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ながからむ 心も知らず 黒髪の

 乱れてけさは ものをこそ思へ

20151208 倭塾・動画配信サービス2

あなたの心が末長く変わらないかどうかも分かりません。
お別れした朝の黒髪が乱れているように、私の心も乱れて思い悩んでいます。


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「ながからむ」は、黒髪が長いことと、長く思い煩った心を掛けています。
そして黒髪の乱れは、夜の行為を想起させます。
激しい恋の一夜が明けて、今朝は相手の男性を思い心を乱している様子を詠んだ恋の歌です。
けれど詠み手の名前が「待賢門院堀河」と記されていますから、ただの恋歌ではなく、何か別のメッセージが込められていることになります。

待賢門院は崇徳天皇の母親です。
息子の崇徳天皇が強引に退位させられて、代わりに近衛天皇が即位したため、侍女の堀河を使って近衛天皇を呪詛していると噂されました。
「堀河は神祗伯の娘だから神通力があるだろう。だから待賢門院は侍女の堀河をつかって、近衛天皇を呪詛させているのに違いない。
近衛天皇が病弱なのは、そのせいだ」というのです。
とんでもない噂です。

心を悩ませた待賢門院は、「ならば」と出家を決意します。
そして女性の命ともいえる美しい黒髪を剃り、仏門に帰依します。
そして、堀河も待賢門院と一緒に剃髪し、出家してしまうのです。
悲しいことです。
前にも書きましたが、出家というのは、この世のすべてを捨てて、ただ一途に仏の道を歩むことをいいます。
家も身分も親兄弟も恋人も子も、すべてを捨てて僧籍に入るのです。
詳しいことは伝わっていませんが、待賢門院も堀河も、美しい髪が自慢の女性であったかもしれません。



ながからむ心も知らず黒髪の

2017年04月06日05:21  




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