国際法と国際政治から読み解く現在

国際法と国際政治から読み解く現在

アメリカ在住。国際法が専門分野。話題の政治ニュースを分かりやすく解説。国際政治、憲法、哲学、地域、国際関係学幅広く対応。

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今回のインターンシップの目的は、NPO 先進国といわれるアメリカにおいて、NPOが活動を継続し、発展していくためにどのような運営方法を採用し、行政やその他の関連する組織とどのような関係を築きながら活動しているのか、その仕組みを明らかにすることであった。

 

今回、大学のプログラムを通じて、実際にその社会の一員として現場の人々と交流し、意見を交わし合うことで、自国との社会のありかたと文化の違いに直面することができた。二ヶ月半の貴重な体験から得られた発見を通じて、冷静に日米市民社会を比較することで導き出された日本に向けた提言は、将来の日本国民が活躍するあり方を見直し、グローバル時代において個人が民主的自律を実現する社会秩序を目指したものである。

 

自発的、他の組織から独立した形で、新たな公的サービスを生み出す主体が社会民主化のキーパーソンとして、国家と国民に恩恵を与えていくようになる。その主体がまさに「民間非営利団体:NPO」である。私は、アメリカの政府機関、企業、市民社会の三角関係がバランスを保ち、お互いに影響を与えながら、お互いの存立を支えていることに着目した。

 

日本でも、特定非営利法人(NPO)、民法上の公益法人である社団・財団法人、病院、学校、宗教法人など、多様な民間非営利セクターが社会を支えている。

 

しかし、国際的な比較の視点で見てみると、我が国のNPOの社会的、経済的インパクトは先進国の中では下位に位置するといえる。また、国際社会にインパクトをあたえるようなNPOで我が国から発信されたものは数少なく、NPOセクター自体が企業や政府の存在によって埋もれてしまっているように思える。

それは、民間非営利部門に従事する労働者の割合、ボランティアへの参加人数や寄付金額などいずれの観点からみても、NPOセクターの規模が小さく、現在の時点では発展途上にあることが指摘される。

また、そのような数値が表す事実以上にそのNPOの経営運営のありかた、その活動をとりまく市民社会があたえる作用という面から、日本におけるNPO文化のこれまで以上の発展の可能性が見出せることは言うまでもない。

 

次回から、インターンシップの実習経験に基づき、とりわけ先進的で、社会に有益なアメリカNPO文化の実体を紹介し、その中でも日本のNPOの課題とは何なのかを明らかにしていきたい。