ホヤ:僕にとって僕の父とは、常に心が苦しくなって、なんというか…心残りを感じるような?
仁川広域市富平市。
ごく平凡なある家庭の自宅。
アイドルグループINFINITEのメンバー、ホヤの両親の家だ。
ある番組で、女性歌手が歌う父への想いを綴った曲を聞いて、涙を流したホヤ。
一体、父との間にはどのような事情があるのだろうか。
久しぶりに自宅で食事をするホヤ。
ホヤ:いただきます。兄さんはいつだって、結婚?
母:結婚?7月23日。あなたが来なきゃ。あなたには絶対来てほしいけど。
ホヤ:7月23日…
母:プロポーズするんだって。
ホヤ:プロポーズするって?
母:プロポーズしなかったら一生文句言われるって。
ホヤ:結婚する日にちまで決まってるのに何を今更プロポーズ?そうなる前にプロポーズしなきゃだろ。
母:それでもプロポーズはしないといけないんだって。
ホヤ:結婚の話を初めてするのがプロポーズなんじゃないの?
とりとめのないの会話が行われている間、父は何も喋りません。
母が席を立ち、父と息子の間にはなんの会話もありません。
父:食事の途中でどこ行ったんだ。
父:(妻と息子)2人でいる時はとても仲睦まじいんです。でも、今回の名節に帰って来た時も、私と何時間もの間、一言も話しませんでした。テレビだけ見て帰りました。泊まりもせずに、家に久しぶりに帰って来たのにスケジュールがあると言って行ってしまったんです。
ホヤ:疎外感をかなり感じると思います。実は昔からそうだったんです。昔から…兄さんも僕も2人とも、母さんとだけ仲良くして…だからか、父さんが余計にイライラすることも多かったし。でも僕の立場からするとこうでした。「いやいや、父さんがこんなふうにしたんだろ」って。僕の立場からするとね。
元から、友達のような父と息子の関係ではありませんでした。
しかし、だんだんと距離が離れていきます。
こんな気まずい関係を解く為に、ホヤは昌原に出向きました。
ホヤ:僕らメンバー同士で何度かはもめて気まずくなることだってあります。でもお互いに話さなくなっても、放送でふざけ合いながらそれがいつの間にか解けていることもあるんです。そういうのを期待する気持ちがあったんだと思います、父さんと…
ホヤが通っていた昌原のトウォル高校。
歌手になりたかったホヤは、踊りと歌の練習に集中する為、高校に上がるとすぐに退学を決意します。
なんとか母親を説得しましたが、父親には話すら聞いてもらえませんでした。
ホヤ:僕が直接話そうという考えにも及びませんでした。
スタッフ:学校を辞めたいって?
ホヤ:そうです。のちのち退学したあとも、「退学した」という話も母さんがしました。
学校の校庭
ホヤ:INFINITE知らない?
子供:はい。
ホヤ:君たち何年生?
子供:3年生です。
ホヤ:3年生なのにINFINITEを知らないの?
子供:はい。
ホヤ:ひどいなぁ。
子供:私たちそれ初めて聞きました。
ホヤ:どんなダンス踊ると思う?
子供:うーんそれは…行こうっと!
ホヤ:またね~
スタッフ:お父さんはそんなに厳しかったんですか?
ホヤ:はい、恐かったです。恐いというか…避けたかったんです、恐いというよりは。こわかったという表現よりは、避けたかったという方が正解だと思います。
トウォル参礼教会
格別厳しかった父。
ホヤは、退学の事実を隠す為に毎朝制服を来て家を出ました。
ホヤ:あぁ……椅子もそのまま置いてあるね。まさにこの場所でした。もしかして中の構造も変わってるかも、と思ったけど、そのままですね。まさにこの場所に座って音楽を聴きながら時間をつぶしていました。
2週間も経たずして、ボロが出ました。
家の中は大騒ぎになりました。
父:先が見えませんでした。悪く言えば、戸籍から消してしまいたいくらいでした。
ホヤ:野球のバットで、ただ勢いよく殴られました。事情なんておかまいなしに。
父:どこの親がそんな話を聞いて頭を撫でてあげますか?一発手が出てしまうでしょう。どうして私が家長なのに、私に何の相談もなく退学をしてしまったのか。その時はもう…はぁ。
ホヤ:僕がどれほど恐ろしかったか、父さんが凝り固まった人じゃなかったら、退学を黙ってしようなんて考えませんでしたよ。僕は不良学生でもなかったのに。絶対に承諾してくれないことを分かっているから、内緒にしていたんですよ。少しでも話が通じたら良かったのに。
市外バス停留所
母親以外は誰も応援してもらえなかった。だからこそ、死に物狂いで走りました。
踊りと歌を習う為に、毎日昌原と釜山を往復しました。
ホヤ:明け方に釜山から深夜バスに乗ってここに着いたら、ほとんど歩いて家に帰りました。歩いて行けばだいたい1時間?その距離を歩いていましたね。明け方に戻ってくることになれば。
着替える服を4、5着用意しても、全てが汗に濡れた時代。
くたくたに疲れて帰って来た息子を、父は目にしました。
父:夜中の12時、1時に帰ってくるものだから、バスももうないじゃないですか。私が迎えに行ってあげなかったから、夜なのに出向きもしなかったから、憎かったんでしょうね。でも一度、あれは冬だったかな?パーカーが、真冬なのにびっしょりと濡れているんですよ。まるで雨に打たれたように。ダンスの練習をしていてそうなったって言うんです。なので、こいつは本当にやるつもりなんだな、と感じて私の態度も変わりました。本当に一生懸命やっている姿を私に見せてくれたので。
ホヤよりも5歳年下の弟ホジュン。
かれも高校生活を最後まで終えることなく、退学しました。演技の道に進みたかったからです。
スタッフ:末っ子が退学をした時はどんな気持ちでしたか?
父:その退学は逆に私が勧めました。なぜかというと、一度経験してるでしょう。無理に止めても無意味だということを私が経験しましたから。ただ知らないふりをしてやり過ごそうとしても、あれもこれも何もかも上手くいかないと思って。妻と一緒に退学させました。家に引き戻しました。
父:車を出してから乗れ。あっちで待ってろ。
ホジュン:はい。
演技の勉強の為に、午前0時を越えて帰宅する末っ子。少しでも顔を合わせようと、学校まで送って行きます。CDを選ぶ父。INFINITEの曲です。
スタッフ:お父さんの車に乗ったら、いつもこうしてINFINITEの曲を流してるんですか?
ホジュン:そうですね、飽きるまで流していますよ。なので、外で別に聞かなくても車に乗る度に聞いてるので歌詞も全部覚えるし。
ソウル特別市麻浦区
久しぶりに、ホヤが弟ホジュンを呼び出しました。
少し前に封切りされたある映画を一緒に見ることにしました。
ホジュンにとって兄は、先輩であり、そして一番厳しい先生でもあります。
この映画には兄弟が共に出演します。
ホヤは主人公、ホジュンは脇役です。
映画での弟のセリフはたった一言。
ホヤ:なんだって?(笑)それじゃぁ俺たちどうなるの?(←ホジュンのセリフ)
ホジュン:いやぁ…だからあれは…(笑)でも声はめっちゃ良くない?なんて言ってるかは分からないけど。
ホヤ:変声期の少年の声みたいだけど?ところで、お前方言は直さないのか?
ホジュン:今はあんまり出てなくない?
ホヤ:出てなくない?かなり訛ってるけど。直ってないみたいだけど?
ホジュン:ヒョンが本を読めって言ったじゃん?声に出しながら。俺はそのおかげで直ったと思ったけど、まだ残ってる?
ホヤ:かなりな。かなり残ってるみたいだけど。
ホジュン:そう?
ホヤ:僕が毎度驚かされるのが、僕にあの父の姿を見る時があります。とても無愛想に接して、ただ言葉をぶっきらぼうに吐いて。その言葉を口に出しながら後悔するんです。言うと同時に後悔するんですが、でもそれが1番難しいんです。それが1番難しいと思います、それを変えることが。
京畿道安養市
父が久しぶりに外出しました。唯一心の内を素直に吐き出せる故郷の友人に会いました。
友人:親がどれほど懸命にお金を稼いで、それだけ汗を流して働いて、ここまでやって来たのかを子供たちは知らなきゃいけない。最近の若い奴はそれを分かってないんだ。
父:それでも基本的なことは親がしてやらないと。
友人:基本的なこと?健康に送り出せばそれでおしまいだよ。
父:末っ子の入学金なんかも、全部次男が出してくれてるんだ。
友人:他人じゃないだろう。
父:いや、俺が事業を始めて台無しにしてしまったから…それでも次男は孝行息子だよ。自分の弟だからって大学の入学金も全部受け持ってくてるじゃないか。
友人:ホヤが?
父:うん、1から100まで全部やってくれてるよ。だけど俺も子供にそんなことではいけないけれど、「ありがとう」とこんなふうには言えなそうなんだ。
友人:子供たちがお前に感謝しなきゃいけないんだ。
父:俺が感謝しなきゃなんだよ。
COEX
今日父は初めての挑戦をします。息子に一歩、歩み寄ること。
こう見ると、だんだんと遠くなっていく気がします。
放送関連の授賞式場。息子のお祝いの公演の真っ最中だ。
今日、ホヤは賞をもらうことができるのか。
なんとなく父も落ち着かない様子です。
息子をお祝いしにいく父。
ホヤ:ありがとうございます。
花を渡したのも束の間、他のメンバーとの挨拶に忙しいです。
相変わらずぎこちないですが、悪くはなさそうです。
ホヤ:両親が授賞式に来たのは初めてのことだし、両親だけじゃなく誰か知人もひっくるめて、こうして授賞式に誰かが来て直接花束を渡してくれるのは初めてなんです。僕も来てくれるとは思っていなかったんですが、急に来たので驚きました。
父:こういう場所には初めて来たのでぎこちないですね。
スタッフ:あたたかく抱きしめたりすれば良かったですね?
父:何をそんな、抱きしめるなんて照れくさいですよ(笑)男たちは目だけで通じればいいんです。
父が最初に歩み寄った第一歩。
息子も勇気を出してみます。
ホヤから父へのメッセージ
「父さん、明日母さんの誕生日の準備、一緒にしますか~?」
仁川広域市南区
次の日。
スタッフ:久しぶりに次男から声をかけられてどうでしたか?
父:とても嬉しいし、胸がいっぱいですね。
久しぶりに、父の歩みも軽くなります。
父:おう、ホウォナ~
ホヤ:いらっしゃい。
父:飯は食べたか?
ホヤ:はい。食べましたか?
父:照れくさいメッセージを送って来たな?
ホヤ:なんでこれが照れくさいんですか?
父:ちょっと照れたよ。
ホヤ:何しましょうか?母さんの誕生日祝い。
父:飯を作って、ワカメスープを煮て、それからチャプチェ。
ホヤ:父さんワカメスープ作れないでしょう?
父:作れるさ。
ホヤ:作れるって?
父:作れるよ。
ホヤ:もうできあがってるのも売ってあるけど?
父:それは誕生日の食卓を準備することにはならないだろう。できあがってるのを買うなら、どこかに食べに行った方がマシだ。
ホヤ:俺は作り方分からないんだけど。
父:俺がするよ。お前は助手になれ。
父と買い出しに出るのは人生で初めてのことです。
ホヤ:それワカメスープ作る時に使うやつですか?ワカメスープ作る時に使うのは、開いてるワカメじゃないんですか?
父:水につければふやけるんだよ。
ホヤ:あ、そうなんですか?
カートを押すのは助手の役割です。
父に言われるがままに商品を入れていきます。
ホヤ:これ一度食べてみましょうよ。ん~うまい。
父:試食して買わなかったら文句言われるぞ。
ホヤ:買いますか(笑)
ホヤ:父さんと2人でいるのはどんな感じだろう?と1人考えたことはありました。だからこそその状況を避けていたというのもあったんですが、思ったよりは気まずくなかったんです。
母親の場所だった台所。
今日は父と息子の空間になりました。
ホヤ:母さん、そこでじっと座っててね。
母:(笑)あの良い材料で失敗したらどうするのよ。
ホヤ:あぁ、すごい上手くいった気がする。それ元々混ぜて焼いてもいいんですか?
父:大丈夫だ、大丈夫だけどサバの色があんまり良くないな。
なかなか誕生日祝いの雰囲気が出ているようです。
父:ケーキを出せ、ケーキを。真ん中に置かなきゃいけないんじゃないのか?
ホヤ:なんか一方に偏っちゃったね。
父:つぶれたのか?
ホヤ:いや、潰れてはないですよ。
父:歌は歌わずにただ火だけ消せ。
母:なんで、歌ってよ~
父:なんの歌を歌うんだよ。
母:歌ってよ。
ホヤ:父さんが歌ってあげなくちゃでしょう。
センイルチュッカ~ハムニダ~♪
父:おい~一気に吹き消せよ。長生きしそうだなぁ。さて、飯を食べよう。
ホヤ:こんなに水っぽいタチウオは初めて食べるかも。
母:味付けがちゃんとできてないからそうなったのよ。ただ塩で味付けすればいいのに。
ホヤ:なんだか刺身みたいだな。
父母:(笑)
父と息子、ようやく少しは近付くことができたのでしょうか?
ホヤ:僕の中では本当に勇気を出して、少し冗談を言ってみたり頑張ってみたんです。僕はそれが父さんには通じないと思っていたし、それを理解できずに受け入れてくれないと思っていたんですが、笑ってくれたんです。笑って、父さんも冗談を言ってくれたんです。家族なのに父さんに対しての偏見があったんだなぁと。半歩、一歩ではなくて、六歩くらいは近付けたんじゃないかと思います。
(翻訳:Hamu)