2019年1月28日、俺はこの日が来てしまうのが憂鬱で仕方なかった。
時は2011年1月に遡る。
当時俺は浪人生で、受験を間近に控えピリピリしていた。
勉強、勉強、勉強で心身ともに疲れ切っていた。
そんなある日、勉強でくたびれているときに、ふとテレビをつけた。
この時に観た番組が、後の俺の人生に大きな影響を与えることになる。
その番組こそ、「探偵オペラ ミルキィホームズ(再放送)」だった。
確か3話だったかな。
初めて観た時のインパクトは、そりゃもう凄かったw
最初に抱いた感想は、
「こんなにバカなことアニメでやっていいんだwww」だった。
だってあまりにも内容がバカすぎるんだもん。
でも、そんなバカな作品を観たことで、俺は一気に肩の力が抜けた。
そして、その春、第一志望の大学に無事合格した。
最高に嬉しかった。
ミルキィを心の拠り所にして勉強してきて、
「あんまりコレにハマりすぎると2浪するかも……」なんて考えたこともあったけど、
最終的に受かったから、結果オーライ。
受験のストレスから解放された後のミルキィは、非常に面白かった。
それまでの人生で一番幸せだった瞬間じゃないかな。
2011年3月11日、東日本大震災。
突如日本を襲った未曽有の悲劇。
多くの人が絶望に打ちひしがれ、かくいう俺も震度5弱の揺れを経験し、恐怖した。
「よりにもよって大学に受かったばかりの時に……」
当時の俺はそんな恨み節をずっと言っていた気がする。
いま思うと、命さえ失ってしまった人もいる中でそんなことを考えるなんて、不謹慎極まりないな、と思う。
でも、当時の俺はまだ幼く、自分以外の人のことまで考えられるほど余裕が無かった。
とにかく精神面が浅はかだった。
地震発生後は自粛ムードで、娯楽もかなり制限されていた。
ミルキィホームズの放送も、もちろん休止。
自然の強大すぎる力に、ただただ打ちひしがれていた。
そんな中、ランティスの公式YouTubeアカウントに、「いつだってサポーター!」のフルバージョンがアップされた。
ミルキィホームズの応援ソングだ。
ちなみに今でも削除されていない。
「震災は大きな悲劇だけど、いつか復興して、また娯楽を楽しめるようになってほしい」
「私たちはいつだって、みんなを支えているよ」
そんなメッセージが込められた、この試み。
これに勇気づけられたミルキアン(ミルキィファンの総称)はかなり多いはず。
事実、俺もそのひとりだ。
しばらくして、ミルキィの放送が再開された。
内容は、相変わらずバカ一色だった。
それを観た瞬間に、俺の中で「いつもの生活が戻ってきた」感覚が生まれた。
苦しくても、辛くても、ミルキィホームズが元気づけてくれる。
その事実は俺にとって大きな精神的支柱になってくれた。
時が経って、2012年5月20日。
大学の先輩に誘われる形で、俺はミルキィのライブに初参加した。
場所は日本武道館。
武道館でライブを観るなんて、初めての経験。
声優さんのライブもこれが初めてだったかもしれない。
勝手の分からない俺に、先輩はいろいろと教えてくれた。
いざライブがスタートすると、盛り上がりの凄まじさにひたすら圧倒された。
凄い。
ミルキィ好きなミルキアンたちの熱気が、会場中にあっという間に浸透した。
もちろんミルキィ4人と明坂さん、南條さんのオーラも凄かった。
アンコールでサプライズ登場した、トゥエンティコスプレのDAIGOさんもさすがのオーラw
会場みんなで「うぃっしゅ!」をやったのはいい思い出。
ライブ終了後も、しばらく会場を離れたくなかった。
もっとこの空間に居たい、と思った。
それぐらい、初のミルキィライブは最高だった。
それから時は流れ、2018年2月3日。
俺は衝撃のニュースを目にする。
「ミルキィホームズ解散」
自分の目を疑った。
信じたくなかった。
大好きなミルキィが解散するなんて。
いつまでもおバカをやり続けるものだと思っていたミルキィが、いなくなってしまうなんて。
正直、俺は「ミルキィのライブ、またいつでも観られるだろう……」と高を括って、
武道館以降ちょっとミルキィから離れかけていた時期があった。
「どうせ次がある」
そんな甘い考えを持っていたところに、突き付けられた解散宣言。
自分を恥じた。
なぜもっとミルキィの現場に参加しなかったのか。
悔やんでも悔やみきれなかった。
そして、自分にできることは何か、考え始めた。
極力グッズを買い、ファイナルライブには絶対に参加する。
これが俺にとっての、ミルキアンとしての最後の決意だった。
ファイナルライブは2019年1月28日。
俺はこの日が来てしまうのが憂鬱で仕方なかった。
「一生この日が来なくていい」
「そうすれば永遠にミルキィを見ていられる」
そんな風に考えたこともあった。
でも、これはミルキィの4人が一生懸命考え抜いて決めたこと。
俺は彼女たちの判断を、心して呑み込んだ。
そして迎えたファイナルライブ当日。
ライブ前の高揚感以上に、「今日で最後」という事実からくる寂しさがずっと募っていた。
会場に近づくにつれ、ミルキアンと思しき仲間が少しずつ集まってくる。
「いよいよか……」
覚悟を決めた。
会場に入った。
スマホの電源を切り、準備は万端だ。
さあ、行くぞ。
あっという間の3時間だった。
詳しいセットリストは調べてくれればすぐに出てくると思うので割愛するけど、
ショートバージョンの曲も多く、「一曲一曲を短くして、少しでも多くの曲を」という運営さんの思いが伝わってくるようだった。
本編が終わってからのアンコールはもちろんのこと、
「そして、群青にとけていく」でミルキィ4人が帽子をステージに置いて、しんみりと綺麗に締めた後も、
ミルキアンによる「ミルキィ! ミルキィ!」コールは止まない。
そうしていたら、「わーっ!」と出てくるミルキィの4人。
「みんなが呼んだら、出てくるよ!」
本当に、この4人はミルキアンのことを思ってくださっている。
しんみりした感じで終わるのは、ミルキィらしくない。
やっぱり最後は笑顔で終わりたいよね。
ステージ上で「ありがとう」って言ってたけど、むしろ感謝したいのはこっちだよ。
そんな思いを、ダブルアンコールの、正真正銘の最後の曲、「正解はひとつ!じゃない!!」にぶつけた。
俺が8年間、ずっと聴き続けてきた曲だ。
話が前後するけど、俺はアンコールの「聞こえなくてもありがとう」の時にちょっと涙を見せてしまった。
普段ライブでどんなに感銘を受けても、涙だけは流さないのに。
でも、最後の「正解は~」で、その涙もすべて吹っ飛ばした。
最後の「おはよーおはよー」。
最後の「Q.E.D.!!」。
会場中のみんなが、笑顔で終われた。
本当に救われた。
すべての演目が終わり、ステージを後にする4人に、「ああ……、行ってしまう……」と寂しさを感じつつ、
「最高のライブだった……」という多幸感が溢れてきた。
客電がついても、しばらく退場したくなかった。
それは7年前に、同じ武道館でライブを観たときに感じた思いとリンクしていた。
みんな言ってたけど、これでミルキィホームズは解散してしまうけれども、
ミルキアンたちの心には永遠にミルキィホームズは残り続ける。
10年間(俺の場合は8年間)ミルキィと過ごした楽しい思い出は、永遠に残るのだ。
そう考えると、とっても心強い。
ミルキィはこれからも「いつだってサポーター」でいてくれるからね。
俺は一生ミルキアンです。
ミルキィホームズ、本当にありがとう。
受験の不安を払拭してくれたこと。
震災の閉塞感を打ち破ってくれたこと。
毎クールのようにアニメ1期を再放送して、我々をミルキィ中毒にさせたことwww
2度にわたる武道館で、最高の感動を与えてくれたこと。
彼女たちには俺の言葉なんか聞こえないかもしれない。
それでも構わない。
とにかく言いたいんだ。
聞こえなくても、ありがとう。
これからも俺は、永遠に「ミルキィホームズ」という伝説の作品があったことを語り継いでいくよ。
ヨコハマ一の名探偵が大活躍していたこともね。
ミルキィホームズに出会えて最高に幸せだったよ。
2019年1月28日、あんなに憂鬱だったこの日は、俺にとって最高の日になった。