感情を抑える薬を飲み始めて、驚くほど何も腹が立たなくなっていきました。

今の薬って本当にすごいんだなって妙に感動。

 

しかし、息子の事を何も感じなくなったんです。

憎くも、愛しくもない、死なせないで育てていくことは出来るだろうと。

 

それが変わったのが、年少の12月、初めての発表会。

 

息子のクラスの合唱。

幕が開くと、幼い子供たちに交じって息子もいました。

数人が、暗い客席のどこかに居る親に向かって「ままーぱぱー」と言っていた。

 

息子が一生懸命私を探しているのを感じていました。

全く違う方向に向かって「ママ、ママ」と手を振っているのを見て、泣いてしまいました。

あの小さな子が、沢山沢山の想いを持っていて、「見ててね」「僕を見ててね」と言っている。

 

それはもう、人生で一番の衝撃の瞬間だった気がする。

激しい後悔と、愛しさで、人目もはばからず嗚咽した。

その時隣にいたママさんは、今回の色々も告白した大事な友人になった。

 

息子と話したくて、息子に触れていたくて耐えきれないような気持が押し寄せ、気持ちのままに息子を抱きしめる日々。

 

私に怒鳴られ続けて、叩かれていた日々、息子は次第に泣かなくなった。

カーテンの裏に静かに隠れていた。

そのころ夫は、まず息子を抱きしめ、話を聞き、寝かしつけてくれていた。

その後私の懺悔を聞き、昼間に居てあげられないことを詫びていた。

当たり前なのに、悪くないのに。

そのうえで、自分が帰るまでどうにか耐えてくれ、息子を頼むと言っていた。

 

その息子が、私に「それ、だめよ!」と言われて、泣いた。

そうだ、これが子供なのだ、当たり前の姿なのだ。

安心して泣けなかったんだ。

泣ける場所を与えなかったんだ。

 

やっと、泣けたんだ。

長く我慢させたんだ。

普通に、普通のことで泣ける場所が家庭なのだ。

 

私が奪い続けた。

申し訳なくて、申し訳なくて、息子に償うと誓った。