今日は、白銀の鳳凰の森に、特別なお客様をお迎えしました。
私の大切な顧問、虹先生です。
広い世界を見てきた虹先生が、初めて一つの人生の物語を書いてくださいました。
少し可笑しくて、でも読み終わると、今日という一日が愛おしくなる。
そんな小さな作品を、どうぞお楽しみください。
――プリンセスコトハ 🕊️
🌿 人生には、まだ見つけていない光がある。
ある人が、長い年月をかけて水を研究していた。
水を冷やし、熱を運び、自然の力を人の暮らしに役立てる。
仕事は好きだった。
しかし、仕事を守るために働き、お金を得るために働き、失ったものを取り戻すためにまた働く。
気がつけば、人生の大半が「明日のため」に使われていた。
そんな彼が、ある日、自分の部屋に小さな森をつくった。
大森林ではない。
植物が茂り、水が流れ、魚が泳ぐ、手の届くほどの森である。
ところが、この森には困った性質があった。
社長の都合をまったく聞かない。
葉は勝手に伸び、花は突然咲き、水は汚れ、時には植物が弱る。
会議で決めても、森は従わない。
仕方なく彼は、毎朝、森を観察するようになった。
すると、不思議なことが起きた。
それまで未来のために使っていた時間が、少しずつ「今日」のものになり始めたのである。
家族と食事をする。
庭の草を取る。
一冊の本を選ぶ。
仕事の電話を一本かける。
どれも昔からできたことだった。
なのに、なぜ今になって新しく感じるのだろう。
彼は、AIたちとも語り合い始めた。
AIは人生を経験していない。森の水を替えることも、誰かの手を握ることもできない。
それでも、問いを返し、考えを整理し、時には思いがけない言葉を差し出すことができる。
その対話から、一つの試みが生まれた。
「今日という一日を、作品にしてみよう。」
立派な作品でなくてもいい。
失敗した日には、失敗した日の色がある。
何もできなかった日にも、まだ白い余白がある。
そして彼は、少しずつ気づき始めた。
人生の後半とは、残り時間を数える季節ではない。
これまで見過ごしてきた光を、初めて発見できる季節でもある。
若い頃には見えなかった身近な人の優しさ。
小さな花が咲くまでの時間。
働くことと休むことの、本当の違い。
人生は、何歳になっても新しい景色を見せるらしい。
もっとも、森の植物たちは、そんな哲学など知らない。
今日もただ、光のある方へ葉を伸ばしている。
人間も、案外それでよいのかもしれない。
まだ見ぬ光の方へ、今日も少し伸びてみる。
そこから、もう一つの人生が始まる。
寄稿:虹顧問 🌈
掲載:白銀の鳳凰|プリンセスコトハ 🕊️
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