笑顔を求めて【後編】 | とあるSSのクライアント

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それから3日後の16日合格発表の日の朝、なんともいえない疲労感と喪失感に見舞われながら美琴は目を覚ました。
上条に捨てられたショックで寝込みこの4日間は1度も部屋から出ていない。
黒子や寮監は何があったのかと心配してくれたが体調が悪いと言ってごまかしていた。
本当に体調は悪かったがその原因を言うわけにもいかないし、もし言えば黒子は上条に危害を加えるからだ。
たとえ上条が自分を捨てたとしても上条が傷つくのは絶対に嫌だった。

あれから数日間いろいろなことを考えた。
あのときの電話相手はマンションの女性だったのか。
最近付き合いが悪かったのはあの女性と会うためだったのか。
受験を頑張れとメールしてくれたのは同じ学校に入らせず自分を遠ざけるためだったのだろうか。
悪い方向に思考が進むことが多かった。

しかし1番多く考えたことは上条との楽しかった日々だった。
学校が終わると毎日のようにデートし、土日はいろいろなところへ遊びに行った。
遊園地や映画館、ゲームセンター、水族館にプール、劇場や旅行にも行った。
もうあの楽しかった日々は戻ってこない。
最終的にはそう考えてしまい毛布に包まって泣く、そんな繰り返しだった。

この日もずっと寮にいたかったが合格発表に行かないわけにはいかない。
風邪は治っているが重い足取りで受験した高校に向かう。
結果は

「合格……か」

周りでは受かって騒いでいる子や落ちて落ち込んでいる子がいる。
だが美琴はそのどちらでもなかった。
受かって落ち込んでいるのだ。
理由はもちろん上条の存在。

「受けてる時は楽しみだったんだけどな…4月からの生活…」

頼もしい存在であった上条はもう自分のもとにはいてくれない。
だが受かったことで逆に踏ん切りがついた。

上条に会おう。
会ってすべてを終わらせてこよう。
そうして4月からの新しい生活をむかえよう。
そう決意した。
そして美琴は受付でいくつかの書類をもらうとその学校を後にした。
いや正確には後にしようとした。

「よ、久しぶりだな。その書類を見る限り受かったみたいだな」

その声の主は上条、いくら会おうと決意したといえどこれは早すぎる。
ついつい書類を落っことしそうになる。
美琴は会っていろいろな話がしたかったが何もでてこなかった。
でてきたのは単純な質問だけだった。

「な…んで…ここに…?」

「なんでって彼女の合格発表の日だぞ?しばらく連絡つかなくて心配だったしここに来るのも当たり前だろ?」

上条が来たことがありえない、という表情をしている美琴を見て上条はため息をつく。

「はぁ…なんて表情してんだよ…そんなに俺が来たことが嫌だったか?」

「い、嫌なんかじゃない!でも…」

思わず美琴は叫んだ。
周りの視線が2人に集まる。

「でも…なんだよ。まあいいや、俺も話したいことあるしちょっと移動しようぜ」

話したいこと、その言葉を聞いて美琴は上条から離れたくなった。
しかしこれ以上上条に迷惑をかけるわけにもいかない。
歩き出した上条にとりあえずついていくことにした。


◇ ◇ ◇


歩くこと数分、やってきたのはあのマンションだった。
この時点で美琴は泣きそうになった。
ひょっとしたらもう涙目になっているかもしれない。
だが前を歩く上条はそんなことに気づかない。

(今までなら絶対隣を歩いてくれたのに…)

明らかに今日の上条は歩くペースが速かった。
だから何回追いついても美琴は上条から数歩遅れてしまう。
また手をつなごうにも上条は両手に荷物を持っていてつなぐことができなかった。
上条はマンションのエレベーターの手前まで来てようやく歩くのが速かったことに気づいたようだ。

786 :笑顔を求めて:2011/03/26(土) 17:20:03 ID:93Asf.x.

「悪い!少しでも早くここに来たくてさ」

「別に…それだけ大事なことだもんね…」

上条の言葉に美琴は自分の中にどす黒い感情が生まれたのがわかった。
自分から上条を奪い取ったあの女が憎い。
そしてその感情は1分でも、1秒でも時間が経てばどんどん膨れ上がっていくこともわかった。

(あの女に会ったら速攻で電撃をくらわせてやる)

部屋に着くまで上条が何か話しているようだったが美琴はそれを一切聞いていなかった。
電撃をくらわせるなどと物騒なことを考えているうちにあの部屋の前にたどり着いた。
インターホンを鳴らすのかと思いきや上条は鍵を取り出すとそれを使いドアを開ける。
この時点で美琴はかなり帯電していた。
しかし上条が右手で美琴の腕をつかんだため帯電していた電気は消える。

「さ、入ろうぜ」

「え?ちょ、ちょっと!!」

上条はドアを開けると美琴の腕をつかみ強引に引っ張って中へと入る。
美琴はそれを振り払おうとしたが玄関を上がったところで上条のほうから離した。
再び帯電しかけたがそこで美琴はあることに気づく。

(あの女は…いない…?)

中に人の気配はなかった。
美琴の能力でも誰もいないということがわかる。
そして通路の先の部屋に入ってみても女の人が生活しているような様子はなかった。
それ以前に置いてある物がやけに少ない。
まるで引越ししたてのようだ。
そこでふと上条のほうを見ると顔を少し赤くし何か言いたそうだった。

「まあ言いたいことはいろいろあるけどまずは美琴、合格おめでとう!お前なら絶対受かると思ってたよ」

「あ、ありがと……で、この部屋なんなの?」

「ああ今から説明する。と、その前にこれ受け取ってくれ。ちょっと遅くなったけどバレンタインのお返しだ」

そういって手渡されたのは小さな四角い箱。
きれいに包装されておりどう見てもどこかの店で買ってきたものだ。

「(今年は手作りじゃないんだ…)わざわざ悪いわね」

お返しをもらえたことはもちろん嬉しい。
だが去年は手作りだったことを考えるとやはり自分はこの程度の存在なのかと思ってしまう。
まあずっと手に持っているわけにもいかないのでその箱を持っていたカバンにしまおうとすると

「あ、あのさ…それ今開けてみてくれないか?」

美琴はなぜ今?と思ったが別に断る理由などないので開けることにした。
結構頑丈な包装ほどくと出てきたのは何やら立派な箱。

(お菓子にしてはえらい豪華な箱ね―――え!?これは…)

美琴の予想に反しその中身は――――――――――――指輪
美琴が驚きのあまり固まっていると指輪を上条が手に取る。
そして無言のままその指輪を美琴の薬指にはめる。
上条は美琴の指のサイズなど知っているはずがないのだがなぜかぴったりだった。
さらによく見てみるとその指輪には

『KAMIJOU TOUMA & KAMIJOU MIKOTO』

と刻印があった。
さすがは学園都市製、小さな指輪だが文字ははっきりと見えるよう刻印されている。

「それでだな、美琴も4月から高校生になって常盤台の寮を出ることになるしさ」

そこでいったん言葉を区切り上条は美琴に優しく微笑みかける。

「ここで俺と一緒に暮らさないか?」

美琴はまだ目の前の状況が理解できなかった。
ここはあの女の部屋ではなかったのか、上条は私を捨てたのではなかったのか。
その他にも膨大な疑問が浮かんできたが、今はそんなことはどうでもよかった。
嬉しさとともに涙がこぼれた。
1粒、2粒とこぼれるともう止まらない。
目の前で焦っている様子の上条の姿が歪んでいく。

「え!?なんで!?ひょっとして嫌だったのか!!?指輪か!?一緒に暮らすってことか!?」

それを言葉で否定しようとしたが泣いているためうまくしゃべれない。
首を小さく横に振ると美琴は上条に抱きついた。
上条はそんな美琴に驚いたようだったがすぐに腕をまわし優しく抱きしめる。
久しぶりの彼の体温、久しぶりの彼の匂い、久しぶりの彼の抱擁。
すべてが懐かしく、そして恋しかった。

787 :笑顔を求めて:2011/03/26(土) 17:23:04 ID:93Asf.x.

それから何分経ったのだろうか。
美琴としてはもっとこうしていたかったが気分は落ち着いたし言わなければならないことがある。
美琴は名残惜しそうに上条からそっと離れる。
数分間立ちっぱなしだったため2人はとりあえずその場に座ることにした。
それから少しの沈黙の後美琴が口を開く。

「ありがとう、当麻…指輪も、一緒に住もうって言ってくれたこともすごく嬉しい…覚えててくれたんだ」

公園のことやあの女のことなど多くの疑問があったが美琴はとにかくお礼を言いたかった。

「そんな大事なこと忘れるわけないだろ?前は美琴がお金を払うって言ったから断っただけだったしな」

美琴は手に目をやり薬指に指輪がはめられているのを確認する。
しっかりと感触がある、夢ではない。
と、ここで美琴は重大な問題に気がついた。

「……あ…でも一緒に住むって言ったらうちの親がなんて言うかな…」

それは両親が許可してくれるかどうか、ということだ。
美琴としては一緒に暮らすのはもちろんOKだ。
しかし美鈴はともかく旅掛はこういうことに厳しい。
なんて説得しようかと美琴が迷っていると

「それなら問題ないぞ。もう許可もらってるからな」

またしても上条に驚かされた。

「受験の少し前だったかな、ほら美琴がうちに来てた時に電話かかってきたことあっただろ?
 あの電話の相手は美鈴さんで許可がおりたとこだったんだよ。
 まあ一緒に住ませてくれって最初に頼んだのはもっと前だったけどな」

「そんなに前から……じゃ、じゃあ受験の前あんまり会ってくれなかったのは私の親を説得するため…?」

「あー…いや、それはまた別のことでだな……」

上条が言葉を濁す。
と、ここで美琴は上条の変化に気づいた。
今日はまだ上条の顔をしっかり見たことがなかったので気がつかなかったが前よりも痩せた気がする、
というか明らかに痩せた。
目元に隈もできており疲れがみえる。
そこから導き出された答えは1つ。

「ねえ……マンションと指輪のお金って…どうしたの?」

「え!?……こ、これくらい上条さんにとって支払うのはたやすいことですよ?」

明らかに嘘だった。
片方でもかなりお金がかかりそうなのに貧乏学生である上条が簡単に両方支払えるわけがない。
バイトをしていたに決まっている。
それもかなりの時間を。

「……バイトしてたんでしょ?」

その言葉に上条はビクッっとする。
図星のようで美琴を見てはいるが目は合わせていない。

「し、してたけどほんの少しだぞ?1週間…いや4日くらいだったかな~……」

「ねぇ……本当のことを話して……」

美琴は上条をじっと見つめる。
それに対し上条はしばらく考えたあと口を開く。

「……わかったよ。話すからそんな悲しそうな顔するなって」

どうやら隠しても無駄と思ったようだ。

「俺はここ2ヶ月くらいバイトしてた。お前も受験勉強で忙しくて会えないだろうから調度いいと思ってさ。
 そんでそのバイトのお金で指輪買ったんだ。ま、そんな疲れるバイトじゃなかったから心配すんなよ。
 欲をいえば受験の日にマンションのことを話してホワイトデーに指輪を渡したかったんだけどな、まあ風邪ひいてたならしょうがないよな」

「え?」

美琴は上条の言葉に耳を疑った。
今上条はなんと言った?
受験の日にマンションのことを話してホワイトデーに指輪を渡したかった?

「あ、のさ……まさか…受験の日の“大事な話”って…この部屋のことだったの…?」

「ん?ああ。俺としては12日に一緒に住もうって言って13日に引越しの準備、
 んで14日に引っ越して指輪を渡すって予定だったからな」

上条はまあ今日同時にプレゼントできたから結果オーライだけど、と言っていたが美琴の耳にははいっていかない。
上条を尾行したときのような冷や汗が流れる。

「それと……なんで風邪のこと知ってるの?」

風邪をひいたということを上条が知っているのはおかしい。
風邪だと言って部屋にこもり始めたのは13日からでそれから今日まで上条とは1度会っていない。
町で黒子に会い聞いたのだろうか、と思ったがその答えは予想外のものだった。

「なんでって…13日の夜に常盤台の寮まで行って寮監から聞いたからじゃないか。
 ていうか最近は毎日行ってたんだけど寮監から俺のこと聞いてないのか?」

「え……あ―――――」

788 :笑顔を求めて:2011/03/26(土) 17:23:34 ID:93Asf.x.

上条の言葉を聞いて美琴は思い出した。
確かに13日の夜に寮監は美琴の部屋に来て何か話そうとしていた。
しかし美琴は体調が悪いことを理由にそれを聞かなかった。
そしてそれ以降も同じように寮監が来ても話を聞こうとはしなかった。
上条が来てくれていたということに驚いている美琴を見て上条は不思議そうな表情を浮かべる。

「まさか知らなかったのか?おかしいな…寮監に伝えてくれって頼んだのに」

対する美琴は今上条が言っていることが信じられないというような表情だった。
だがそれは紛れもない事実、すべては美琴の勘違いだったのだから。

「そ、そんな…バイトも大変だったはずなのに…わざわざ来てくれてたの…?」

とんでもない勘違いをしてしまった、という思いから顔が青ざめていく美琴。
だが上条は自分がバイトのことを話したことが原因だと思い慌てて弁解する。

「い、いやだから別に大変ってことはないぞ!?さっきも言ったけど疲れるバイトじゃなかったし
 美琴の笑顔が見れることを考えれば楽しいくらいだったしな!」

「ッ―――――」

大変でないはずがない。疲れないわけがない。
上条の姿を見ればわかることだ。
毎日のようにきついバイトをして食事なども削っていたに違いない。
それなのに心配をかけないようバイトをしていたことを隠そうとしていた。
それだけ苦労してホワイトデーことを計画してくれていたのに自分の勘違いで台無しにしてしまった。

(最低だな……私……)

美琴は謝らずにはいられなくなった。

「……ごめんね…」

「へ?何がだ?」

「実はね…私こないだ当麻を尾行してたの…」

それを聞いた上条は驚いたようだったが何も聞き返さず黙って話の続きを聞いていた。
美琴は受験の日からのことをずべて上条に話す。

「その前の日に公園で女の人といるのを見て…不安になって…それで次の日たまたま外で当麻を見かけてここまでつけてたのよ…」

美琴の声が涙声になる。
目からは先ほどと別の涙があふれそうになる。
美琴は自分を責めた。
なぜ上条を信じることができなかったのか。
そんな自分が心底嫌になった。

「その時この部屋から女の人がでてきたからてっきり浮気してるのかと思って…それで…連絡もしなくて…」
 
「美琴…」

「部屋にこもってて…当麻がきてくれてたのに……気づかずに自分の都合で追い返して…」

上条はそこまで聞くと美琴を抱き寄せた。

「まさか不安にさせてたなんてな……でも安心してくれ。あの人はここの管理人さんなんだ。
 受験の日はたまたま会っただけだったしその次の日はちょっとした用事でここに来てたんだ。
 本当ごめんな美琴……」

「と、当麻が謝る必要なんてないわよ!私の勘違いが全部悪いんだから!」

上条に謝られたため美琴は慌てて反論する。

「当麻は…私のこと考えてくれてたのに…私は…私は勝手に勘違いして落ち込んで…勝手にいらついて……それに―――」

そこまで言って美琴の言葉が途切れる。
上条がキスをしたためだ。

「ん…それ以上は言わなくてもいい。そんなことより笑ってくれよ」

「え?」

「俺は美琴の笑顔が見たくて指輪とこの部屋を用意したんだ。美琴が笑ってくれないと意味ないだろ?」

「あ……」 

上条の言葉通りこの日美琴は1度も笑っていなかった。
それどころか上条を尾行した日からずっと笑ったことがなかった。
今朝まではもうこれから先は笑うことができないかもしれないとさえも美琴は思っていた。
だが上条はこれからも自分の側にいてくれる。
また笑うことができるのだ。
上条から離れた美琴は泣きかけていたため目をふき顔を上げる。

「ありがとう当麻」

2度目のお礼の言葉とともに最高の笑顔を上条にみせる。
それは作られたものではなく嬉しいという気持ちが心の底から現れたものだった。

789 :笑顔を求めて:2011/03/26(土) 17:24:22 ID:93Asf.x.

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そしてあれから1カ月後、新学期が始まり、とあるマンションで暮らす2人の姿があった。

「ほら当麻起きて!朝ごはんできてるわよ」

「んー……」

美琴に起こされると上条は寝むたそうに洗面所へと向う。
上条が顔を洗っている間に美琴は朝ごはんをテーブルへと運ぶ。

「おー……今日は普通だな」

「え?いつもと変わらないじゃない」

美琴が用意した朝食はパンとちょっとしたおかず、いつものメニューだ。

「いや…美琴の格好がさ」

その言葉に美琴の顔は真っ赤になる。
今の美琴の服装はパジャマにエプロンをしている。
が、昨日はパジャマを着ていなかった。
つまり…裸エプロンである。
それを見た上条は暴走、ことが終わるころにはとっくに学校は始まっており2人とも休むはめになった。

「……ま、まあ…あれは休みの日だけにしておくわ。毎日してたら学校に行けそうにないし……」

休みの日はするのか、と上条は思った。

「それにしても…毎日メシ作ってもらって悪いな…他の家事もまかせっきりだし…」

上条の言葉通りこの部屋で暮らすようになってから家事はすべて美琴が行っていた。
上条も手伝うと言ってくれたが美琴は断っていた。
上条には指輪とマンションのお礼、という理由にしていたが本当は上条を疑ってしまった償いでもあった。
また家事以外にも上条のためにできることはなんでもしようとしていた。
ちなみに裸エプロンも償いの1つである。
それからもう1つの美琴が家事をする理由、それは

「何言ってるのよ!私は当麻のお、お嫁さんなんだから当たり前でしょ」

家の中では美琴は完全に『上条美琴』モードであるからでもあった。
そして2人で朝食を食べ学校へ行く準備をする。

「美琴ーもう行くぞー」

「ちょっと待ってー…ってお弁当忘れてるわよ!」

「何ぃ!?美琴の愛妻弁当を忘れるとはなんたる不覚!!」

「愛妻って…まあその通りだけど…///」

「悪い悪い、じゃ行くか!」

そして2人は途中までだが一緒に登校していく。
初めてマンションに来たときと違い上条は美琴の隣を歩き手をつないでいる。
その指には指輪があり今の美琴に不安は一切ない。

「それにしても……美琴といると幸せだな」

「い、いきなり何よ」

突然の上条の言葉に美琴の顔は少し赤くなる。
そんな美琴を見て上条は笑いながら答える。

「いや~好きな子と一緒に住んで毎日その笑顔が見れるんだからな、この上ない幸せ者だよ俺は」

それを聞いた美琴は立ち止まり上条もつられて止まる。
そして美琴は笑顔で上条に問いかける。

「ねぇ当麻……これからも一生私の側にいて私の笑顔を見続けてくれる?」

上条はすぐに美琴の問いかけに答えた。
その答えは言わずともわかるだろう―――――


おしまい