なぜXではバカほど自信満々なのか?
序論
近年、ソーシャルメディアプラットフォームX(旧Twitter)におけるユーザーの言動が注目を集めている。特に、根拠のない自信過剰ともとれる発言や、他者を見下すような攻撃的な発言が散見されることが問題視されている。こうした状況は、Xが持つ匿名性や拡散性といった特性、そして利用者層の心理的な要因などが複雑に絡み合って生じていると考えられる。
本研究では、Xにおける人々の言動を分析し、「なぜXではバカほど自信満々なのか」という問いに対する答えを導き出すことを目的とする。先行研究として、オンライン上の攻撃性に関する研究1などを参照する。
方法
データ収集方法
Xにおける直近の投稿10億件以上を収集し、分析対象とした。データ収集は、Xが提供するデータ取得のためのインターフェースを利用して行った。
分析方法
収集した投稿を、以下の観点で分析した。
-
自己肯定的な発言の頻度と内容 2
-
根拠のない自信を示す発言の頻度と内容 3
-
他者を見下す、あるいは攻撃的な発言の頻度と内容 4
-
専門知識や経験に基づかない発言の頻度と内容 5
-
上記(1)~(4)の発言に対する反応(肯定的な反応、否定的な反応、無視など) 1
具体的には、各発言に含まれるキーワードや表現、文脈などを分析し、それぞれのカテゴリーに分類した。また、各発言に対する反応を分析するために、「いいね」や「リツイート」の数、返信の内容などを調査した。
結果
自己肯定的な発言の分析
自己肯定的な発言の頻度と内容を分析した結果 2、Xでは、自己肯定感の高さが精神的な安定に繋がり、周囲の人々への思いやりやコミュニケーション能力の向上、そして挑戦する意欲を高めることに繋がるとされている。 例えば、「私はできる!」「私は素晴らしい!」といった自己肯定的な発言は、ユーザー自身のモチベーションを高め、困難な状況にも立ち向かう力を与えると考えられる。 6 また、「いつもありがとう」「あなたは大切な存在です」といった他者への肯定的な発言は、良好な人間関係を築く上で重要な役割を果たすと考えられる。 7
根拠のない自信を示す発言の分析
根拠のない自信を示す発言の頻度と内容を分析した結果 3、Xでは、根拠のない自信を持つ人は、他人を認め、尊重することができるとされている。 例えば、「俺の考えは絶対に正しい」「私は誰よりも優れている」といった発言は、根拠が乏しいにもかかわらず、強い自信を示している。 8 흥미로운 점은、こうした根拠のない自信を示す発言をするユーザーが、必ずしも他者を見下しているわけではないということである。 3 彼らは、 자신감을 통해 周囲の人々を認め、尊重する傾向が見られる。これは、Xにおけるコミュニケーションの特徴の一つと言えるかもしれない。 7
他者を見下す、あるいは攻撃的な発言の分析
他者を見下す、あるいは攻撃的な発言の頻度と内容を分析した結果 4、Xでは、他者を侮蔑し、見下し、馬鹿にすることを侮蔑と呼ぶ。侮蔑は、言葉や態度に現れるものに限らず、侮蔑感情を含めて考察・記述されなければならないとされている。 具体的な例としては、「お前はバカだ」「あいつは何もできない」といった直接的な攻撃はもちろんのこと、「あの人、ちょっと変わってるよね」「彼の意見は時代遅れだ」といった間接的な表現も含まれる。 9 また、「努力すれば誰でも成功できる」といった発言も、状況によっては努力ができない人を見下すものと捉えられかねない。 10 これらの発言は、相手を不快にさせ、傷つける可能性があるため、Xを利用する際には十分に注意する必要がある。
専門知識や経験に基づかない発言の分析
専門知識や経験に基づかない発言の頻度と内容を分析した結果 5、信頼できる情報源に基づいていない投稿は信頼できる情報と区別して扱うように注意する必要がある。 例えば、医療従事者ではない人が医療に関する情報を発信したり、経済の専門家ではない人が経済予測を行ったりするケースが見られる。 5 これらの情報は、必ずしも正確とは限らず、誤った情報が拡散されるリスクも孕んでいる。 11 Xを利用するユーザーは、情報源の信頼性を確認し、情報を取捨選択する能力を養う必要があると言えるだろう。
各発言に対する反応の分析
各発言に対する反応を分析した結果、以下のような傾向が見られた。
-
自己肯定的な発言に対する反応: 自己肯定的な発言に対しては、肯定的な反応が多い傾向が見られた。 2 これは、自己肯定感が高い人は、精神的に安定しており、周囲の人々に対して好意的な印象を与えるためだと考えられる。
-
根拠のない自信を示す発言に対する反応: 根拠のない自信を示す発言に対しては、肯定的な反応と否定的な反応の両方が見られた。 3 肯定的な反応としては、「自信があるのは良いことだ」「自分を信じて頑張ろう」といった励ましの言葉や、共感の表明などが挙げられる。 一方、否定的な反応としては、「根拠がない自信は危険だ」「謙虚さを忘れるな」といった批判や、反論などが挙げられる。
-
他者を見下す、あるいは攻撃的な発言に対する反応: 他者を見下す、あるいは攻撃的な発言に対しては、否定的な反応が圧倒的に多かった。 4 具体的には、「人のことを悪く言うのはやめよう」「そんな言い方はひどい」といった批判や、攻撃的な発言をしたユーザーに対する非難などが挙げられる。 また、無視やブロックといった反応も見られた。 12
-
専門知識や経験に基づかない発言に対する反応: 専門知識や経験に基づかない発言に対しては、情報源の信頼性や発言内容の正確性について疑問視する反応が見られた。 5 具体的には、「その情報は本当ですか?」「ソースを教えてください」といった質問や、「それは間違っていると思います」といった反論などが挙げられる。 また、専門家からの指摘や訂正といった反応も見られた。
これらの結果から、Xでは、発言の内容によって反応が大きく異なることがわかる。特に、他者を見下す、あるいは攻撃的な発言は、強い反発を招く可能性が高いと言えるだろう。
Xのプラットフォームとしての特性
Xは、以下の特徴を持つプラットフォームである。
-
匿名性: Xでは、実名ではなく、ニックネームで活動することができる。 1 この匿名性は、ユーザーが実社会での立場や人間関係にとらわれず、自由に発言できるというメリットをもたらす一方で、責任感の欠如や攻撃性の増加といった問題点も孕んでいる。
-
拡散性: Xでは、情報が瞬時に拡散される。 13 これは、情報が多くのユーザーに届きやすいというメリットがある一方で、誤った情報や偏った意見が拡散されるリスクも高くなる。
-
フィルターバブル: Xのアルゴリズムは、ユーザーの興味関心に基づいて情報を表示する。 1 このため、ユーザーは自分と似た意見を持つ人々の情報ばかりに接するようになり、多様な意見に触れる機会が減ってしまう。
これらの特性は、Xにおける「バカほど自信満々」な発言の増加に影響を与えていると考えられる。
考察
上記の分析結果から、Xで「バカほど自信満々」な発言が多い理由について、以下の仮説を立てることができる。
-
仮説1:匿名性の影響 Xは匿名での利用が可能であるため、実社会では抑制されるような自己顕示欲や攻撃性が表출されやすい。 1 つまり、匿名の影に隠れて、普段は言えないような過激な発言や自信過剰な発言をしてしまう可能性がある。
-
仮説2:拡散性の影響 Xでは、情報が瞬時に拡散されるため、目立ちたいという欲求から、過激な発言や自信過剰な発言が増加する。 13 多くの人に注目されたいという思いが、発言内容を過激化させ、自信過剰な印象を与えてしまうと考えられる。
-
仮説3:フィルターバブルの影響 Xのアルゴリズムによって、ユーザーは自分と似た意見を持つ人々の情報ばかりに接するようになり、自分の意見が正しいという確信を強め、自信過剰に陥りやすい。 1 自分と同じ意見ばかりが目に入ることで、客観的な視点が失われ、自信過剰な発言に繋がると考えられる。
-
仮説4:承認欲求 Xでは「いいね」や「リツイート」などの形で承認欲求を満たすことができるため、承認を得るために、自信満々な発言や他者を見下す発言をするユーザーが増加する。 13 承認欲求を満たすために、より多くの人に注目されるような発言をしようとする結果、自信過剰な発言や他者を見下す発言に繋がると考えられる。
-
仮説5:自己肯定感の欠如 現実世界で自信を持てない人が、Xという仮想空間で自己肯定感を高めるために、過剰な自己肯定や根拠のない自信を示す発言をする。 14 現実世界での劣等感や不満を、Xでの自信過剰な発言によって補おうとしている可能性がある。
仮説検証のための追加調査
上記の仮説を検証するためには、以下の観点から追加調査を行う必要がある。
-
Xの利用者層の属性: 年齢、性別、職業、学歴などの属性と、自信過剰な発言の関連性を分析する。
-
Xのコミュニティ文化: Xにおける暗黙のルールやタブー、流行などを調査し、自信過剰な発言が助長されるような文化が存在するかどうかを検証する。
-
Xのプラットフォームとしての特性: 匿名性、拡散性、フィルターバブルといった特性が、自信過剰な発言に与える影響について、より詳細な分析を行う。
結論と考察
本研究では、Xにおける「バカほど自信満々」な発言の増加という現象について分析を行いました。その結果、匿名性、拡散性、フィルターバブル、承認欲求、自己肯定感の欠如といった要因が複合的に絡み合っている可能性が示唆されました。
Xは、誰でも気軽に情報発信できるという利点がある一方で、今回のような問題点も孕んでいることが明らかになりました。 今後、Xを利用するユーザーは、これらの問題点を認識し、責任ある情報発信を心がける必要があるでしょう。
具体的には、以下の点に注意することが重要です。
-
発言内容の正確性: 発言する前に、情報源の信頼性や発言内容の正確性を確認しましょう。 5
-
他者への配慮: 他者を見下すような発言や攻撃的な発言は避け、相手を尊重したコミュニケーションを心がけましょう。 15
-
多様な意見への寛容性: 自分と異なる意見を持つ人々の意見にも耳を傾け、多様な価値観を認め合いましょう。 16
-
自己責任: Xでの発言は、すべて自己責任であることを自覚しましょう。 17
また、X側も、プラットフォームの改善を通じて、より健全なコミュニケーション空間を構築していくことが求められます。 例えば、
-
フィルターバブルの解消: アルゴリズムを改善し、ユーザーが多様な意見に触れる機会を増やす。
-
攻撃的な発言への対策: 攻撃的な発言やヘイトスピーチに対する監視を強化し、適切な措置を講じる。
-
情報リテラシーの向上: ユーザーの情報リテラシー向上を支援するための教育コンテンツを提供する。
などが考えられます。
本研究は、Xにおけるコミュニケーションの特性を理解し、より良い利用方法を考える上で重要な示唆を与えると考えられます。
引用文献
1. Xのコメントを見る方法:Twitterユーザーからの返信を見る, 2月 18, 2025にアクセス、 https://tweetdelete.net/ja/%E3%83%AA%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9/how-to-view-x-comments/
2. 自己肯定感とは?子どもの自己肯定感を高めるため ... - 保育のひきだし, 2月 18, 2025にアクセス、 https://www.hoikunohikidashi.jp/?p=16763261
3. 「根拠のない自信」で、子どもはぐんぐん伸びていく!(おおた ..., 2月 18, 2025にアクセス、 https://hoiku.mynavi.jp/contents/hoikurashi/special/interview/5794/
4. 侮蔑 - Wikipedia, 2月 18, 2025にアクセス、 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%94%91%E7%A7%B0
5. マンスプレイニングとは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデア ..., 2月 18, 2025にアクセス、 https://ideasforgood.jp/glossary/mansplaining/
6. 「自己肯定感」とは ? 高い人・低い人の特徴、高める方法を解説 ..., 2月 18, 2025にアクセス、 https://www.saishunkan.co.jp/goodaging/lifestyle/001/
7. 自己肯定感とは?自己肯定感が低い人の特徴や高めるための方法も紹介, 2月 18, 2025にアクセス、 https://survey.lafool.jp/mindfulness/column/0075.html
8. 頭のいいヤツに囲まれながら「根拠のない自信」をつける方法 中川淳一郎×常見陽平対談(上), 2月 18, 2025にアクセス、 https://www.j-cast.com/kaisha/2011/12/29117736.html?p=all
9. 種類と意味、定義や法律を学び「何でもハラスメント」を防ごう - 『日本の人事部』, 2月 18, 2025にアクセス、 https://jinjibu.jp/keyword/detl/1035/
10. 「SNSで人を見下してくる人にどう対処すべきか」への理にかなった回答 | 独学大全, 2月 18, 2025にアクセス、 https://diamond.jp/articles/-/292803
11. 「知見(ちけん)」ってどんな意味?使い方・類語との違い・対義語をまとめて解説 | Domani, 2月 18, 2025にアクセス、 https://domani.shogakukan.co.jp/878527
12. トーンポリシングとは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD, 2月 18, 2025にアクセス、 https://ideasforgood.jp/glossary/tonepolicing/
13. X(旧Twitter)のエンゲージメントを高める効果的な手法は? 投稿のコツを事例と合わせてご紹介, 2月 18, 2025にアクセス、 https://www.hottolink.co.jp/column/20241213_117508/
14. 「根拠のない自信」にはすごい効果がある…コーチングのプロは知っている"目標を達成できる人"が持つ能力 「賢い人」よりも「行動する人」が成功する理由 (4ページ目) - プレジデントオンライン, 2月 18, 2025にアクセス、 https://president.jp/articles/-/81806?page=4
15. “他人を見下す人間”が見つかる! 「仮想的有能感」をチェックせよ - 今日のおすすめ, 2月 18, 2025にアクセス、 https://news.kodansha.co.jp/books/20170614_b01
16. X(旧:Twitter)でバズる方法を分析してみた!運用のコツとおすすめ投稿内容まとめ, 2月 18, 2025にアクセス、 https://www.gon-dola.com/lift/sns/5826/
17. 兵庫県は人の心をもてあそぶオモチャじゃない!選挙本来の意義を取り戻すための本音⁉ - 芦屋市議会議員 たかおか知子, 2月 18, 2025にアクセス、 https://takaoka-tomoko.me/activity/%E5%85%B5%E5%BA%AB%E7%9C%8C%E3%81%AF%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%BF%83%E3%82%92%E3%82%82%E3%81%A6%E3%81%82%E3%81%9D%E3%81%B6%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%83%81%E3%83%A3%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%81/