今日はとても寒い一日で

 

午前中のお買い物は中止

母は一日家にいた。

 

家にいると

どうしても居眠りする回数が増えるので

その度に認知機能が狂う。

 

私が作業部屋で仕事していると、

部屋の扉の向こうから

「にいちゃん」「にいちゃん」

と声をかけてくる。

 

ずっと離れて住んでいたせいか、

それとも何かを確認するためか、

記憶をとどめておこうとするのか、

全くわからないが

声をかけて確認している。

 

いつも私は

「いるよ!」

と応える。

 

たまに話をしながら母を居間へ誘導して安心させようとする。

そう思っているかはわからないが。

 

今日も声を掛けに来たが

たまたまトイレに入っていた

トイレと作業部屋は廊下をはさんで反対側。

 

私が出ると部屋に声をかける母がいた。

「にいちゃん」

 

後ろから

「おれ、ここにいるよ。トイレにいたよ。」

 

ところが納得していない顔。

「おれが、にいちゃんだよ。」

 

母は

納得しないまま

「そうね。」

といった

 

その後はいつものように

居間へ誘導したが

どこか不安そうだった。

 

私は昔の母の姿は忘れてしまった。

35年間、離れて暮らしているうちに

私自身、母だけでなく思い出は忘れてしまった。

元々、私はそうできている。

 

子供の頃のことを鮮明に覚えている人がいるが

私は全くだ。これは若い頃からずっとそうだ。

なんというか興味が無くなると忘れてしまう。

 

認知症の記憶は

興味が無くなることで忘れやすくなるのではないだろうか。

 

嫌なことが起きると

母の記憶は通常より数十倍から百倍長く保存されている。

何でもないことは10秒くらい。

嫌なことは1時間くらい覚えていることがある。

 

人の脳は複雑でわからないことだらけ。

絡合なるものも出てくると更にわからないことだらけになる。

 

母にはできるだけ長く楽しく生活してほしいことを望む。