アフリカの南部マラウィで仕事を始めてもうすぐ2年になります。アフリカで長期赴任をするのが初めてでしたが、今では、アフリカの可能性や不確実性を理解出来るようになっています。


しかし、現実のアフリカは私の感じる限りでは、『現状維持』が精一杯な状況です。特に、開発援助の理論構成や実務での新しいアプローチはどん詰まりだというのが私の認識です。


10数年前は『参加型開発アプローチ』が援助のメインストリームに躍り出て、一躍ブームになったものです。今では参加型開発は援助の基本となり、実務家の間でもその認識はある程度一定しています。


その一方で、経済成長を伴った開発、つまり所得創出を伴った、実効性のある開発援助に関して実務家は暗中模索の状況が続いています。私も、マラウィで村落開発の仕事を始めて2年が経ちますが、例えば、安全な水、トイレ、食の安全保障などのベーシックヒューマンニーズに関する、つまりは貧困国を下支えする援助に関してはある程度のノウハウを持ち得ていますが、それに加えて日本の道の駅や一村一品などを通した所得創出、そして雇用を通した所得創出に関する実務的な理論構成は弱いというより、確立され実務に役立つ論理構成とアプローチが見つかりません。


ひらめきの導火線 (PHP新書)/茂木 健一郎
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脳科学者の茂木健一郎氏は、創造性は前頭葉の意欲と側頭葉の経験のかけ算であり、考え続けることで脳は成長するそうです。そしいて脳の学習はオープンエンドで終わりのない旅だそうです。そして考え続け、探し続ける過程はとても苦しいけれどその苦しさを経てひらめきにたどり着いたときほど脳が喜ぶことはなく、創造性は無からは生まれない。つまり、今まで先人が築き上げてきた普遍性を土台にして新しい論理や実務的なアプローチが生まれます。


今年はマラウィでの仕事をもう少し論理的に組み立てて行けたらと思うのでした。









今年の夏で6歳になる娘に算数を教えています。去年は1100までの数字を繰り返し復唱出来るようになったので、足し算を始めています。まずは、+1の計算。これは意外と簡単に理解する事ができたようなので、次は+2の計算。これも一ページのドリルを3分以内で計算できたのでクリアーです。3分という数字は反射神経の範囲で計算しているという事が理解出来ます。今は、+3の計算式を勉強中。一ページのドリルを6分~10分の範囲で計算しているので、考えながら答えを導き出している事が理解出来ます。時々、34の計算に時間がかかっているので、これは5を超ええての計算に複雑性を感じているのでしょう。それ以外の+3はほぼ理解し得ています。これを何度も繰り返し、次は+4の計算式に進みます。



娘の算数を教えている時、ふと思ったのが、人材育成の発展段階論です。人間の発想やひらめき、そして創造性はどこから来ているのでしょうか? 私は『脳科学』を勉強中です。



さて、話が脇に逸れてしまいましたが、国際協力分野の扉を開ける人材の多くが異分野で一度社会人を経験しています。だから、国際協力分野に参入してもスムーズに業務が行えるのか?と聞かれれば、答えはNoです。


その時参考になるのが乳幼児の学習過程だと思います。+1の足し算が出来ない子どもは+4の足し算は難しくて時間がかかるか、間違えてしまいます。子どもは『出来るという喜び』を体に感じて次のステップに進む意欲が沸きます。大人であれば脳が『ドーパミン』を発し、喜びと同じ作用を感じます。



では、乳幼児と接する時に最も大事な事は、『知りたい』という意識をどうやって掘り起こすかです。裏を返せば、『知らない』ことを知るが故に、『人に教えてもらいたい』という行動につながって行きます。つまり、意欲と行動は表裏一体です。反対に、国際協力分野の多くの新人は素直な気持ちで、『自分は何も知らない』と思えないところにあるのではと思っています。つまり、『中途半端に知っている』が故に素直になれず、基本の動作を身に付けられないまま進んでいく事がしばしばあります。



どんな分野であれ、+1の足し算が出来ない人がそれを飛び越えて+5の足し算が出来ないのと発想は同じではないでしょうか。娘の足し算を教えながら、ふと自分が行っている人材育成について考えました。教える側も乳幼児に与えるような発展段階的教育を実務として行えているでしょうか? 



私は性格が短気でせっかちな方だと思います。時々、+5の足し算が出来るのだから、+9の足し算も出来るのではないかと期待してしまいがちです。それは、国際協力分野では即戦力を求めている事が多く、私の考え方では3ヶ月を一つのサイクルと考えて、人材育成発展段階を考えているからです。でも、時々いるんですよね、+5までの算数は出来るけれど、+6の計算式で躓く人が。そんな時、気長に待てるほど余裕のある分野であれば良いのですが、国際協力分野はそれほど猶予のある仕事ではないのです。だから、出来る限り、基礎を身に付けてから国際協力の分野へ参入してきて欲しいと思います。







マラウィでは大統領選挙まで約一ヶ月。最近の世論の動向を見ると、やはり現大統領ムタリカ率いる、与党民主進歩党(DPP)が勢いを見せています。各種世論調査を分析すると、DPP45%~50%の支持率を見せています。

一方、今回の目玉そしてダークホースでもある、テンボ氏が率いる国民議会党(MCP)は中部票をきっちり押さえ、15%の票は確保した模様。加えて、前大統領ムルジ氏率いる統一民主戦線(UDF)は南部を中心に2530%前後の票を確保しています。残りは独立系立候補がひしめき合っている状態です。

前大統領ムルジ氏率いる統一民主戦線(UDF)が国民議会党(MCP)との連立を決めてから、今のところ大規模な政治暴動に発展する可能性は少なくなりました。次の危機は選挙結果の発表後だと思います。しかし、現大統領のムタリカが勝利しても、テンボ/ムルジ野党連合が勝利してもその差は5%以内だと分析しています。

その時に、平和的な政権の維持もしくは交代が行われるか否かが鍵となりそうです。

マラウィの政治が動き始めています。


野党統一民主戦線(UDF)率いる前大統領のムルジ氏、選挙管理委員会から大統領候補資格なしとの勧告を受けた後、法廷闘争チームを編成したものの、高等裁判所で審議拒否を突きつけられています。


その後、噂は絶えなかったものの、突如大型連立を発表!

中部に安定的な政治基盤を持つ、テンボ氏率いるマラウィ国民議会党(MCP)と選挙連立を発表。共同して選挙を行うと発表しました。


あれほど、争いが耐えなかったUDFとMCP。ここに来て急転直下の政治連立です。多くの政治評論家は、これで選挙が一段と混沌としてきたと分析しています。今までは、与党DPP, 野党UDF, MCPの力が均衡し、例えるならば三国志のような状態でした。


この政治バランスの均衡が破れ、ムタリカ大統領率いる与党DPP対野党連合(UDF, MCP)の一騎打ちの選挙戦に突入の様相を呈しています。


違った見方をすうると、UDFとMCPの青年部は過激派として最も有名なんです。先々週も首都のリロングウェで派手に武力闘争を行っていたくらいですからね。


中部に安定的な基盤を持つMCP,南部を中心に根強い人気を誇るUDF、反対に安定した経済運営と補助金制度を利用し、メイズの生産性を維持し、国民の不安を取り除いている現大統領ムタリカ氏。残る拠点は北部票の行方ですね。


まさに三者の思惑が入り乱れ、ガチンコ勝負の選挙戦に突入です












マラウィの消費者センター(The Centre for Social Concern)は、リロングウェ、ブランタイヤなどの都市部に住む一般的な6人家族の生活費は2009年3月現在、50,159MKW(日本円で約37,619円)と発表しています。


2月から主食でもあるメイズの価格が下がっているので、先月よりも3.2%減です。しかし、これには、医療費や教育費などは含まれておらず、家族が最低限暮らしていける額を示しているにすぎません。


それでも、マラウィでは主食でもあるメイズ(トウモロコシ)の収穫が順調に進み、3,900MKW(50kg)から3,250MKW(50kg)へ16,7%下落するなど、生活はある程度安定しているのが現状です。その一方で、南部のブランタイヤなどでは4,000MKWを維持するなど、都市間での格差が生まれているのも現状です。


マラウィでも確実に都市化が進んでいる事を分かる数字です。