『源』について
鈴木義幸氏がある証券会社の支店長をコーチングしていた時のこと。
支店長は一人の女性スタッフのことで悩んでいた。
その女性は勤続20年になるのだが、しょっちゅう怒ってばかりいる。
課の他の人間にもつっけんどんな態度で、とにかく会社のムードを著しく下げている。
困った支店長は、その女性を誉めてみたり、ストレートに厳しく言ってみたり、ありとあらゆることをやったが改善の兆しが見えない。
そこで支店長はコーチングのプロ・鈴木義幸氏に相談をもちかける。
「どうすれば彼女は変わるのか?」
以下がコーチングの達人・鈴木義幸氏と支店長の会話。
鈴木「彼女はなんで怒ってるのですか?」
支店長「不平や不満がいっぱいあるんですよ。会社はあれもしてくれなない。これもしてくれないって」
鈴木「もちろんそうなんですが、彼女を怒らせているコア、源はなんだと思います?」
「源????」
鈴木氏は質問の角度を変えてみた。
鈴木「彼女のことについてもう少し聞かせてもらえませんか? 年齢とかどういう経緯で今に至っているのかとか」
「彼女は・・・・まず年齢ですが40歳、独身です。大学から東京です。 出身は確か九州だったと思います」
鈴木「なるほど。自分の出身地でない地方で40歳で独身。営業目標は毎年高くなる。支店長が彼女の立場だったらどう感じると思います?」
「・・・・・・やっぱり、不安でしょうね」
鈴木「そう。不安なんですよ。それが怒りの原因なのではないでしょうか。 根底にはおそらくいつも不安が横たわっていて、 それを怒りという感情に変えて外に出さないとバランスが取れないんでしょう」
「なるほど。ほんとうにそうですね」
鈴木「夜、彼女が寝る前に、枕に首を横たえてふっと考えることってどんなことだと思います?」
「寝る前かあ。きっと将来のことを考えて心配になったりするのかもしれないなー」
鈴木「かもしれないですね」
支店長「だとすると、どうすればいいんですか?」
鈴木「どうもしなくてもいいんですよ」
その後、鈴木氏は支店長にこう言う。
「これまで支店長の『なんとか彼女を変えたい!』という気持ちに彼女は反発してきたようなところもあるんじゃないでしょうか。
変えようとするよりも、まず理解してあげる。
彼女が今そういう状態だということを理解してあげる。すると彼女と接するときの支店長のオーラが変わると思います。
いくら口でいいこと言ったって『変われ』ってオーラを出しちゃうと相手は反発してしまうもの。
それよりも理解してほしいだけですよ。自分の状態を。気持ちを。
そう思いませんか?」
この2週後、支店長よりこんな報告が入った。
「彼女の対応はとくにまだ変化はないけれど、少なくとも自分は楽になりました。
以前のように彼女に対してカリカリしなくなって自然体で向き合えるようになったのです」
支店長のなかで彼女は『変えなければいけない存在』から『変えなくてもよい存在』に変わった。
変えようとするよりも、まずわかってあげる。
ありのままを認めてくれる人が周りにいれば人は勝手に変わっていく。
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