T君との出会いは2年前の秋
Benesse鉄緑の理Ⅲセミナーの場だった。
親も同伴でセミナーに参加せよとの案内だったので
僕は長女に同伴しT君は母親との参加だった。
長女の話では彼は同じ弓道部で普通科ではナンバーワンの成績であるということだった。
セミナーの帰りにたまたまエレベーターに同乗した我々だったが
いっこうに話をしようとしない2人を見て
「同じ高校なんだから挨拶ぐらいしようよ」と思わず言ってしまい
長女にあとでメチャクチャ怒られたことを記憶している。
もちろんその後も同じ部活であったので
細面でハンサムなT君は時に長女にとってのアイドルであったし
2年次には国語の超絶得意なT君に総合順位で負けることが度々あって
長女はいつもT君を認めT君を尊敬してもいた。
そして負けたことを励みに勉強にも打ち込むことができたのだと思う。
彼を東進に誘ったのは長女だった。
ずっと孤独だった長女のお勉強にようやく帯同してくれる人ができて
僕はほんとうに心からホッとしたものだ。
いつも1人で受けていたあらゆる模試にT君というパートナーを得て
今年一年本当に長女は幸せそうだった。
自習室でも彼はいつも長女の視界の中にいた。
僕はいつしか2人が一緒に東大に行ってくれたらと夢想するようになった。
でもそんな彼がセンターが理由かどうかはわからないが
東大の受験を断念すると聞いた時はなんとも言えない寂しさを感じずにはいられなかった。
同じく同中学校の女子二人の…と書こうと思ったがやめた。
所詮言葉という不完全な器に思いの全てを乗せることなど不可能な作業だからだ。
事情も知らない匿名の外野が
求められてもいないことをごちゃごちゃというくらいなら
通りすぎるべきなのだと思う。
ただ通り過ぎればそれでいい。