下に載せたＣＤと陶製品と造花とクリーニングクロスの珍奇な取り合わせは、言うまでもなく初めは全てバラバラだった。

最初からあったのはカラーの花びらの中にヴァイオリンをあしらったマーラーのＣＤである。

これは演奏内容というよりジャケットのデザインに惹かれて購入したものだ。次に買ったのが花器に入っているクリーニングクロスで、ＣＤをプレイヤーにのせる前の埃落とし用として元々ＣＤ棚の中に無造作に突っ込んでいた。

花器と皿は以前ブログで取り上げたザ・ペイジーズを購入した催事で最初に目にとまって買い求めた陶製品である。

当初は花器にクリーニングクロスをさしていただけだったのが、横にマーラーのＣＤを並べてみたら意外に感じが出たのでＣＤを皿にのせ、さらに調子にのってカラーの造花をわざわざデパートまで買いに行き（しかもバランスが分らないのでＳ，Ｍ，Ｌの３種類を１本ずつ買った。馬鹿な話である）結局何だかよく分からない組合わせのままオーディオラックの上に置きっ放しで現在に到っている。

無駄に無駄を重ねるとはまさにこういうことで、これでは貧乏になる筈だと自分でも呆れている。

モノにもいろいろ種類がある。電化製品のように自ずと居場所が定まるものもあるが、大半はこちらで居場所を決めなければいけないものばかりである。それを考えるのが楽しいという人もいるかもしれないが、私はあまりモノに振り回されたくはない。と言いつつ、いいように翻弄されている。物欲のない猫が羨ましい。首輪も洋服も全ては人間のお仕着せで、本猫は欲しがらない。

屢々動物と暮らすとお金がかかるなどと言われるが人間のほうが遥かに不経済で、ただその不経済な部分を経済活動という自助努力で補っているに過ぎない。私のようにそれすらせずに物欲だけを何とか満たそうと日々浅ましく生きているような人間は、もはや人として生きる値うちすらない存在である。

モノといえば、一昨日なにげなくＢＳの番組をみていたら断捨離特集をやっていたが、モノに侵蝕された空間は悲惨である。しかし一歩間違えばそういう状況になり得る業のなかを人は生きているのだから対岸の火事では済まされない。

それにしても、このいつからか流行りだした〝断捨離〟という言葉、字面だけを眺めると何とも殺伐とした気分になってくる。それぞれの漢字には勿論いい意味合いももあるのだろうが、３つ並ぶと非情なニュアンスが際だち『モノ』との最終決戦に臨むような悲壮な響きを帯びる。

それほどモノとの付き合い方は熾烈を極めるということなのだろう。本来そのくらいの覚悟をもって手に入れる段階から熟考しなければいけないのだが、出口に比べると多くの場合入口は気楽なものである。