昨晩は大和物語の予習をしながらボロボロ泣いてしまって、それから怖ーい「真昼の悪魔」を見たせいか、なかなか寝付けなくなって難儀しました。


大和物語は遍照の出家の段。毎年扱っている教材なのですが、先日長谷寺に行ったばかりで妙にリアル。

いいトシをして、泣けてしまいました。

 

最愛の女だから出家の決意を伝えなかった男、自分が最愛の女なら是非打ち明けてほしかったと悲しむ女。その違いがまたたまらない話です。


大和物語は、大人向きのビターな話が多くて大好き。
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実は、少将には三人の妻がいたのですが、つながりの薄かったほかの二人には、「実は世を捨てようと思っているんだ」と告げてありました。しかし、最愛の妻だけには、言わなかったしそぶりも見せなかった。いや、言えなかったのです。彼女に話してしまったら、彼女の顔を見たら、決心が鈍ってしまう……

なにも告げずに姿を消した夫を、悲しくつれなく思い、妻は初瀬のお寺を参詣しました。
少将は法師になって、蓑ひとつを身にまとい仏道修行にめぐり歩いていましたが、ちょうどその日は初瀬で勤行の途中。妻のいる局の近くでお勤めをしていました。
「生きてこの世にいるのなら、もう一度だけ夫に逢わせてください。もし、身を投げて死んでいるなら、成仏できるよう……そして、夢にでもいいからあの人の様子をどうか知らせてください」
妻は導師に訴え、泣き崩れました。
はじめはまさか妻とは思わなかった少将も、それと気づくと、とても苦しい。悲しくて逢いたくて、正気を失い姿を現したい衝動にかられますが、必死でとどまります。妻や子が、泣く泣く祈る声も聞こえてきます。しかし、こらえて泣き明かし、朝を迎えます。