学生募集停止、私大に淘汰の波
4年制も苦境…18歳人口減り経営困難に
10年度から学生募集を停止する私立大学が相次いでいる。定員割れによる4年制私大の募集停止や破綻は過去2例しかないが、今年度は株式会社立大を含め、既に5件。「大学淘汰」の時代がついに現実化した。
郊外の丘に広がる緑豊かなキャンパスは閑散としていた。4月に学生募集停止を発表した
◆市の要請で開学したが
82年、市の要請に応え、県内2番目の私大「松阪大」として開学した。だが、99年に初めて定員割れした後は、毎年のように入学定員を減らしても定員に達しなかった。入学者の大半を占める県内の18歳はピーク時(91年前後)の約3万人から1万人以上減少。05年に現校名に変更するなど打開策も図ったが、
01年度以降は毎年単年度赤字を計上。好調時の蓄えで5億円余りの繰越金があるが、このまま赤字が続けば数年で底をつく。同時に募集停止する短大は累積赤字が既に約17億円。大学側は「責任を持って在校生を送り出せるうちに決断した」(広報課)と説明し、在校生が卒業する4年後に閉校する方針だ。
◆規制緩和で校数増え
国内の18歳人口は92年の約205万人をピークに減少し続け、09年は約121万人。一方、18歳人口や進学率などを考慮して大学・短大の設置をコントロールしてきた国は、90年代以降徐々に規制を緩和し、03年度には認可制から届け出制に改めた。そうした流れの中で、一足早く淘汰が始まった短大や専門学校などからの参入が相次ぎ、大学進学率が低い地域では地方自治体が誘致する形で新しい大学が誕生。02年末には構造改革特区を利用した株式会社立の大学も容認した。先月18日に募集停止を発表したLEC東京リーガルマインド大(
◆47%が定員に満たず
文部科学省によると、国公立も含め4年制大は89年度の499校から08年度は765校に増えた。一方、日本私立学校振興・共済事業団の調査では、入学定員に達しなかった4年制私大は98年度の8%(35校)から08年度47・1%(266校)と、ほぼ2校に1校に拡大。定員の50%にも満たない大学が29校に上った。また、07年度は4年制大を持つ学校法人の34・5%が赤字で、中でも学生数2000人未満の地方大学は221校中113校(51・1%)が赤字だった。
大手予備校、河合塾の調査では、首都圏13、関西8の有力21私大で09年度の私立大志願者の49%を占めた。その多くが学部新設などで定員を大幅に増やしており、地方大学との格差はますます広がるばかりだ。
同事業団は「今後も学生募集を停止する大学がないとは言えない。ただ、無理に募集を続けて在校生がいるうちに経営破綻するケースだけは避けなければならない」(私学情報室)と話している。
◇合併、学部転換で生き残り ニーズ見極めないとリスクも
生き残りをかけた合従連衡も始まっている。08年4月には慶応義塾大(
薬学部は近年の新設ラッシュで定員が増える一方、06年度に4年制から6年制に延長された影響で志願者が減少傾向にあり、共立薬科大側に危機感があった。また、09年4月には、関西学院大(
生き残り策として、より一般的なのが「学生が集まる」学部への衣替えだ。中でも目立つのが、入学定員の充足率が約110%(08年度)と安定的な看護学部・学科への転換で、来年度の学部設置を文部科学省に申請している16校中7校が計画。この中には美術学科を廃止して参入する芸術系の大学もある。
こうした「看板の掛け替え」にはリスクも伴う。00年にスタートした介護保険制度を見据えて急増した福祉系学部の場合は、就職先となる福祉現場の過酷な実態が知られるにつれて敬遠され、08年度の入学定員充足率は約92%と前年度より8ポイント近くダウン。再び別の学部に転換する大学も珍しくない。
私大経営に詳しい東京大大学院の両角亜希子講師(大学経営論)は「学生のニーズに合わせて変えていくことは重要だが、例えば看護学部にしてもその大学がある地域で本当にニーズがあるのかよく見極める必要がある。大学統合も理念や目指す方向性が違うとうまくいかない可能性もある」と指摘している。
◇中教審で「適正規模」議論 補助金に激変緩和策検討
中央教育審議会大学分科会は現在、将来的な大学の「適正規模」を審議している。先月15日にまとめた第1次報告書では、03年度に緩和した大学の設置認可を厳格化するよう求めたほか、生き残りのために大学が統合や連携をする際に国がサポートすることなども提言した。
中教審の議論を踏まえ、文部科学省は、大学が自主的に定員を減らしても一定期間は削減前の補助金額を受けられるようにする激変緩和策を検討しており、早ければ来年度にも実施する方針だ。
◇10年度から学生募集を停止する私立大学◇
大学名 所在地 収容定員 学生数 充足率
三重中京大
愛知新城大谷大
神戸ファッション造形大
聖トマス大
LEC東京リーガルマインド大
※発表順。定員・学生数は1~4年生の合計(通信制は除く)。LEC大は株式会社立大。
会社の経営状況を世間に示すように,
大学側も受験者に分かるよう,経営状況を公にすべき。(もうなってますか?なっていたらどこで知ることが出来るか教えてもらいたい。)
消費者には知る権利がある。
大学4年間の学費と下宿代は,ある人にとっては年収の2倍以上になるほどなのだ。
一人親の家庭は負担を強いられる。
日本学生支援機構も返せるかどうかわからないような金額を貸し出すのはおかしい。
日本の大学の学費はべらぼうに高い。国公立ですら高い。
海外なら,もっと安い金額で,良い教育が受けれたりする。
違う文化も知れて一石二鳥だ。
イギリスでは,国内とヨーロッパとその他の地域からの学生はそれぞれ学費が違った。アジアからの学生はイギリス国内の3倍だった。(女王様が留学したとき)
それでも,今は日本の大学よりは安い。
学費を下げるべき。
無駄なお金を無くしてそうして欲しい。
それから,
卒業後に大学が無くなってしまうようなところに,子供は行かせられない。
絶対に行かせない。
淘汰が確実なら,
その兆候のある大学は事前に受験者に示す義務があるのではないか?
大学の内部の人間は出来ないであろうから,
それを伝える第3者が介入して公にすべき。
受験生があなたのご子息であれば,
そのような大学に絶対入れたくないはず,
もしくはあなた自身がそういった大学には絶対入りたくないはず。
わが子のような気持ちで,今の高校生を守るために,
なんらかの手立てが必要ではないか?