エンタメ系企業に勤めるインハウス弁理士が、論文式試験の過去問を解説してみたら、こうなった。

エンタメ系企業に勤めるインハウス弁理士が、論文式試験の過去問を解説してみたら、こうなった。

弁理士試験の過去問をストーリ仕立てで解説してみる試み。
1~2週間ペースで更新していきます。

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1.条文に記載されていない用語の使用について
例えば、新規事項の追加、限定的減縮、先使用権(中用権、後用権)等の言葉は、条文には規定されていませんが、論文試験においては普通に使用してかまいません(ちなみに、これらの通称は、口述試験では全て正しい用語を訊き返されていますので、口述試験では注意が必要です)。これらは、青本や改正本等でも使用がされているため、その意味するところが客観的に明らかであり、疑義が生じることがないからです。


判断の基準は青本等のオフィシャルな出版物に記載されているか否かです。
 ちなみに、実用新案法の「無審査登録主義」という用語は青本にはありません「早期に登録をする」旨の言い方がされています。しかし、特許庁の主催する「実務者説明会」のテキストには登場します。このような微妙な用語については、一方通行の(口述試験のように「言い換え」ができない)論文試験で使用する場合には注意が必要です。

2.省略表現の使用について
 例えば「審判を請求する」、「公開される」、「発明イを削除する」という用語については、文章の流れから「拒絶査定不服審判を請求する」、「出願が公開される」、「削除補正する」ということがわかることもあります。しかし、言葉に厳しい採点官にあたってしまうと「一体何の審判だ?!」、「何の公開だ?」、「どうやって削除するんだ?!」と思われる可能性も否めません。
 できれば、正確な記載をすることが好ましいのですが、最低限、上記省略用語の後ろに根拠条文は挙げておきたいです。

3.細かい表記について
 以下、採点をしていて思うことです。これらは点数に大きな影響を与えませんが、解答の姿勢について好印象を得ます。
 ・「36条の2 1項」と書く方よりも、「36条の2第1項」と書く方
 ・解答に先立って、2~3行程度で「何が問題になっているか」を端的に指摘している方(問題点の指摘が正しい場合、安心して採点できます。)。ただし、長すぎると悪影響
 ・項目立てをして、読みやすい工夫がされている方
 ・一言でもよいので「理由づけ」を書いている方
 ・原則を指摘する方
・いきなり措置を書かず、このままではどうなってしまうかをまず指摘している方

4.判例のキーワードについて
 条文の言葉を勝手に自分の言葉に置き換えることはもっての他ですが、判例のキーワードを(うろ覚えなのかどうかはわかりませんが)短縮して使用している方がいます。
例えば、均等論についても第2要件及び第3要件を「置換可能性があること」及び「想到容易性があること」という単語のみで済ましている答案です。
このような置き換えは、特に、裁判官や学者の採点官の琴線に触れる場合があります。
そもそも、判例の言葉は、裁判官が練りに練って、一字一句考え出したものです。そのようにして書かれた用語を一受験生が勝手に書き換えるとは何事か!と、考える方もいます。


判例の言葉は、条文の言葉と同じくらい大切にし、同時になぜその言葉なのか、についても考える機会としたいですね。