空へのあこがれ

フライトトレーニング　グランドスクール②-２

１．航空力学・飛行機の構造・計器などの知識

飛行機の主翼と重心位置、速度計については、前回述べたので、次は、その他の計器についての知識を整理する．

このほか、航空機に特有の計器としては、

ジャイロ（水平儀）が装備されています．

水平儀：

手作りで飛行機を作った際にも、搭載しなければならない計器の一つで、飛行機に搭載する基本6計器の一つ（というより中心となる）計器．

水平儀は、パイロットに地面（水平）との角度や飛行機の傾きなど、飛行機の空中での姿勢を教えてくれる計器．

これを見るだけで、とりあえず、飛行機の空中での姿勢が、おおよそ判る．

この計器も、ジャイロの仕組みを使って作られている．

飛行機の姿勢が変わっても、ジャイロによって水平線が表示される．

水平儀（或いは、ジャイロ）は、英語では、Attitude Indicator：姿勢表示器 (口語では、よくArtificial Horizonとも言う）と言います．

この（人工的な）水平線を参照することで、外界が見えなくても飛行機を正しい姿勢に保つことができます．

外界の視界が非常に悪い飛行条件（IMC）や、地上が非常に暗い夜間などでは、水平線を参照しながら自機の姿勢を保つのに役立ちます．

・ジャイロ系の計器の動力源

ジャイロは、質量がある錘を高速で回転させることで、慣性を持たせなければ、その作用を生じさせない．

飛行機に搭載されているジャイロは、駆動方法により二種類ある．

一つは、

・電動モーターで回すもの．

もう一つは、

・負圧空気（エンジンが掛ったら、負圧の空気ができる、あるいはバキュームポンプが回るので陰圧ができる）で羽根車を回すもの

これらの力で、錘を高速回転ささせる（ジャイロを動作ささせる）

二つの駆動方式には、それぞれ、一長一短の特徴がある．

電動式（モーター式）だと、エンジンが止まっていてもバッテリーで動作できるので、エンジンスタート前の準備段階から、スタンバイ時点で動作させることができる．

水平儀は、スタートしてから1〜2分ほど待ち、安定してからでないと使えない．

欠点は、電気系統がダウンした場合、電動ジャイロは使えなくなってしまう．

一方、

エア駆動（負圧エア駆動）ジャイロは、エンジンが掛かっていないと動作出来ない（エンジンにより負圧空気が作られるから）．

しかし、エンジンが回り続けている限り動作し続ける．電気系統がダウンしても、機能し続ける．

多くの飛行機では、

水平義は電動（スタンバイ動作があると便利なので）で動作．

旋回計（ターンコーディネータ）・方位指示計（ヘディングインジケータ）は負圧エアで動作、するものが取り付けられている．

これにより、

どちらかがダウンしても、残りの計器を使って情報を得ることができるよう、安全対策が取られている．

飛行機の計器類は、その動作に依存するインフラを違えることで、万が一の場合でも、システム全体がダウンしないように工夫がしてある．

これが安全管理の考え方．

飛行機は、トラブルが生じると、致命的になるので、極力トラブルが生じにくいような工夫がされている．

また、万が一があった場合にも、他の方法でそれをリカバー出来る工夫がされている．

Piper Archer IIIのコックピット（N415CA）

空へのあこがれ（その25）座学②-５