「赤いちゃんちゃんこ」


今では使われなくなった旧校舎に呪いのトイレってのがありました。

そのトイレって言うのが、一番北にあるトイレの一番奥のトイレがそうでした。


そのトイレの壁にはまるで泣いている人の顔の様な

しみがありそのしみがその噂を一層引き立てていました。


その旧校舎は現在は新校舎に全ての生徒が移動した為に、

取り壊されるのを待つだけの状態に合ったのですが、

その人気の無さと古めかしさからかいつしかそのトイレに

幽霊が出るとの噂が立ち始めました。


噂ではいじめを苦にした女の子がそのトイレで首吊り自殺を

したと言う話までもが流れ始めていました。


そこでとあるクラスの悪ガキ集団では夏のある夜に肝試しを

しようという話になりました。



よる旧校舎の前に集まった、男女5人の中学生達。

ひとりづつ、懐中電灯の明かりを便りにその一番置くのトイレに入って

便器に腰掛けて返ってくるというのがルールでした。


一人目はこわごわと出かけました。

しかし程なくして、何事も無く無事に返ってきました。


「別に何も無かったよ。」


といい緊張していた一同はほっと安堵のため息をつきました。


そして二人目が出かけました。

しかしその二人目が戻ってきたあと


「なんか、トイレの中でつぶやく様な声がしたんだよ。

 もしかしたら風の音だったかもしれないけど・・。」



その事を聞いた一同はそんなの風の音だろうと、あえて気にしない事にしました。

その日は周りには一切風が吹いていない事に気づいていたから

なおさら信じたくなかったのです。


そして予定通り3人目として友人の佐々木(仮名)が、出かける事になりました。


しかし予定通りの時間になっても帰ってきません。

5分後・・・・10分後・・・・。

さすがに周りの皆が心配になってきた時に向こうから真っ青な顔をして

出かけた佐々木が走りながら帰ってきました。



「どうした?何が会ったんだ?」

「何で遅かったんだ?」

口々に聞く仲間の問いに答える事ができない程動揺し、怯えきっていました。

その日はこれ以上続けるのは問題があるであろうと判断し、

怯える佐々木を自宅まで送り届け、解散する事にしました。


翌日その佐々木を囲い、一体何が起きたのかそれを問い詰めていました。


そうすると、佐々木は怯えながらもポツリポツリと語りだしました。


佐々木が言うには、そのトイレに入るまでは何の異変も無かった。


しかし、トイレに入ったのはいいが、あまりに怖いので

トイレのドアは開けっ放しにしておいたそうです。


そして便座に腰掛けた瞬間、



バタンっ!!


といきなりドアが自動的に閉まった。

もうその時点でパニックに陥っていた佐々木は、あわててドアを開けようとした。

しかし何故か内鍵になっているはずのそのドアは押しても引いてもびくともせずに、

完全に閉じ込められてしまった。


恐怖のあまりに怒鳴り声で助けを求めたが、

当然待っている皆のもとまでは届く訳が無く、

しばらく開かないドアと格闘をしていた。


しかし、埒が明かないと思い便座に足をかけ開いている

天上との隙間から身を乗り出そうとした瞬間。



そのドアの向こう側からにゅっと青白い手が・・・・。



うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!



もう何がなんだか分からずに叫び続けるその友人をしりめに

遠くから、かすかな声が聞こえてきた。


「・・・ゃんちゃんこ・・・かぁぁぁ。」


「赤いちゃ・・・こ着せましょか・・。」


「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」


「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」


「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」


「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」



その声はだんだん大きくなっていき、とうとう耳元で

聞こえる程の大きさになりました。



「嫌だぁぁぁぁぁぁ、そんなの着たくなぁぁぁぁぁい。」


両耳を押えながらそう叫ぶのが精一杯でした。


するとどうでしょう、その耳元で聞こえていた不気味な声ははたと止まり、

あれだけ頑丈に閉まっていたはずのドアも


ギギィィー。

と音を立てて開きました。


一瞬呆然としていたその友人は、ふと我に返ると

一目散に友人が待っている場所まで走り出したのでした。


そう語る佐々木の顔は昨日あった出来事が事実である事を述べるかのごとく

真っ青なまま、今にも途切れそうな声で語りました。

しかしそれを聞いていた、女番長的存在の大山(仮名)は笑い飛ばしました。



「男の癖になさけない。逃げて帰ってきたんだって?

しかも赤いちゃんちゃんこ?んなもんなんかいくらでも着せてやればいいじゃないか?」


そう息巻いて笑い飛ばしました。

そこまで言われては男たちとしては黙っていられません。


当然の如く「じゃあ、お前が行ってたしかめてみろ。」

という話になり、早速今夜またそのトイレに肝試しに行く事になりました。


■  ■  ■  ■


その夜、前日に集まった校庭のすみにまたその一団は集合しました。

その中には昼間笑い飛ばした、大山の顔もありました。


しかし辺りは既に薄暗く、昨日の恐怖がよみがえって来た男たちは

「やっぱり怖いなら止めてもいいぞ。」と引き止めに入りました。

しかしその情けない姿をさらに愉快に思った大山は

大きく高笑いしながら、一人でそのトイレへと向かいました。


そして旧校舎のトイレの前まできた大山は、辺りを一目見回すと

目的のトイレを確認しました。そのトイレは入り口から一番奥に

あるトイレで、辺りは薄汚れている以外は別段これといって変わった

所はありませんでした。


「けっ!何にもねえじゃねぇか。あの腰抜けどもが。」

そうつぶやくと、便器に腰掛けました。


さらにトイレの周りを見渡すと、トイレの中はそれほど汚れていない

ことに気がつきました。

「みんな怖くて、このトイレはあまり使えなかったのかな?」

そんな事を考えて、戻ろうとしたそのときです。



「・・・ゃんちゃんこ・・・かぁぁぁ。」

トイレの入り口の方からかすかな声が聞こえました。


「赤いちゃ・・・こ着せましょか・・。」

始めはかすれたようなかすかな声だったのですが、

その声の主は段々と大きくなってきます。



「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」



「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」



「ふざけるな!!誰の仕業だ!!」


待ち合わせ場所で待っているはずの男たちのいたずらかと思い

声を荒らげました。が、その相手を確認しようと

便座から立ち上がろうとしましたが、足に力が入りません。

まるで便座にお尻がくっついたかの如く身動きがとれないのです。

背筋に一筋冷たいものが走るのを感じました。



「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」


「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」



その声はだんだんと大きくなってきて、とうとう

そのトイレの脇から聞こえてくる程近づきました。


「赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁぁぁ。」


その声がそのトイレのすぐわきから聞こえると同時に

トイレのドアの脇に青白く細い手がかかるのが見えました。




「いやぁぁぁぁぁ、

 着せられるものなら着せてみろぉぉぉぉ。」




■  ■  ■  ■




そとでまっている男達はあまりの遅さに、いらだちがつのっていました。

さすがに出かけてから既に30分が立っています。

行って帰ってくるだけなら片道5分の10分もあれば十分な距離です。

その3倍もかかっているとなると何かが起きているに違いありません。


「もしかしたら怖くなって帰っちゃったかな?」

「でもそんな事したら、明日逆に馬鹿にされるじゃん。」

「つーか、逆にどっかに隠れて脅かそうとしているんじゃないの?」

「でもさ、それでもさすがに遅過ぎない?」



みんな遅過ぎるので見に行った方がいいのは重々承知していました。

しかし、昨日の恐怖のあまりに誰も探しにいこうとは言いだせなかったのです。



そうこうしているうちに一時間が立ちました。

いくらなんでも遅過ぎます。全員誰が言うとも無く、探しにいこうと言いだしました。


恐る恐る、みんなで固まりながらそのトイレまで出かけました。

そのトイレに行くまでにどこかに隠れて脅かしてくれ、

とわずかばかりの望みはそのトイレの前まできてたたれました。



「きっと怖くなって帰ったんだよ。」

だれもがそのトイレを前にして願いました。

しかしそのトイレを覗いた時にみんなは安堵のため息を漏らしました。



奥のトイレから、その大山の足が見えたのです。

どうやら、便器に座ったまま眠りこけてしまったのか、

恐怖のあまり気絶でもしていると思われました。



「なーんだいるよ、ねてんじゃねえのか?」

「だれか起こしてこいよ。」

「さっさと起こして帰ろうぜ。」



その仲間のうち一人が大山のもとへ駆け寄りました。



「まったくなにうぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



その絶叫は聞いて、トイレの入り口で待っていた一同は駆け寄りました。

そして変わり果てた大山の姿を見て愕然としました。



その便器に力なく腰掛けていた大山の、首が無かったのです。



そしてその首から流れる血はまるで赤いちゃんちゃんこを着ているかの如く、

流れているのでした・・・・・。



この話を聞いた人は、3日以内に・・・
寝ているとき、赤いちゃんちゃんこを着たおばあさんが現れるそうです・・・
一階で寝ている人は手をつないで玄関に連れて行き
「ここはあなたの居場所ではありません!」
と言わなければ、赤いちゃんちゃんこにされてしまいます。
2階で寝ている人はおんぶして玄関へ連れて行き
「ここはあなたの居場所ではありません!」
と言わなければ、赤いちゃんちゃんこにされてしまいます。
絶対におばあさんの顔をみてはいけないんだそうです