発明の進歩性を考える

発明の進歩性を考える

特許は企業の競争力の源泉です。
発明が特許されるための最大のポイントは進歩性です。
進歩性とは、その発明を同業者が簡単に思いつくことができたかどうかをいいます。
進歩性について争われた最近の裁判例を分析して、進歩性の「いま」と「これから」を考えていきます。

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都内の小さな特許事務所を経営する弁理士のMです。

このブログでは「発明の進歩性」について考えていきます。


素晴らしいアイデアを思いつきました。苦労して試行錯誤して商品化にこぎつけました。
これを売り出したら儲かりそうです。
でも他の人に真似をされたら困ります。商品の売れ行きは下がってしまいます。これまでの苦労が報われません。

困るのは発明した人だけではありません。日本全体が困ります。
日本のように資源が乏しい国では、アイデアが国力の源泉になります。
どんどん良いアイデアを発想し、素敵な商品を作り、それを国内や海外で販売して利益をあげていくことが、その企業、ひいては日本を豊かにします。

ですから、アイデアはしっかり守っていく必要があります。
他人に真似をさせてはいけません。
そのための武器が特許や実用新案、意匠、商標などの知的財産権です。

発明に進歩性があるとは、その発明を同業者が簡単には思いつけなかっただろうな、ということです。アイデアが特許になるかどうかの最大のポイントです。

発明に進歩性があるかどうかを判断するときには、その発明ができた時代に遡って同業者の発想レベルを思い返し、当時何が知られていて何がまだ知られていなかったかをまず明らかにします。
その上で、さて同業者だったらこの発明を簡単に思いつけたかな、いやこの発想は斬新だから簡単には思いつかなかっただろうな、なんてことを考えていきます。

進歩性が有るか無いかは、この「簡単に思いつけたかどうか」で決まりますから、そのボーダーラインはとても曖昧です。しかも、その発明ができた当時の常識と今の常識はだいぶ違いますから、よく争いになります。

そこで、最近の裁判例を分析して発明の進歩性について考えていきたいと思います。
進歩性のボーダーラインの「いま」を追い続けることで、「これから」が予測できたらいいなと思っています。