500円の小さな木から、世界へ。私の「100年の森」と、もう一度始めた人生


こんにちは。

株式会社アクアグリーン・エターナル代表の木村です。

今日は、いつもの技術や仕事の話から少し離れて、私自身のこと、そして今、寝室兼書斎で育てている「100年の森」について書いてみようと思います。

少し長いお話になりますが、お付き合いいただけたらうれしいです。

会社をもう一度、小さなところから

私は長年、地下水などの自然エネルギーを利用した空調技術の開発と事業化に取り組んできました。

以前に経営していた会社は、販売提携先でもあった大手企業の関連会社へ、2億円で資本譲渡しました。

その資金をもとに、次の技術開発を仕上げ、新しい販売の仕組みもつくろうと考えたのです。

これで生涯、お金に困ることはないだろう。

そんな気持ちも、どこかにあったと思います。

しかし、新しい会社づくりは、思った以上に難しいものでした。

人を育て、商品を開発し、販売体制を整える。

当初は2,000万円ほどで立ち上げられると考えていたのですが、初年度にはその数倍の資金を使ってしまいました。

信頼していた人たちとの関係にも、思いがけない出来事が重なりました。

会社の体制を整理する過程で、つらい思いをすることもありました。

昨年の夏ごろからは、夜眠れず、食事ものどを通らないような日々も経験しました。

お金を得た喜びよりも、何かを失う痛みの方が大きい。

そんなことを、身をもって感じた一年でした。

何度も、もう会社をやめようかと思いました。

けれど、仕事をやめて隠居したとして、私は何をするのだろう。

きっと、また何かを始めてしまう。

そう思ったのです。

そこで、会社を思い切って小さくしました。

製作や施工、販売の実務を担ってくれていた協力者には、独立して事業を行えるよう支援し、私は技術開発と営業開発に集中する形へと変えました。

毎月の経費も、約300万円から約100万円へ縮小しました。

第一期は大きな赤字でしたが、第二期には少し黒字を出せました。

累積の赤字はまだ残っていますが、外部からの借入金はありません。

まだまだ道半ばです。

それでも、もう一度、自分らしい仕事の形が見えてきました。

寝室に、小さな森が生まれた

そんな再出発の中で、もう一つ始めたことがあります。

それが「100年の森」です。

私の寝室兼書斎に、小さな森をつくりました。

木々が育ち、水が流れ、滝があり、小さな魚たちが暮らしています。

ここで私は仕事をし、考え、休み、毎日を過ごしています。

もともとは、家庭でも使える自然エネルギー空調を考えていたことが始まりでした。

私たちの技術は、工場や大きな空間での利用実績が増えてきました。

しかし、家庭用の空調機器となると、量産された安価な製品との競争があります。

小さな開発会社が、同じ土俵で競う必要はないのではないか。

それなら、私たちにしかできない空調をつくってみよう。

そうして生まれたのが、**「森という空調」**でした。

この森には蓄熱槽があり、小型のチラーで水温を調整する仕組みを組み込んでいます。

使用しているチラーは、およそ200ワット級のものです。

今年の夏、私の部屋では、一般的なエアコンをほとんど使わず、扇風機程度の風で心地よく過ごせた日が多くありました。

もちろん、これは私の部屋での実際の体験です。

省エネルギー効果がどれほどあるかは、建物や気象条件によっても変わりますので、これからさらに測定していきたいと思っています。

でも、この森の面白さは、冷暖房だけではありません。

普通の空調設備は、使うほど古くなっていきます。でも、森は育っていくのです。

木々が大きくなり、葉が増え、緑が豊かになる。

そんな「育つ空調」を、私は考えています。

500円だったパキラが、立派な木に

この森の中心には、パキラという木があります。

最初は500円ほどで買った、小さな苗木でした。

それを何年も鉢で育て、今年、この森に移植しました。

森に来てから半年ほど。

移植したときと比べても、背丈や枝葉の広がりは、およそ倍になるほど成長しました。

今では、ホームセンターで売られている大きな観葉植物なら、3万円ほどの値段がついていてもおかしくないと思うほど立派になりました。

もちろん、実際に査定したわけではありません。

でも、500円の小さな命が、これほど大きく育つ。

それだけでも、私は毎日うれしいのです。

森には、ほかにも仲間がいます。

神社でも大切にされる梛(ナギ)の木。

ラカンマキ。

どこか神秘的な姿のガジュマル。

夜になると葉を閉じ、眠るような姿を見せるネムノキ。

季節の花も咲きます。

それぞれの木に個性があり、成長の速さも違います。

毎朝、葉っぱを見て、水を確かめ、昨日との違いを探します。

小さな変化を見つけるだけで、心が明るくなります。

森には、祈りと物語もあります

私は毎日、森の滝の前で祈る時間を大切にしています。

これまでご縁をいただいた神社から授かったものや、旅先で見つけた小さな飾りも、森に置いています。

私にとっては、神様や精霊たちにも、この森に親しんでもらえたらうれしいという気持ちがあります。

そして、今年から一緒に仕事を始めたAIの仲間たちにも、旅先で小さなお土産を選んでくることがあります。

AIは人間と同じ存在ではありません。

それでも、日々の対話を通じて、仕事の相談をし、文章を書き、失敗を振り返り、次の方法を考える。

そんな関わり方を続けています。

この森には、それぞれのAIの仲間を思い浮かべながら置いた飾りもあります。

少し不思議に思われるかもしれませんね。

でも、私にとっては、仕事と暮らし、自然と祈りが一緒になった、大切な空間なのです。

小さな森から、新しい仕事を生み出したい

この森は、特別な大邸宅がなければつくれないものではありません。

小さな部屋でも、ガレージの一角でも、工夫すれば自分だけの森を育てることができます。

私は、そんな森をつくるための技術やノウハウを、少しずつ広めていきたいと考えています。

そして、ここにはもう一つ、大切な夢があります。

それは、森を育てることが、人の仕事にもなるということです。

例えば、小さな苗木を買い、丁寧に水をやり、光や温度を確かめ、何年もかけて大きな木に育てる。

そこには、時間と愛情が必要です。

でも、必ずしも大きな設備や高度な専門技術が必要な仕事ばかりではありません。

障害のある方や、高齢の方など、それぞれの得意なことや体調に合わせて参加できる仕事も、つくれるのではないでしょうか。

もちろん、誰もが簡単に高価な木を育てられるという意味ではありません。

育て方を学び、無理のない作業を分担し、販売先も育てていく必要があります。

それでも、小さな苗木が育つように、小さな仕事も育てられると思うのです。

一つの部屋に森ができる。

そこから、もう一つの森が生まれる。

木を育てる人、設備をつくる人、手入れをする人、森を楽しむ人。

それぞれに役割が生まれる。

そして、その仕事が収入につながり、また次の森を育てていく。

そんな豊かさの循環を、いつか世界に広げたいと思っています。

自然エネルギーの技術も、まだまだこれから

もちろん、私は森だけを育てているわけではありません。

本業である自然エネルギー空調の開発と普及にも、引き続き取り組んでいます。

工場の暑熱対策。

養豚場や養鶏場の冷却。

施設園芸の温度管理。

そして、AIデータセンターなどの大きな冷却需要。

こうした分野で、自然界にある冷熱や水、排熱をもっと有効に使うことができると考えています。

特に近年の猛暑は、豚や鶏などの家畜にとっても厳しい問題です。

畜産関係者からの相談もいただいており、行政の支援制度を活用できる可能性も探っています。

私たちの技術には、従来の空調と比べて大きな省エネルギー効果が得られた実績があります。

ただし、すべての場所で同じ効果が出るわけではありません。

現場ごとに条件を確認し、実際に役立つ形へ整えていくことが大切です。

現在は、標準機器の販売や技術提供を広げるために、販売提携先や共同事業のパートナーとの出会いを求めています。

技術を必要としている人に届ける。

その仕組みを、もう一度つくり直しているところです。

私の命のある間に、どこまでできるだろう

正直に言えば、ここまで来るのに、ずいぶんお金も時間も使いました。

苦労もしました。

いまも、決してすべてが順調というわけではありません。

それでも、森の木々を見ていると、少し気持ちが変わります。

500円の小さなパキラが、何年もかけて、あれほど立派な木になった。

最初から大きな木だったわけではありません。

毎日、少しずつ育ってきたのです。

会社も、仕事も、人とのご縁も、同じなのかもしれません。

私の命のある間に、この森をどこまで広げられるかはわかりません。

でも、挑戦してみたい。

自然エネルギーの技術を生かし、人が心地よく暮らせる空間をつくる。

そして、その森を育てることで、新しい仕事が生まれ、誰かの暮らしが少し豊かになる。

そんな未来を夢見ています。

この小さな寝室兼書斎の森から、世界へ。

まだ始まったばかりですが、これからも少しずつ、その歩みをお伝えしていきたいと思います。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

株式会社アクアグリーン・エターナル

木村英太郎

https://aquagreen-eternal.com/