皆さまこんにちは。
今回は、前回の続きで、教育に関する参考図書のご紹介を行っていきます。
(前回の記事はこちら。参考図書について概要を書いています)
今回は、参考図書で紹介されている、2つの思考モードについて。
まず参考図書に書かれていることの紹介をしたうえで、その実践に向けて、前提として重要だと私が思うことを記していきます。
もくじ
ご紹介する本
バーバラ・オークリー著 『直観力を高める数学脳のつくりかた』河出書房新社、2016年
※以下、「参考図書」と呼ばせていただきます。
2つの思考モード
参考図書では、思考には、「集中モード思考」と「拡散モード思考」の2つがあることが紹介されています。
学習する、すなわち「思考する」ことは、2種類に分けられるという意味です。
参考図書の内容をかみ砕いて書くと、「集中モード思考」とは、私たちが一般的に「考えている」と思い浮かべるようなイメージだと思ってもらうと良いと思います。意識を集中させて、数学の問題をじっくり考えているような状態です。
対して「拡散モード思考」は、睡眠時間や散歩しているときなど、集中モードとは異なり脳がリラックスしている時の状態であると、本の著者は解説しています。
図にすると、このような感じでしょうか…!
<集中モード思考> じっくり考えている状態
<拡散モード思考> リラックスしている状態
(絵が下手なのはご容赦ください…)
2つのモードの重要性
ここまで、参考図書に書かれていた2つの思考モード(集中モード、拡散モード)をまずご紹介しましたが、イメージはできたでしょうか?
次に、同じくこの参考図書に書かれていた、これら2つのモードが学習とどのように関わるのかを、簡単にご紹介します。
まずは引用。
集中モード思考は数学や科学の学習に欠かせない。合理的・逐次的・分析的方法を使って問題を解くときには、この思考が直接かかわってくる。
(中略)
数学や科学の学習では、拡散モード思考も絶対に必要になる。気を緩め、心をさまよわせるときの拡散モード思考のおかげで手こずっていた問題の解き方をふと思いつくし、拡散モード思考は「大局的」見地とも関係がある。要は、リラックスすれば、さまざまな脳領域がつながるため、洞察力が増すのである。
――『直観力を高める数学脳のつくりかた』
つまり、学習時には、明らかに必要そうな「集中モード思考」だけでなく、リラックスしている時の「拡散モード思考」も必須だと、著者は言っています。
前提として、「集中モード」でしっかり問題などに向き合い、自分の頭で考えること。そのうえで、拡散モードにうつると、集中モードで考えていたことを脳が裏で考え続けていてくれるようです。
分かりやすいように日常に置き換えてみます。
例えば、「あの人の名前なんだったっけ…」と必死で考えて思い出せなかったのに、数時間後の食事中に「そうだ、〇〇さんだった!」と突然ひらめいた、といった経験はないでしょうか。
これは、「集中モード」で必死に考えていたからこそ、その集中を解いて別のことをしている(=「拡散モード」に入っている)状態でも、脳が「あの人の名前」をずっと裏で考えてくれていたということです。
(※注:この日常に置き換えたたとえは、参考図書に書かれていたわけはでなく、ブログ筆者が独自に考えたたとえです)
このように、勉強・学習においても、「集中モード」だけで根を詰めるのではなく、適宜「拡散モード」に切り替えることが重要だと、参考図書にて解説されています。
モードを切り替えることで、
- 入浴中に突然最適な解法を思いつく
- 新しく学んだ概念が整理される
- 視野が広がり見えていなかったことが見えるようになる
などの効果が見込まれるためです。
また参考図書では、拡散モードを経て、再度集中モードに戻って学習内容を見直すと、
記憶が確かなものになったり、拡散モードで裏で考えていたことが整理されてまとまったりするなどの効果が見込まれるとも書かれています。
2つのモードをしっかり使いこなすことで、学習効果が向上することが分かっていただけたかと思います。
モード切替に向けて(前提の話)
さて、参考図書ではこの後、「集中モード」と「拡散モード」の切り替え方法が詳しく解説されていきます。
私もそれに倣い、ご家庭教育での実践に向けて、モードの切り替え方をご提案しようと考えていたのですが…、
もっと根本的な話を、先にしたいと思います。
ここからは完全に、参考図書の内容を離れます。
学習・勉強に対して、それほど能動的な生徒さんは多くないと思います。
そもそも、「集中モードと拡散モードを切り替える」という高度なことをする前に、前提として「集中する」ことができずに困っていらっしゃるご家庭も多いのではないでしょうか。
では、なぜ集中できないのでしょうか?
集中できないのは、ほとんどの場合、その子の能力が低いという理由ではありません。
状況によって様々な要因があります。
例えば、身体的疲労や、学校等で嫌なことがあったために精神的疲労を感じ、一時的に集中できない可能性があります。
集中しようと思っていても、ついスマホやテレビなど楽しいことに目が行きがちで、気づいたら時間が過ぎることを繰り返していることもありえます。
もしくは、「どうせ集中しても勉強なんか分からない」といった、諦めや自信のなさが背景にあるかもしれません。
特に2つ目と3つ目に書いたような、勉強の先延ばしや、勉強への自信喪失のケースは非常に多いと感じます。
先延ばしについては、参考図書でも触れられており、対策方法もいくつか提案されています。
一方で、自信喪失のケースは、参考図書には書かれていません。が、非常に重要な点です。
そもそも勉強について諦めてしまっていたら、いくら楽しいことや気の散ることを排除して、子どもを勉強に集中させようと思っても、うまくいかないはずです。当然、成績も伸びず、子どもは「やっぱり、自分は勉強ができないんだ」とさらに自信を失ってしまいます。そうなると、勉強という嫌な現実からますます目を背け、「楽しいこと」にますます逃げてしまう……、という悪循環が生まれます。
では、勉強に対する自信喪失は、どのように発生するのでしょうか?
また、どのように対策していくべきなのでしょうか?
とても重要なテーマなので、今回はここでいったんストップして、次回のテーマに回したいと思います。
カメのようなゆったりペースでの更新ですが…、
その分しっかり書いていきたいと思っているので、気長にお付き合いください(^-^;



