インドと言えばシルク、パシュミナ、宝石、白檀などが有名です。
北インドは、パキスタンとの国境にあるカシミール産の上質のシルク製品・・・ストールや手織り絨毯の取引が盛んです。
シルク製品はアッサム、カシミール、バラナシ、カルナータカなど地域によって、手触り、艶、刺繍等が違いますが、シルク専門の高級サリー店では、インド全土のシルクを扱っているところもあります。
ある高級シルク店に行ってみました。
店に入ると先ず、「どこ産のシルクをご所望ですか?」と聞かれます。
正直、「どこ産って言われても・・・。どこ産があるの?」というのが私たちのレベルです。
「大体、インド中のものが揃っています」と、首をくねくねしながら店員が自慢げに店内を案内してくれます。。
見るとスゴイ!ずら~~っとシルクの布が並んでいる。シルクだらけ・・!!
地域別に分けられた棚に、ぎっしりと並べ立てられた布地の中から、お気に入りを探すらしい。気の長いインドの人々は、出されたチャイをゆっくりすすりながら、しっかりとお喋りをしながら、抜け目なく情報を収集し、生地選びをします。
今日決まらなければ明日がある・・。一見、せっかちそうなインド人達ですが、こういうところでは決して焦りません。
丹念に、生地を触ったり、広げたり、畳んだりしながら、なが~~いお買い物をします。
インドでも多忙な?暮らしをしていた私たちには、悠長に生地選びをする暇など殆どありませんでした。
けれども、たまたま見つけたインド文化集大成のような専門店では、店員や買い物客から、インドの地域や織物や絨毯や宝石に関する知識等を熱心に聞きかじることが出来ました。
高級サリー店に入ると「マダム、何かお探しですか?」と、パリッとした背広姿の担当者がやって来ます。
「サリーの生地を・・」というと、どういうわけか先ず見せてくれるのは“ヤスモノ”。
「こんなの話になりません!」と突き返すと、徐々に格上げしていきます。突き返すたびに見せるものが「高級化」してくるわけです。徹底してもっといいものを要求すると、店主がやって来てお相手してくれます。22Kの金糸をふんだんに使って織ったキンキラキンの豪華な婚礼衣装なども披露してくれます。
これぞシルク!というイイモノを見ると、普通にある高級品?は安っぽいものに見えてきます。
前にも書いた通り、インドの高級店は、何の買い物であっても、宝石屋を覗く時と同じ心得が必要です。
「いいものはすぐには出してこない」のです。
ある人が言いました。「インドに詐欺はない!」と。
見る目がない人が高いお金を出してヤスモノを買うだけ・・。
宝石にしろ、ストールにしろ、絨毯にしろ、ヤスモノに投資しないよう健全な眼力を養うことが快適なインドの旅のコツかもしれません。
最近、日本でもパシュミナのストールをよく見かけます。
パシュミナとは、ヒマラヤ山脈周辺、特にネパールの4,000mの高地に生息する、パシュミナ山羊の顎から胸にかけての非常に柔らかい保湿性のある羊毛のことです。
「シャトゥーシュ」がワシントン条約で取引禁止になっているため「パシュミナ」が高級化しています。
「シャトゥーシュ」は、絶滅危惧種のチベットアンテロープの毛で織られているもので、「リングショール」とも呼ばれていました。
指輪を通り抜けるほど薄く、軽いのに、暖かさはヒツジを1頭首に巻いたほど・・と言われています。
以前、聞いた時、1枚、現地価格50万円位、日本価格100~200万円と言っていました。
20年前、北インドのある店で「シャトーシュを見れますか?」と聞いたら、急に小声で、「シャトゥーシュの話はしてはいけません」とたしなめられました。
「分かりました。でも、いくら?」と聞くと、店主はさらに声を小さくして、ささやきました。「25万円位」。
これは、買ってはいけません!売ってもいけません!
売買は絶対禁止の品物です。
インドの伝統的なものを扱う店を覗くことは、インドの文化やインドの人々の生きざまを知るうえでとても勉強になります。
カーペットも、一枚織るのに「親子3代」かかったというものがあります。丁寧に芸術的に織り込んでいくのですから、彼らの努力や費やした年月を考えると、200万円や300万円では安すぎるように思えてきます。目の前で黙々と糸を紡ぎ、機を織る彼らの仕事ぶりを見たら、手持ちのお金があればいくらでも払いたい気持ちになります。