この本の著者は公認会計士の試験に落ちながら試験委員を務めたことで(?)有名な金児昭さんです。
金児さんの主張で最も共感するところは
会計の目的は「人間を幸福にすること」である
という点です。
会計の役割とは
①業績変化のシグナルの早期発見
②販売や製造部門の仕事のバックアップ
③会社の財産を守る
と金児さんはおっしゃいます。
どれも会社を守る、つまりは従業員やその家族を守ることに繋がるんですね。
日々の変化に気付けることこそ、経理に携わる人間に必要な能力なのではないでしょうか。
では、その数字をどう見るのか。
BSやPLだけを見ていたらシグナルを見落とすかもしれません。
基本的すぎることですが、
売上=数量×単価
という式が成り立ちます。
しかし、PLには「売上高」として掛け算された後の金額が計上されてきます。
もし、営業の人が売上ノルマ達成のために値引き販売を始めたらどうなるでしょうか。
最終的な売上は伸びていても、式の中身を見てみると「ちょっとヤバイぞ」となる訳です。
通常は売上"数量"の増加に伴い仕入”数量”も増加します。
当然営業マンが値引きをするので粗利は低下しますが、PLだけを見ていては
仕入価格が高騰して粗利が低下したのか、売上単価が下がって粗利が低下したのかが分からないのです。
当然といえば当然ですが、ついつい最終値(それも最後の「当期純利益」だけ)を見てしまうという人も
多いかもしれませんが、その数字の内訳をきちんと見るということがシグナルを見付けるヒントになるかもしれません。