―― 恵比寿の不動産会社が綴る、
ある「人生の守り方」の記録
ーー佐藤さんはただ不動産屋ではありません
1. 止まった時計と、広すぎるリビング
夕暮れ時。58歳のM・Yさんは、広いリビングのソファに深く腰掛け、沈んでいく太陽を眺めていました。 10年前、妻の美智子さんと一緒に、この家の図面を広げて笑い合った日のことを思い出さない日はありません。
「日当たりのいいこの窓辺で、孫を抱けたら最高だね」
そんな夢は、5年前、美智子さんの他界とともに潰えてしまいました。 以来、この家は「幸せの城」から、「静寂が痛い箱」へと変わりました。 一人分の食事、鳴り止まない風の音。夜、テレビを消すと、あまりの暗闇に呼吸が苦しくなる。それでも、Yさんは誰にも言いませんでした。
「父親なんだから。男が一度建てた家を、簡単に手放しちゃいけない」
庭の草は伸び放題になり、二階への階段を上がる足取りは、日に日に重くなっていました。
2. 息子からの、震える声の電話
ある夜、遠方で暮らす息子から一本の電話が入りました。 他愛もない会話のあと、息子が絞り出すように言いました。
「父さん。この前帰った時、家の中、少し荒れてたろ。……もう無理してないか? その家を一人で守るのが、今の父さんの『正解』には見えないんだ」
Yさんは食い気味に返しました。「大丈夫だ。ここは母さんと建てた家なんだ。俺が守らなくて誰が守るんだ」
電話を切ったあと、Yさんは暗闇の中で初めて嗚咽しました。 「大丈夫じゃない」自分を、一番分かっていたのは自分でした。 でも、どうすればいいか分からない。家を売ることは、思い出をゴミ箱に捨てることと同じだと思っていたからです。
3. 恵比寿の小さなオフィスで、止まっていた時間が動き出す
体調を崩した病院の帰り道、Yさんは重い足取りで、知人に紹介された「株式会社イノベーションナイン」のドアを叩きました。 出迎えたのは、担当の佐藤さんでした。
「売却の相談ですよね。でも、まだ売るかは決めていないんです。妻との思い出が詰まった家なので……」 うつむいて絞り出したYさんの言葉に、佐藤さんは資料を広げるどころか、優しくお茶を差し出し、こう言いました。
「Yさん、今日は不動産の話は一切しなくていいですよ」
佐藤さんの目は、商売をしようとする人の目ではありませんでした。まるで親しい友人を心配するかのような、温かな眼差しでした。
「家を売るかどうかを決める前に、まずはYさんが、今どれだけ頑張っていらっしゃるか、私に教えていただけませんか? 私は、家を売らせるためにここにいるのではありません。Yさんが、明日から少しでも楽に呼吸ができるようになるお手伝いをしたいんです」
その言葉に、Yさんの強張っていた肩の力がふっと抜けました。
4. 「奥様なら、今、なんとおっしゃいますか?」
一時間、二時間。Yさんは、誰にも言えなかった本音を話し続けました。 階段が怖くなったこと。庭の手入れが苦痛なこと。そして、何より「家を売るのは、妻への裏切りだ」という恐怖。
佐藤さんは、すべてを「そうだったんですね」と静かに聞き届けると、そっとYさんの手に自分の手を添えて、穏やかに問いかけました。
「Yさん。もし……もし今、奥様がこの席に座っていらしたら、今のYさんの姿を見て、何とおっしゃるでしょうか?」
Yさんは答えに詰まりました。
「奥様は、ご自身との思い出を守るために、Yさんが毎日無理をして、寂しさに耐え、身体を壊すことを望まれるでしょうか。それとも、Yさんが安全な場所で、毎日を笑顔で過ごすことを望まれるでしょうか」
佐藤さんの声は、まるで心に染み込む雨のようでした。
「家は、思い出を包むための『器』に過ぎません。Yさんがボロボロになってまでその器を守る必要はないんです。本当に守るべきなのは、奥様が愛した『Yさんの人生』そのものなんですよ」
Yさんの目から、熱いものがこぼれました。 「私は……私は、自分を大切にしていいんでしょうか」 「もちろんです。そのために、私たちが全力で伴走します」
5. 鍵を閉めた日、始まった新しい人生
一ヶ月後。 Yさんは、空っぽになった家の玄関で、最後の鍵を閉めました。 不思議と、悲しみはありませんでした。佐藤さんが、新しい住まい(駅近の管理の行き届いたマンション)を一緒に歩いて探し、これからの生活費や将来の不安を一つずつ丁寧に消してくれたからです。
「この先、何か困ったことがあったら、不動産以外のことでもいつでも電話してくださいね。私たちは、売って終わりではありませんから」
契約の日、佐藤さんがかけてくれたその言葉が、Yさんの新しいお守りになりました。
6. エピローグ:窓辺の新しい光
新しいマンションに引っ越して最初の朝。 Yさんは、久しぶりに「熟睡できた」という感覚で目を覚ましました。 窓からは朝日が差し込み、近くの公園で遊ぶ子供たちの声が聞こえてきます。
仏壇の前で手を合わせると、美智子さんが笑っているように見えました。 「美智子、俺、もう無理するのをやめたよ。これからは自分を大切にする。それが、お前が一番喜んでくれることだって、佐藤さんに教えてもらったから」
Yさんは、初めて心から「家を守りきった」と感じました。 それは、形ある建物を残すことではなく、そこに流れる「幸せな記憶」を胸に、自分らしく生きるという決断でした。
【同じように、一人で抱え込んでいるあなたへ】
私たちは、恵比寿にある小さな不動産会社です。 でも、私たちが扱っているのは「建物」だけではありません。そこに住む人の「人生の重み」を扱っています。
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「家を売るなんて、自分勝手だろうか」
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「親から継いだ家を、守りきれなかった」
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「これからの生活が、ただただ不安だ」
そんな想いを抱えているなら、まずはその荷物を私たちに預けてみませんか。 私たちは、無理に売却を勧めることはありません。 あなたが、もう一度「自分の人生」を愛せるようになること。 それが、佐藤をはじめとする私たちの、何よりの仕事です。
相談は、売却の決断ではなく、「あなたが笑いを取り戻すため」の第一歩です。 どうぞ、安心してお電話ください。
株式会社イノベーションナイン (渋谷区恵比寿の不動産会社) 「あなたの人生の伴走者として、最後まで、責任を持って寄り添います」
次の一歩として: もし、Yさんの物語に少しでも心が動かされたのなら、まずは今のあなたの「お悩み」をメッセージで送ってみませんか? 佐藤(仮名)が丁寧にお返事させていただきます。
因みに。。。昨晩 Yさんと忘年会をしてきました (^^)

