「青銅の弓」読書会のブログ、楽しく読ませていただきました。

私もファンのひとりとしてとして、復刊を強く希望します。

知恵を出しあって、実現に向けて動きませんか?


以下に以前、私が書いた書評を紹介いたします。どうぞお読みください。


星5つ中5つ

 本当の敵は、自分自身を縛る憎しみの心。

憎しみから許しへ。

「ベン・ハー」を越える魂の遍歴の物語り!

 2021年5月11日に日本でレビュー済み フォーマット: 単行本 1962年度ニューベリー賞(後述)受賞! 

 【著者】E.G.スピア 

 【出版社・年】岩波書店 1962年

 【カテゴリー】児童書 小学校高学年から 【現状】1986年に第3版を最後に休刊(事実上の絶版)。蔵書している図書館(公共・大学供)も少なくなりました。出回っている古書もわずかの超希少本です。 アメリカでは今でも再販を重ね、学校教科書にも採用されているとのことです。日本とは雲泥の差です。 

 ▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫ 前置きが長くなりました。 イエス・キリストの時代。 ユダヤのガリラヤ地方。 ローマ帝国の圧政に苦しむ人々。青年ダニエルは少年期に両親をローマに殺されました。ローマへの復讐を誓い、家族を捨て、夢を捨てて、ゲリラ活動に身を投じます。しかしそのゲリラ活動もローマと戦うどころか、同胞を襲っては金品、食料を奪う山賊そのものでした。 ▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫ 

 悩みを深める中、イエスとの出会いがあります。一目でイエスこそローマからの解放者だと確信し、ダニエルはイエスに近づいていきます。 ダニエル「先生、我々の指導者になってください!」 イエス(静かに迫り)「全てを捨てて、わたしに従ってほしい」 ダニエル「家族も生活も全て捨てました、残っているのはローマへの復讐だけです!」 イエス「その憎しみを捨てられますか?」 ダニエル「それだけはできません!」 困惑と失意の中、イエスの元を去るダニエル。 あがくほど、もがくほど遠のいていく、本当の解放。

 ▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫立ちはだかるローマ。仲間が命を落とし、友も去っていき、最愛の妹も死の縁の中、自分を責め続けるダニエル。絶望の底で、ダニエルは最後に何を見いだすのでしょうか? コロナ・民族対立という人類共通の敵と戦う中、先が見えず疲弊する私たち。それでもなお他者への憎しみを捨てきれない私たち。今こそ若い人から大人まで、全ての人に読んでほしい作品です。 

 ▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫▪▫ ニューベリー賞はアメリカの最も権威ある児童文学賞です。文字数が少なくなってしまいましたので、詳しくはウィキペディア等をご参照ください。


 ラストが気になって眠れない?という方にのために、ネタバレですが、感動のラストをお教えします。 ダニエルの妹レア。 レアも魂に深い闇を負っていて、10年以上家から出られないでいる。 ローマの若い兵士マーカスと窓越しに言葉を交わし、淡い恋心を抱くレア。心が解放されていくが、兄には言えない。 ところが、それが兄に知られてしまう。ダニエルは激昂し、レアに怒りをぶつけてしまう。レアは再び深い闇に引きずり込まれ、命も尽きようとする。後悔にさいなまれるダニエル。人づてにレアの危篤がイエスに届く。 

 訪れるイエス・・・

 レア、目が覚め「イエス?」 

 イエス「もう良いのですよ」 

 熱いものが溢れるダニエル。イエスを追うダニエル。 家の外で、一人立ち尽くすマーカス。 ダニエル、声をふりしぼり「熱は下がった、妹は良くなる。

・・・どうか我が家に入ってくれないか」 完


 涙で言葉になりません。