貴重な標本が捨てられていくという現実を私が初めて実感したのはもう10年以上前でした。当時私は大学に勤めていました。
ある日ゼミの学生が「先生、これいる?」と言って標本箱を持ってきました。聞けば彼の近所の粗大ゴミ置き場に捨ててあったそうです。何十箱もあったようですが1箱だけ拾ってきたようです。その標本箱の中に当時もう絶滅していた高尾山のギフチョウの標本が入っていたのです。その標本の持ち主はどうなってしまったのかわかりません。でもこうして貴重な標本がゴミとして消滅していってしまうんだ、そう思うと愕然としたことを今でも良く覚えています。粗大ゴミ置き場にあった残りの何十箱はもう戻りません。
その後、虫仲間が亡くなったとき、その標本の引き取り場所がなくて結局ご遺族が捨ててしまった、という話もいくつか耳にしました。この国はこのような大事な資産の保存にお金を使う気がないようです。でも、虫屋の力を合わせてひとつの運動体として結集すれば、国やその他の財団への要請の大きなパワーとなります。幸い、私の思いに共感してくれた方が土地は提供してくれました。
署名も募金も続々集まっていますよ。みなさんありがとう!