原発に頼らぬ双葉地方へ
新聞記事より
原発に頼らぬ双葉地方へ
福島県川内村村長(双葉地方町村会長)
遠藤雄幸さん
震災が発生した直後、私たちの村は、隣接する富岡町民の避難所でした。村の人口の倍に当たる6000人を受け入れて、懸命に支援している最中に福島第1原発で水素爆発が起こりました。
強制退避を決断
状況は日々悪化し、3月15日には川内村の大部分を占める、福島第1から30㌔圏が屋内退避区域になりました。しかし、私たちは富岡町民の支援で外に出なければならず、不安は募る一方でした。
やがて移動のための燃料も枯渇しました。携帯電話も不適になって、村に1台ある衛星電話が唯一の通信手段になりました。さらに、村で1カ所だけ残っていた診療所の医師が体調を崩し、15日をもって休診となりました。そのようなことが重なり、16日早朝に強制退避を決断したのです
住民はこれを受け入れてくれましたが、留守中に盗難が発生した場合、村は責任を取ってくれるのか、といった声も出ています。私の判断が誤りだったのなら、批判は甘んじて受けます。ただ、あの時点で政府からの情報伝達がまったく機能しておらず、自分たちだけで難しい判断を余儀なくされたのは事実です。
現在、住民は、村の災害対策本部が置かれているビッグパレットふくしま(郡山市)をはじめ、福島県内外に避難しています。避難所での食事などは充実していますが、課題は医療・衛生面です。ビッグパレットには川内村・冨岡町の住民と合わせると約1400人が同居しているとみられ、感染症が心配です。
また、川内村は高齢化が進んだ中山闇地域であり、お年寄りの医療・介護や精神的なケアも重要になっています。
希望捨てず再生
私は、福島第1原発、第2原発周辺の8町村からなる双葉地方町村会の会長を務めています。
双葉地方が原発に依存し、雇用を得てきたのは事実です。国のエネルギー政策全体での原子力の位置づけは国民的な議論が必要ですが、福島第1は5号機、6号機を含めて廃止は避けられません。第2についても、地域住民の感情を考慮する必要があるでしょう。今後は原発による急激な地域振興ではなく、地域の特性を生かした振興策を考えざるをえません。川内村は地域の88%が山林原野で森林資源に恵まれており、これを生かした雇用確保や、酪農では原乳の供給だけでなく乳製品の加工場を置くことができないか、と考えています。
原発以外でも雇用を確保し、若い人たちが戻ってくるような地域産業の育成を支援することは国の責任だと思います。
川内村では、若い人たちの雇用や定住を積極的に進めてきました。震災でこれまでの積み重ねが吹っ飛んでしまいましたが、私はもう一度、出直そうと思っています。希望を捨てずにがんばり、村を再生していきたい。
そのためには、一刻も早く原発事故を収束させる以外にありません。
記事 竹下岳
原発に頼らぬ双葉地方へ
福島県川内村村長(双葉地方町村会長)
遠藤雄幸さん
震災が発生した直後、私たちの村は、隣接する富岡町民の避難所でした。村の人口の倍に当たる6000人を受け入れて、懸命に支援している最中に福島第1原発で水素爆発が起こりました。
強制退避を決断
状況は日々悪化し、3月15日には川内村の大部分を占める、福島第1から30㌔圏が屋内退避区域になりました。しかし、私たちは富岡町民の支援で外に出なければならず、不安は募る一方でした。
やがて移動のための燃料も枯渇しました。携帯電話も不適になって、村に1台ある衛星電話が唯一の通信手段になりました。さらに、村で1カ所だけ残っていた診療所の医師が体調を崩し、15日をもって休診となりました。そのようなことが重なり、16日早朝に強制退避を決断したのです
住民はこれを受け入れてくれましたが、留守中に盗難が発生した場合、村は責任を取ってくれるのか、といった声も出ています。私の判断が誤りだったのなら、批判は甘んじて受けます。ただ、あの時点で政府からの情報伝達がまったく機能しておらず、自分たちだけで難しい判断を余儀なくされたのは事実です。
現在、住民は、村の災害対策本部が置かれているビッグパレットふくしま(郡山市)をはじめ、福島県内外に避難しています。避難所での食事などは充実していますが、課題は医療・衛生面です。ビッグパレットには川内村・冨岡町の住民と合わせると約1400人が同居しているとみられ、感染症が心配です。
また、川内村は高齢化が進んだ中山闇地域であり、お年寄りの医療・介護や精神的なケアも重要になっています。
希望捨てず再生
私は、福島第1原発、第2原発周辺の8町村からなる双葉地方町村会の会長を務めています。
双葉地方が原発に依存し、雇用を得てきたのは事実です。国のエネルギー政策全体での原子力の位置づけは国民的な議論が必要ですが、福島第1は5号機、6号機を含めて廃止は避けられません。第2についても、地域住民の感情を考慮する必要があるでしょう。今後は原発による急激な地域振興ではなく、地域の特性を生かした振興策を考えざるをえません。川内村は地域の88%が山林原野で森林資源に恵まれており、これを生かした雇用確保や、酪農では原乳の供給だけでなく乳製品の加工場を置くことができないか、と考えています。
原発以外でも雇用を確保し、若い人たちが戻ってくるような地域産業の育成を支援することは国の責任だと思います。
川内村では、若い人たちの雇用や定住を積極的に進めてきました。震災でこれまでの積み重ねが吹っ飛んでしまいましたが、私はもう一度、出直そうと思っています。希望を捨てずにがんばり、村を再生していきたい。
そのためには、一刻も早く原発事故を収束させる以外にありません。
記事 竹下岳