先日Face Appという画像加工アプリがあることを知り、変装好きの私はさっそく試してみた。

実に面白いアプリで、メイクはもちろん性別を入れ替えたり、年齢を若返らせたり年を取らせてみたりとあらゆる加工ができる。

２，３分あれば別人に変身することが可能で、私も２枚ほど本気でやってみた（オプションの課金までして）。

どちらも変装写真を更に加工する形で試してみたのだが、特に２枚目はもはや横溝正史の金田一シリーズに出てきそうな、不気味な相貌に変わってしまった。しかし３枚目を加工している途中で、厭きてしまった。楽しくないのだ。

これは結局、質感を伴った手探り感に乏しいせいだとおもう。

非常に洗練されていて、ワンタッチで魔法のように顔かたちが変えられるのは確かに魅力的かもしれないが、見た目が違うだけで行き着くところは同じである。それは詰まらない気がする。

それよりも、やはりウイッグを分解したり髭を付け替えてみたりしながらの変装のほうが、私の性には合っている。生産性のかけらもない、無駄なことである点はアプリと然程変わらず、時間的な効率と仕上がりのクオリティーを考えれば当然後者のほうが優れているわけだが。

話は変わるが、昨日夕刊を斜め読みしていたら、定期連載されている『終活ナビ』のコーナーに、自分たちは子供もなく親類縁者とも疎遠な夫婦で、死後もお互いを身近に感じていたいから、家の庭に墓を建てたいという相談が載っていた。

回答者は法律的に遺骨を入れた墓の建立はNGだと書いていたが、墓石だけを建てるのはOKだという（当然お勧めはしていない）。これは初耳だった。

そういえば、亡父も生前冗談交じりに「自分が死んだら庭に墓を建ててくれ」と話していた（全く独断と偏見に満ちた考えながら、こういう発想をする人と、自宅の表札をフルネームにしている人は、何となく似た人種ではないかと想像してしまう）。

ところで、兄は５０半ばで未だ独り身だが、「オレが死んだら骨は砕いて便所に流してくれ」とずっと言い続けている。私も逆縁がなければ孤独死はほぼ既定路線で、そうなると我が家の先祖供養はいったいどうなってしまうのであろうか。

もっとも、先祖供養以前に孤独死した私の死骸がどうなってしまうかのほうが、実は切実且つ衛生的にも問題である。

ろくでなしの放言(9)