日本の中小企業の代名詞になっている感のある大田区の町工場.年の瀬を控えて,融資を受けようと申し込みが膨らんでいる.『年を越せるのか!?』,経営者の悲鳴が聞こえてきそうです.

【産経新聞】日本の「ものづくり」を支えてきた約4500の町工場が軒を連ねる東京都大田区。急速な景気後退を受け、同区が先月から受け付けている中小企業向けの緊急 融資斡旋(あっせん)総額が、当初見通しの3倍を超える116億円に達したことが分かった。年内は26日で終わる区役所の窓口には、融資を求める経営者が 絶えない。同区は来月末まで制度を延長することを決めたが、「これでも焼け石に水」「無事、年を越せるのか」…。クリスマスムード一色の繁華街と対照的 に、年の瀬の町工場では、経営者の悲鳴ばかりが聞こえてきた。

 米国の金融危機に端を発した世界的な不況で、区は先月4日から、中小企業が3年間、無利子で1000万円まで借りられる緊急融資の斡旋制度を開始した。 区内に支店を持つ金融機関が企業に融資を行い、融資を受けた企業に代わって、区が利子を支払うという制度。同区産業振興課の蔭山龍一課長補佐は「年末の運 転資金として申し込んでくる中小企業経営者が多いと考えた」と説明する。

 当初の申し込み見通しは約30億円だったが、区の窓口には問い合わせの電話が殺到。制度が始まると同課の前に連日、30人以上の列ができた。今月22日までの融資総額は、当初見通し額の3倍を超える1551件、116億6820万円に達したという。

 このため、区は予定を変更し、来月まで制度を延長することを決めた。「しかし、この制度だけで不況を乗り切れるわけがない。国が抜本的対策に乗り出さないと、出口は見えない」。蔭山補佐はため息をつく。