手術の後、数回の化学療法をした。

あれから早いもので10年が経過した。


その甲斐もあり、いつも通りの

生活をしている。

たくちゃんの言っていた10年。

やはり寿命なのだろうか。


たくちゃんとの約束は

⭐️いつも笑っていること

⭐️看護師をつづけること

⭐️病気の子供たちを救うこと


5年前から小児の訪問看護も始めた。

約束はコンプリートしている。


和希とはぶつかることもあるけれど、

たくさん話をして、とても幸せだ。



スーパーに買い物に行ったり、

散歩したり…。あの時望んでいた

日々の幸せが、ここにある。


娘も結婚して、まもなく子供が産まれる。

本当に幸せだ。

いつこの人生が終わったとしても、

この人生は最高であったと言える。


今日も掃除をして、和希とのんびり

コーヒーを飲んでいる。

あの時の私からは想像もできない。

家族になってくれて本当にありがとう。



そんな時、携帯が鳴った。

娘の夫からだった。

「里帆、陣痛始まって、

 これから、び、病院いきます…。」

医者なのに、めちゃくちゃ慌てている。

後ろから、里帆が

「大丈夫だからー。病院行こ。」

こんな時は母であり、看護師である

里帆は強い。

「私達も向かうね。」と電話を切り、

病院に向かった。



病院に着くと、子宮口がかなり

開いていて、里帆はすぐに

分娩室に入った。


里帆の夫は落ち着かないようで、

分娩室の前を行ったり来たり…。

和希が彼に、

「これから父親になるんだよ。

 パパが落ちつかないと、赤ちゃん

 安心して出てこれないよ。」

と笑顔でいった。


彼はそれを聞いて、ようやく待合室の

椅子に座った。



それから2時間して、

待ちに待った瞬間が…。


「おぎゃー。」

産まれた!早く会いたい一心で、

全員立ち上がってしまった。


しばらくすると助産師さんが

ベビーを連れてきてくれた。


「かわいい。」

みんなの声がかぶった。


顔をよくみたら…。

たくちゃん?

あまりにも似ていてびっくりした。


呆然としている私の耳元で、

「約束したでしょ。家族になりたいって。

 10年待ったよ。やっと会えたね。

 次はなっちゃんが来てくれるよ。

 本当はあなたの子供に産まれたかった

 けど、間に合わなかったの。」

誰かが言った。でもこの声は、

私にしか聞こえてない。


なっちゃんも受け持ちの子だった。

そうだ、3人で家族ごっこしたよね。

いつか本当の家族になろうって。

よく覚えていてくれたね。

ありがとう!

本当にまた会えて嬉しいよ。





10年後…。

こうなることは決まってたんだね。



今世ではたくさん走って、遊んで

一緒に楽しもうね。


世界は愛で溢れている。


昔は誰かの愛で満たされることばかりを

望んでいた。

でも、違うよね。

誰がどう言ったとしても、

相手から愛が返ってこなくたって、

自分が相手を愛してる。

ただそれだけでいい。


多くを求めすぎるから

イライラしてしまうこともある。

それでも、相手は相手なりに

努力してくれてる。

たとえ口にしなくたって。


ただある…。

そのままでいい。

全てはシンプル。


きっとそれでいいんだ。


それがきっといつか

誰かの道標になり、

永遠に続いていくから


♾️