20歳のころに調査をした考察部分です。
10年前と今と気持ちは何も変わっていなかった。
Kさんと夫、そして家族はKさんが脳梗塞で倒れ、要介護状態になってから介護保険制度について知り、在宅サービスを知ったそうだ。
Kさんの家族が、頻繁にKさんの様子を見に来てくれていたから、介護保険制度や在宅サービスについて知ることができたのかもしれない。
Kさん夫婦だけでは何もかも分からない状態だった。介護保険はどのように利用するのか。介護保険サービスについての情報を、どこから得るのか。
市区町村では、情報公開や提供が行われているが自分の周りには、まだまだ少ないと感じる。宣伝や広告ではなく、情報は充足するべきである。
情報を得るためには、社会福祉協議会、社会福祉事務所、それぞれの施設に行かなければならない。
そのためには、社会福祉協議会、社会福祉事務所、高齢者施設がどこにあるのかを、分からなければならない。
または、インターネットによって施設や在宅サービスについての情報を得るしかない。しかし、Kさんの場合は、インターネットの活用はなく、新聞もKさんが入院してからは購読をやめている。
さらに自家用車もなく、交通手段はタクシーかバスに限られるがバス停までは、徒歩で10分もかかる。
Kさんの場合は、家族の助けがあったが家族や子供の支援がない高齢者、あるいは支援はあっても限られている高齢者はどうしたらいいのか。そういったことも、何らかの形が見えてこないといけないのではないだろうか。
実際にそういった情報不足の状態で介護サービスを受けたくても受けられない高齢者はたくさんいるのではないだろうか。
Kさんは、在宅サービスなどの情報は、ほとんどが家族からの情報によるもので、地域や隣近所からの情報は、ほとんどなかったという。
もともと地域交流が深くはなかったKさんは、要介護状態になったことで、さらに地域・隣近所との交流が少なくなったのは確かであった。
これが、仮説の一つ目である地域からの孤立化である。この孤立化によって地域からの情報や付き合いが少なくなる。さらに家族の支援や介護力が低い場合には、情報不足と介護不足によって、介護者の負担は増大してしまう。
Kさんの場合は、介護力の低下は確かにあった。核家族化によってKさんの介護は夫が全てを担っている。
しかし、このような場合でも、Kさん家族のように息子たちがKさんと夫を気遣い、支えている家族に介護力の低下を決めることはできなかった。
よって仮説の二つ目である、介護力の低下による孤立化は成立させることはできない。
ただ、この調査がKさんだけに限られているため、実際の割合や対比をすることは難しい。さらに多くの調査対象者を増やし比較対象が実施できたらと思う。
Kさんに関しては、核家族化による介護力の低下はあったものの、介護者の孤立化は見られず、それを補う支えがあったため、私の仮説は正しいとは言えなかった。
しかし、地域や隣近所との交流が少なく、孤立化によって情報が不足し、介護サービスなどの活用やサービス利用までの過程が十分に検討することができていないことは、私の仮説は合っていた。
介護サービスの内容や種類を考えるよりもまず、先に考えていかなければいけないのは、こういった地方や家族、親戚からの援助がない高齢者をどう救っていかなければいけないかだと思う。
地域ぐるみの福祉政策など最近は地域を中心としたケアが注目されているが、Kさんのように要介護状態になった高齢者はなかなか外に出られない。出る機会があっても気持ちがのらない。
そういった場合はどうしたらよいのか。地域といっても実際は健常者のみの集まりになってしまうのではないか。健常者だけが集まるということは後遺症や障害を持っている方は、なおさら参加できにくいのではないだろうか。介護サービスは申請主義によってメリットも多いが、こういった措置制度のメリットが、今のデメリットに繋がってくる。
調査前は、過疎地域こそ地域ぐるみの交流や介護サービスがあると思っていた。
しかし、それは一部の地域だけであって、私が調査した地域では、地域交流といえるような交流はなかった。
また、介護サービスは選択するほど多くなく種類が少ないようだ。その少なさから介護サービスの選択ができなく比較もできないそうだ。
ひとつの施設は土日の送迎バスがない。また送迎バスが土日もあるところは有料であるそうだ。そういった状況では選択の余地がないということである。
都市部には確かに多様な介護サービスの事業所や施設があるとが、地方には少ないことも確かである。施設や介護サービス事業の利益優先という考え方。経営者としては妥当な考えである。
だが、この考えが地方と都市部の介護サービスの格差を生んでいるのかもしれない。情報不足と介護不足によって孤立化が起きると考えていたが、老老介護状態の高齢者だけでが孤立しているのではなく、地域が孤立してしまっているのではないかとさえ感じた。
この調査で分かることは、情報不足による一つ目の孤立化、介護力の低下による二つ目の孤立化は成立するということ。
しかし、二つの孤立化は家族の支えによって解消されることが分かった。今後、高齢者へのサービスが、ますます増えることが予想される。サービスの種類や質で高齢者を支えていくのは当たり前であるが、高齢者を支えられる大きな柱は家族であることを、この調査では考えさせられた。