでこのA2級選手は人気になります。エンジンは普通なのに成績が良いからです。もちろん、これは極端な例ですが、記者が成績を理由に◎をつける行為は「後追い」と言えるし、成績が良いから次も1着の舟券を買うという行為も「後追い」と言えるんです。


 得てして、この浅はかな舟券は紙クズと化します。ここは単純な問題ではないのでもう少し詳しく書きます。


 2回走りの選手で、前半は人気になって飛び、後半は人気を下げて入着するというパターンはよくあります。


 この逆、前半の人気薄の時にきて高配当を提供、そして後半は人気になって飛び、これまた高配当を提供というパターンもあります。


 そう、後者が「後追い」の典型的なパターンです。


 前半で人気薄なのはそれなりの理由があったのです。基本的にエンジンが悪いから人気にならなかったわけです。それなのに展開に恵まれて1着できたとします。


 エンジンが良いわけではなく、展開が向いて1着にきたのにファンは勘違いするんでしょう。


 後半は「前半1着だから」という理由で人気になりますが、実際のエンジンは悪いままです。後半で飛ぶのは当たり前なんです。ちょっと極端な例でしたが、「後追い」とはそういうことです。


 後追いばかりしている記者と、しっかりエンジン気配を把握している記者とでは、的中率で必ず差がつきます。それと同じで成績重視のファンとエンジン重視のファンとでは明らかに差がつきます


 どちらも長い目でみた時、後者の勝ちです。


 ただ、成績の良し悪しはエンジン気配に比例することが多く、成績の後追いが100%悪いとは言えません。成績はさておき、レースをしっかり見てエンジン気配を重視すべきなんです。成績だけで気配を判断するのは危険です。エンジン気配を把握することが後追いをしなくて済む方法です。


 前出の2つのパターンで言うなら、舟券で勝つのは前者のパターンを見つけることができる人だと思います。