10月15日に、金融庁からとある公表がありました。


これは、保険を扱っている人なら見逃せないものになっています。


どのようなものかというと、


"「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について"


というタイトルで発表されたものです。


「保険会社向けの総合的な監督指針」というのは、簡単に言うと


「保険を売る時はこういう考え方でやってくださいね」


というものですね。


ここに、とある変更が加えられることになるようです。


該当の部分は、こちら。


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■特定保険募集人等の教育について

保険商品の特性に応じて、顧客が十分に理解できるよう、
多様化した保険商品に関する十分な知識や保険契約に関する
知識の付与及び適切な保険募集活動のための十分な教育を行っているか。

また、公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑みて、
公的保険制度に関する適切な理解を
確保するための十分な教育を行っているか。
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ここの後半部分である、


『また、公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑みて、
公的保険制度に関する適切な理解を
確保するための十分な教育を行っているか。』


という部分が、新たに追加されるようですね。


また、これだけではありません。


『意向把握・確認の方法』


についても変更が加えられるようです。


元の文章はこのようなものです。


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■意向把握・確認の方法

意向把握・確認の方法については、顧客が、
自らの抱えるリスクやそれを踏まえた意向に
保険契約の内容が対応しているかどうかを
判断したうえで保険契約を締結することを確保するために、
取り扱う商品や募集形態を踏まえ、保険会社又
は保険募集人の創意工夫による方法で行っているか。
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これが、こう変わります。


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■意向把握・確認の方法

意向把握・確認の方法については、顧客が、
自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ、
自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を
適切に理解しつつ、その意向に保険契約の内容が
対応しているかどうかを判断したうえで
保険契約を締結するよう図っているか。

そのために、公的年金の受取試算額などの
公的保険制度についての情報提供を適切に
行うなど、取り扱う商品や募集形態を踏まえ、
保険会社又は保険募集人の創意工夫による方法で行っているか。
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「自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ」


「それに応じた保障の必要性を適切に理解しつつ」


「そのために、公的年金の受取試算額などの
公的保険制度についての情報提供を適切に行うなど」


という所が追加されていますね。


ここから読み取れることは、


『金融庁はライフプランと公的制度を
ベースにしたアドバイザーを増やしたい』


と考えている、ということです。


このように具体的な言葉にしているこということから、
本気で取り組んでいくという意識が感じられますね。


これまでは、保険だけにフォーカスして売るのはOKだったけど・・・


これからは、それだけではダメですよ。


顧客のライフプランを作って、公的制度を
ベースにしてアドバイスをして下さいね。


という要請です。


ただ・・・


従来型の保険会社や保険募集人が
この流れに素直に従うかというと、、、


そうもいかなそうですよね。


正直、年金制度やライフプランを無視して
保険の魅力だけを伝えて売ったほうが稼げるかもしれません。


これに慣れている人たちが、自分たちの
利益を削り手間を減らしてまでそれをやるのは
個人的にはイメージが付きにくいです。


なので、将来的にどうなるかというと、
僕は2極化が進んでいくと思います。


1つは、従来の売り方を続けて
保険の販売で利益を出そうとするグループ。


もう1つは、公的制度やライフプランの
アドバイスを中心にして顧客利益を優先するグループ。


後者の方は、前者と比べてまだまだ稼げる額は少ないと思います。


しかし、時代の流れを考えると、
前者はだんだんと淘汰されていき、
後者が栄える未来が待っていると思います。


国としてもその方針ですし、
様々な情報がオープンになることで
消費者もどんどん賢くなってきます。


だからこそ、本質的なアドバイスができる
FPが今後求められてくることになるでしょう。


古い考えにとらわれずに、
この流れにしっかりと乗ることができるか?


そこが、FPとしての運命の分かれ道になるかもしれません。