突然変異は有利なのか?不利なのか?
ドラマや映画では、ある生き物が突然変異を起こして、
それによって、未知の生き物となって、
人間の手に負えないほど進化し、
人間たちを脅かすといったような物語があります。
なんとなく突然変異と聞くと、
今ある環境や状況を克服して、
無敵になってしまうようなイメージが出来上がっているように思えますが、
それは果たして、どうなのでしょうか。
人間にもある突然変異。
突然変異は、ドラマや映画の中だけの話ではありません。
人間もおかれた環境によって、
遺伝子の突然変異が起こることが数多く報告されています。
そのおかれた環境とは、変異原性というものです。
変異原性とは、生命の遺伝情報に不可逆的な性質を引き起こすものです。
不可逆的とは、元に戻れないという意味です。
僕たちの身近には、この変異原性が陽性の物質が、
数多く存在します。
例えば分かりやすいのが放射線です。
放射線は人体を通り抜け、被爆しますが、
その際に細胞や遺伝子を傷つけ、
修復や増殖の際にエラーが起きて、
元通りに戻らないという遺伝子変異があります。
これによって発がん、催奇形性(子孫に奇形が生まれること)など、
生命体にとって不利な方向にはたらきます。
そして、食品添加物の中にも変異原性が陽性のものも数多くあります。
こちらの変異も発がん、催奇形性など、
生命体にとって不利な方向にはたらきます。
ウイルスはどうなのか?
ウイルスはよく、変異しやすいということを聞きます。
さて、その変異が有利なのでしょうか。
ウイルス(存在しない!?)は、
無生物と言われています。
遺伝子だけをもち、生き物として活動せず、
生き物の身体に入ったら、
その生き物を宿主として、増殖をする。
と言われています。
(誰も見たことはありません。仮説の段階です。
更に書くと、ウイルスを単体で分離できた人もいません。)
新型コロナウイルスについては、現時点で不明なことが多いため、
ここでのお話は控えさせていただきます。
さて、そのウイルスに突然変異が起こり、
強くなったらどうでしょうか。
ウイルスにとって生き残って増殖するのが、
目指すところではないのでしょうか。
もしウイルスが強すぎて、
宿主がすぐに死んでしまったら、
ウイルスは増殖出来なくなります。
あなたがウイルスの立場だったら、
宿主を死なせて、自分も死ぬ道を選ぶより、
宿主を生かしたまま自分は増殖して、
感染拡大を目指すのが生き残る道です。
突然変異を起こして、
宿主を死なせるくらい強くなったら、
ウイルスであるあなたも、生き残れなくなってしまいます。
そう考えると、この場合も遺伝子の突然変異は、
有利な方向へはたらくとは考えにくいです。
以前話題となった、SARSやMERSは感染力や致死力が強く、
世界でパンデミックが予想されましたが、
実際には第二波、第三波は到来しませんでした。
ファンタジーの世界なら、遺伝子の突然変異で、
スーパーヒーローでも生まれそうですが、
不利な方向へはたらくというのが、現実と考えられます。