私たちの心と身体は、「認識」と「現実」とが一致していれば幸せを感じるような仕組みになっている。
ところが、世の中は自分の思い通りに進まないし、他者は自分の気に入るように動いてくれない。
認識と現実がズレると心と身体はストレスを受ける。
私たちはつねに認識と現実のギャップを補正しながら生活している。
ギャップを補正する戦略の幾つか。
高い木の上のブドウは届かないのであきらめなければならない。
→どうせ、酸っぱいブドウに違いない、と、うまい理屈をつけて自分をごまかす。事実を歪曲する。
これを「合理化」という。
自分の認識がズレないように、現実から目を背ける。これを「現実否認」という。
これがひどくなると引きこもりになる。
ずれを他人の正にせいにする。自分が内包している感情や認識なのに、これを他人が持っていることにしてしまうこ。これを「投影」という。
本来自分で背負うべき荷物を、無意識に他人に背負わせることがあるが、これも投影。集団で特定の人を相手にこれをするといじめになる。
男の子が好きな女の子をいじめるように、求める方向と反対方向の行動に出てしまうこともある。これを「反動形成」という。自傷行為もその一種。
本来すべきことを別の事柄にすり替えてごまかす「補償・代償」もある。ストレスから過食や拒食に走るように。
(釈徹宗「いきなりはじめる仏教生活」より)