たとえば、年金の「第3号保険者」と、健康保険の「被扶養者」の制度が廃止され、働いても働いていなくても自ら保険料を払うような制度改正が行われたら、収入の壁を気にせずにたくさん働きたい人が急増するだろう。
そのときに、たくさん働きたい人全員が希望を叶えられるわけではない。
人を選び、勤務時間を決めるのは、勤務先の上長である。
では、上長に「選ばれる人」はどんな人か。
私がその立場なら、日頃から熱心に働き(これは当たり前)、年末の繁忙期で人繰りが厳しいときにも就業調整せずに働いてくれている人を優先してシフトを組みたい。
「選ばれる人」になるには、時間をかけた準備が必要なのである。
コンサルティングに訪れたご夫婦にこの話をすると、夫は「その通りだ」と大きくうなずく。
男性は人を使う側の視点で考えるから、「選ばれるパートになるため、短期的にソンしても、将来のトクを取るべき」という私の考えに同意し、妻に向かって「がんばってもう少し働いてみたら」と言う。
妻にしてみると「たくさん働くなと言っていたくせに」と思うようだが(そういう顔をしている)、夫はそんなことを言ったことはすっかり忘れている。
子どもの成長とともに教育費負担は増している上、管理職になっても思ったほど給料は上がらない。
実は、妻が収入を増やしてくれるのは、願ってもないことなのだ(自分からは頼めない)。
夫が「もう少し働いてみたら」と言うなら、妻は働こう。
そして、家事などで不満を言われたら「働いてみたらと言ったじゃない。
自分のことは自分でして」と言い返せばいい。
「社会保険の壁」は、世帯の手取り収入に密接に関わる問題なのに、妻はパート仲間同士で「目先のソントク」の話に終始し、夫は新聞やネットのコラムを読んで「ふーん」と思うだけ。
これではいけない。
夫婦で話をすると、男性の視点、女性の視点からその家庭ならではの新たな発見があるはずだ。
今回の制度改正をきっかけに、夫婦で話をしてみよう。
収入を増やすために、もう一つアドバイスがある。
勤務時間を増やす以外に、時給アップも心がけたい。
たとえば、高い時給の職場に移るチャレンジをしてみる。
自宅から歩いて行ける小規模な勤務先に直接雇用されるより、人材派遣会社に登録し電車で数駅離れたターミナル駅にある企業で働いたほうが時給は高いケースが多い。
人材派遣会社でPCや経理などのスキルアップ研修を数千円で受講できるメリットも見逃せない。
今の勤務先に満足しているなら、時給アップの交渉をしてみるのもいい。
以前、直接雇用のパートとして働く友人に「そんなに長い期間働いているなら、時給上げてって言ってみたら?」と何気なく言ってみたことがある。
数日経って「直接交渉する勇気がないと主人に相談したら、自分がしている仕事とこれからしてみたい仕事を紙にまとめて交渉してみたらとアドバイスを受けたので、やってみたら、50円上がった!
次の年度はもう50円上げてくれることを約束してくれた!」と大喜びのメールがきた。
これも「男性目線」を入れることの効果である。
男性と女性とでは話の進め方が異なるので、慣れないと双方イラッとする瞬間もあると思うが、感情面のひっかかりはさらっと流しながら世帯収入アップのための「夫婦会議」にトライしてみよう。(深田晶恵)
