世界で役立つ豆知識 -Trivia useful in the world-


二〇一〇年三月期に個別の役員に対して一億円以上を支払った企業のうち、新生銀行や日立製作所など十九社が純損益で赤字だったことが一日、本紙の調べなどで分かった。株主配当を見送った企業や減配した企業も十四社あり、経営者に対して、業績に見合った報酬を求める株主の声が強まりそうだ。

 企業情報の調査会社「ゼブラル」が、三月期決算企業二千六百三十二社の有価証券報告書を集計。一億円以上の報酬を役員に支払ったと記載した企業は百六十二社だった。ゼブラルは個別の企業名は発表していない。

 本紙の調べでは、赤字企業は日立のほか、パナソニックやソニーなど電気機器業界で目立った。また、最も赤字額が大きかったのは、政府から公的資金も受けている新生銀行。金融庁は三十日、同行が経営健全化計画で示した利益目標を大幅に下回ったとして、業務改善命令を出した。

 株主への配当状況については東芝や日本通信など六社が無配。新日本製鉄や富士フイルムホールディングスなど八社は減配だった。

 今回の役員報酬の開示では、金融庁は企業に対して、報酬額の算定根拠があれば、その説明も義務付けた。「算定方法の方針は定めていない」と報告したのは、投資事業を行う「プリヴェ企業再生グループ」など二社で、株主の反発が強まる可能性もある。

 ただ、「収益動向や役員の業績、マーケット水準に基づき(報酬を)決定する」とした新生銀のように、算定方法に具体性が欠けている例もあり、会社によってはさらに説明を求められそうだ。