空へのあこがれ

無線通信での飛行機の登録番号とその呼び方

航空無線での飛行機の呼び出し方は、前回述べた．

『空へのあこがれ（余談５）無線呼び出しの方法』空へのあこがれ無線通信での飛行機の登録番号とその呼び方飛行機には国際条約に基づいた機体登録番号が割り振られている。米国では "N"の次に、数字3桁、…

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米国では、

呼び出し符号の前に、飛行機の機種・メーカー名等をつけるのが慣例

となっている．

日本では、

機種名を入れた呼び出しは聞いたことがないし、絶対に（ATCは）やらない．

その理由は、

AIM-Jの通信の呼び出し方法の所に、そんな呼び出しのやり方が例示されていない

からだ．

杓子定規な日本の役人は（たとえ、それをすることでメリットがあったとしても）決まりに書かれていない事はしない．

米国では、登録番号の前に機種やメーカー名を入れるのが普通だ。

機種を入れる理由は、

飛行機は、その機種によって、飛行速度などの能力が違うから．

航空交通管制官は、レーダー上で、飛行機の点・情報を見ながら、飛行機同士が、お互い安全な間隔をあけて飛ぶように交通整理をしている．

単発のレシプロだと100〜120KIAS前後（〜160KIAS程度）、

単発のターボプロップだと180～280KIAS位、

双発レシプロ機だと150〜180KIAS前後、

双発以上のターボプロップだと200〜300KIAS位、

ジェットタービンだと380～450KIAS位で巡行し、

アプローチ中でも200〜300KIAS位で飛んでいる．

これら、速度の違う飛行機が飛び交うのを、交通整理するためには、飛行速度を勘案する必要がある．

TCA（ターミナルコントロールエリア）に入ると、

速度制限が設定されているので、250KIAS（小型のタービンは200KIAS）に減速するが、それでも、単発の飛行機の巡行速度の二倍ほどの速度で飛んでいる。

これらを交通整理する時、夫々の飛行機の飛行速度のレンジが予め判っていた方が、交通管制が円滑にできる．

『空へのあこがれ（余談３）自家用飛行機数について』空へのあこがれ 2022年時点の統計では、米国で登録されている自家用飛行機の数は、205,000機（約20.5万機）余あるという．日本では、2,000…

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米国では20万機の自家用機が登録されており、旅客機よりも自家用機の飛行数の方が圧倒的に多い．

そのため、夫々の飛行機の速度域を頭に入れておかないと、円滑な航空管制がやりにくい．

という理由で、航空管制での通信の際、機種＋登録番号（下３桁）という呼出しを使う．

また、これによって、呼び出しを受ける側も、自分が呼ばれた時に気付きやすくなる．

特に大きな空港周辺では、アプローチ、通過、離陸とかなり沢山の飛行機が飛び交うことになり、無線交信も自分に関係ないものがほとんどとなる．

そういう状況においても、自分が呼び出された事に、確実に気づくことで、意思の疎通が円滑に行える．

この方法は、ATC（航空交通管制）が無い時も有効な事がある．

タワーが運用されていない時、CTAFで自分のインテンションを放送しながら着陸するのだが、

その際、CTAFで、

”サイテンション、10マイルズファイナル”（セスナサイテンション=ビジネスジェットが、着陸18㎞手前）とかが聞こえてきたら、

こちらは、着陸を中止し、ダウンウィンドを延長し、滑走路（ファイナルアプローチ）を開ける事が多い。

ジェット機は、アプローチ速度が速く、こちらが、80〜100KIAS位で着陸しようとしていると、すぐに追いついてしまい、こちらが滑走路をふさぐ形になってしまう。

このような場合は、

”Archer 415CA, （will） extend down wind until passing Citention"

などと送信し、相手機とすれ違うまで、Down Windを延長する旨を伝える．

お互い（ほぼ左正面同士なので）目視しながら、すれ違うコースを取り、すれ違うまで直線に飛び続ける．

アプローチ中は、アプローチライト（ヘッドライトを正面に向けて点灯しているようなもの）と、両翼端に衝突防止灯（ストロボライト）を点滅しているので、かなり遠くからでも、相手の飛行機を比較的容易に見つけることができる．

ということで、相手の機種が何であるかは、沢山の飛行機が行き交う状況では、空港の円滑な離着陸にとって、非常に重要な手掛かりとなっている．

米国でのATCや航空無線のやり取りは、現実的だし、判断に必要な情報を含めることが多い．

そして、普通の英会話で自分のインテンションも伝えることで、さらに誤解を防ぐ手立てが確立されている．

空へのあこがれ（余談５.5） 無線呼び出しの方法②

空へのあこがれ（余談５.5）無線呼び出しの方法②