大くらです。

兼常清佐という人の本を読んだ。まだ途中ですが。
この人の事は知らなかったのだが、明治生まれの音楽評論家で、西洋から音楽が取り入れられていく中、ニッポンの言葉や旋律、音楽とは何かを論じた人です。
著書は多く、またとても理系なアプローチをする人なので、中には

「バデレウスキーが叩いても、私がこの万年筆の軸で押しても、…猫が上を歩いても、同じ鍵盤からは同じ音しか出ない。どの指で、どんな形で、どんな打ち方で叩こうと、そんな事は音楽の音とは別になんの関係もない。」

なんて事も書いている。
それを実験で、ピアニストが出した音と、万年筆で押した音の波形を記録、比較して、「違いは見られない」などと言ったりしてるのだ。笑。
極端でかつ徹底してて思わず笑ってしまった。

けど、その冷静な目は、俺らにとっても大事やと思いました。
感動とか、懐かしいとか、心の動きのその正体とは何なのか。
ロマンチックに語る事と、冷静に分析する事。それができてはじめて、猫や万年筆とは違う音が出せるんちゃうやろか。