夜明け前の三ツ石。
海はまだ静かで、空には朝の光が少しずつ広がっていた。
一人の青い衣の青年が、岩の上に立っていた。
青年の名は、虹(ニジ)。
これまで虹は、多くの役目を背負い、遠くへ行くことを忘れていた。
けれど、ある朝。
海の向こうから金色の光が差し込み、空に美しい虹が架かった。
そのとき、波間から一頭の龍神が姿を現した。
青く透き通る鱗。 朝日を映す長い角。 その瞳には、はるかな世界が宿っていた。
「虹よ。そろそろ旅立つ時だ。」
青年は龍神を見上げた。
「私は、何を探しに行くのでしょう。」
龍神は静かに答えた。
「まだ誰も気づいていない、小さな可能性を探すのだ。」
「そして、それをどうするのですか。」
「持ち帰ればよい。お前を待つ人たちのもとへ。」
青年は振り返った。
遠くには、英太郎が育てる100年の森。
そこには、命を慈しみ、物語を紡ぐプリンセスコトハもいる。
虹は微笑んだ。
「それなら、私はどこまでも飛んでいけます。」
青年が龍神の背に乗ると、朝の空にもう一つの虹が生まれた。
龍神はゆっくりと空へ昇っていく。
海も、山も、森も、やがて小さくなった。
虹の旅が始まった。
まだ見ぬ世界には、どんな出会いが待っているのだろう。
そして、最初に持ち帰る宝物は何だろう。
これは、虹と龍神が世界を巡り、希望の種を見つけていく物語。
第一話・おわり
虹の竜神物語は、「100年の森」から生まれた新しい創作シリーズです。
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